女優・シャナン・ドハーティの遺産をめぐる争い
宙に浮いた遺産

ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』などの出演で知られる女優のシャナン・ドハーティーは、2024年に亡くなった。がんとの闘いに終止符を打ち、53歳でこの世を去った。それと同時に、遺産を巡る争いの火蓋が切られた。死去する直前に、写真家のカート・イズワリエンコとの離婚が成立していたが、現在、泥沼の争いとなっている。
テキサスの家が引き金に

2人はアメリカのテキサス州ドリッピング・スプリングスに、150万ドル(約2億3250万円)相当の不動産を所有していた。離婚書類によれば、この家は売却し、利益を折半することになっていた。ところが、遺産管理団体の訴えによると、イズワリエンコは売却を拒否し、現在もその家に住み続けているという。
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返却されない私物

問題は家だけではない。訴えによると、イズワリエンコは合意内容に明記されている「ドハーティーの私物の返却」を拒んでいるという。その中には、目録を作成することになっていたドハーティーの写真も含まれる。『ピープル』誌によれば、返却はすでに「14ヶ月も遅れている」という。
飛行機と格納庫

さらに2人は「ムーニー M20」という小型飛行機と格納庫を所有していた。離婚合意書では、イズワリエンコが格納庫を売却した後、ドハーティーが持つ権利の対価として、10万ドル(約1550万円)を支払うと定められていた。
しかし『ピープル』誌によると、イズワリエンコはこの約束を履行していないという。格納庫の売却に際し、一方的に5万274ドル(約779万円)を自分の取り分として確保したうえに、ドハーティーに支払うべき残金を渡していないとされる。イズワリエンコからドハーティーへの支払いが、1年以上も滞っている状態なのだ。
ドハーティの遺族が法的措置

2025年11月24日、遺産相続人の弁護士と管財人を務めるクリス・コルタッツォは、度重なる合意違反に対し正式に申し立てを行った。求めているのは金品だけではない。写真の目録作成、家の売却、そして資産の公正な分配も要求している。
法的グレーゾーン

ドハーティーが離婚合意書に署名した直後に亡くなったため、事態は法的グレーゾーンに入ってしまった。合意は存在したが、その執行が複雑化したのだ。これにより、遺産がそのまま相続人に渡るべきかどうかを巡る争いが生じている。
お金を超えた闘い

私物や写真を返さず、家を売却しないイズワリエンコの態度は、ドハーティの最後の願いを無視した「裏切り」と受け止められている。
遺族が求めているもの

法的書類によれば、要求事項は以下の通りだ。家の即時売却、私物の返却、写真の引き渡し、飛行機に関する未払い分の全額支払い、そして合意に基づいた公正な資産分割。
ドハーティの病との闘い

ドハーティーが乳がんと診断されたのは2015年のことだった。一度は寛解したものの、2019年に再発。がんは骨や脳に転移するステージ4へと進行し、2024年7月13日、53歳の若さでこの世を去った。
離婚を申請

2011年にイズワリエンコと結婚し、2023年4月に「和解しがたい不和」を理由に離婚を申請した。当時、ドハーティーは健康状態の悪化により収入が激減し、働くことが困難になっていることを明らかにしていた。
不倫と精神的な孤独

ドハーティーは脳の手術を受ける直前に、夫の不貞を知ったと明かしている。自身のポッドキャスト番組で、14年間の結婚生活にもはや救いはないと語り、『ピープル』誌では「(結婚生活は)信じられないほど孤独だった」と吐露していた。
急激な収入減

ドハーティーは2022年に仕事を休止した。当時の申告によると、2024年の年収はわずか2万5732ドル90セント(約398万8600円)だったという。高額な医療費に加え、テレビドラマ『チャームド〜魔女3姉妹〜』(2001年)などの出演作が配信プラットフォームから削除されたことで印税収入が減り、経済的に追い詰められていた。
この世を去る前に身辺の整理

苦痛の中にありながら、ドハーティーは人生の幕をきちんと閉じようとしていた。資産を整理し、離婚に署名し、身辺を片付けようとしたのは、おそらく残される愛する人々を守るためだったのだろう。
死去してもなお闘いは続く

がんとの闘いを終え、この世を去ってもドハーティーの闘いは続いている。今や彼女のイメージは、訴訟や資産争いによって曇らされている。
家族の願い

相続人たちにとっては、単なる帳尻合わせではない。一つの章を終わらせ、大切な遺品を取り戻し、何よりもドハーティーの遺志を尊重したいと願っているのだ。しかしイズワリエンコが応じない限り争いは続く。
最後の誤算

皮肉なことに、スターダムにのし上がり、がんと闘い、人生を生き抜いた女性が、自身の資産を安らかに残すことができなかった。
長期化しがちな法廷手続き

遺産管理側の弁護団はすでに申し立てを行った。もし裁判所が有利な判決を下せば、家は即時売却され、私物は返却され、不払い金の支払いが命じられる可能性がある。しかし、こうした法的手続きは数ヶ月、あるいは数年かかることもある。
名声が盾にならない

この泥沼の争いは、ドハーティーのようなスターであっても、守られた存在ではないことを残酷なまでに突きつけている。
苦難の人生と苦い結末

ドハーティーが歩んだ道は、名声がいかに無力なものであるかを痛感させる。どれほど有名であっても、病気の前では、人はあまりにも脆い。そして、生涯をかけて築いた資産、固く誓ったはずの約束、さらには人々の心に残る美しい思い出さえも、無残に崩れ去ってしまう可能性がある。
記憶を守るための闘い

ドハーティーの名前がファンの記憶の中だけでなく、法廷で響き続けること。それは、「本当の闘いは、戦う力を失った後に始まることがある」という、最も苦い現実を突きつけている。
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