老いの兆候現れるトランプ氏、抗う姿勢示す

トランプ氏は米史上最高齢で大統領に就任したが、側近によると、精力的なスケジュールをこなしている

【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領は、医師の推奨量を超えるアスピリンを服用している。足首の腫れに対して医療用弾性ストッキングを短期間試したが、気に入らなかったため使用をやめた。そして、高度な画像検査を受けたことを後悔している。自身の健康状態に注目が集まったからだ。

トランプ氏は昨年10月に心血管と腹部のスキャンを受けた決断について、「振り返ってみれば、検査を受けたのは残念なことだった。彼らに少し攻撃材料を与えてしまったから」とウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで語った。「受けなかった方がずっと良かっただろう。検査を受けたことで『おや、何か問題があるのか』と言われることになったからだ。実際には何も問題はない」

米史上最高齢で大統領に就任した、現在は79歳のトランプ氏は、公私ともに加齢の兆候を見せていると、同氏に近い関係者は述べている。しかし同氏は時に医師のアドバイスに従わず、医学界で広く受け入れられている健康に関する推奨事項を一蹴し、代わりに自身が言うところの「良い遺伝子」に頼っている。トランプ氏と主治医は、同氏の健康状態は極めて良好だと述べており、側近らも彼が精力的なスケジュールをこなしていると話している。

トランプ氏はほとんど睡眠を取っておらず、最近では、ホワイトハウスのウエストウイング(大統領執務室のある西棟)で行われた複数のテレビ中継イベントで目を開けているのに苦労していた。側近や献金者、友人らは、大統領が聞き取りにくいため、会議では大きな声で話さなければならないことが多いと語る。ゴルフを除けば、トランプ氏は定期的な運動をしておらず、ハンバーガーやフライドポテトなど、塩分や脂肪分の多い食事を摂取していることで知られている。

トランプ氏が毎日服用している大量のアスピリンは、あざができやすくなる原因となっていると同氏は述べた。医師からはより少ない用量を勧められているという。しかし、トランプ氏は25年間服用してきたとして、変えることを拒否している。「私は少し迷信深いところがある」とインタビューで語った。

孫娘のカイさんとホワイトハウスのサウスローンを歩くトランプ氏(昨年9月)

ホワイトハウスの大統領執務室で減量薬価格に関する発表が行われた際、トランプ氏が目を閉じている様子がカメラに捉えられた(昨年11月)

「アスピリンは血液をサラサラにするのに良いと言われているし、ドロドロの血液が心臓を流れるのは嫌だ」とトランプ氏は述べた。「サラサラとした良い血液が心臓を流れてほしい。分かるだろうか」

トランプ氏は、聞き取りに苦労していることを否定した。また、最近のホワイトハウスでのイベントで居眠りをしたことも否定し、常に短い睡眠時間でやってきたと述べた。

トランプ氏は、自身が受けた医療ケアについて不正確に説明することが時折ある。同氏は数週間にわたり、昨年10月にウォルター・リード軍医療センターで磁気共鳴画像装置(MRI)検査を受けたと述べていた。WSJがこの検査について尋ねると、トランプ氏と主治医は、別の形態の画像検査であるコンピューター断層撮影装置(CT)スキャンを受けたと話した。

CTスキャンは、体の詳細な画像を撮影する、より迅速かつ一般的な方法だ。一方、MRIは時間がかかる検査だが、軟部組織の診断において優れている。

「MRIではなかった」とトランプ氏はWSJに語った。「それよりも軽いものだった。スキャンだった」

トランプ氏の主治医であるショーン・バルバベラ海軍大佐はWSJへの声明で、トランプ氏がCTスキャンを受けたことを認めた。バルバベラ氏によると、トランプ氏の医師団は当初、MRIかCTスキャンのいずれかを実施すると伝えていたが、最終的に後者を選択した。バルバベラ氏は、CTスキャンは「心血管系の問題を完全に除外するため」に実施され、異常は見られなかったと述べた。ホワイトハウスは、バルバベラ氏へのインタビューの実施を拒否した。

ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は、ホワイトハウスがこの検査を「高度画像診断」と呼んでいたと述べたが、大統領がなぜもっと早く記録を訂正しなかったのかについては言及しなかった。

デリケートな皮膚

大統領は自身の健康状態に関する憶測を呼んだ不調を隠そうとしており、手のあざを化粧で覆っていた。1期目には、自身の新型コロナウイルス感染症の症状の深刻さを過小評価し、大腸内視鏡検査を受けたことを公表しなかった。

トランプ氏の身体的な加齢の兆候は、最も近い側近の一部にとって、より明白になりつつある。彼の皮膚は非常に繊細で、現在司法長官を務めるパム・ボンディ氏が、ミルウォーキーで開催された共和党全国大会でハイタッチをした際に、指輪で彼の手を傷つけて出血させたほどだ。

トランプ氏は、前任者のジョー・バイデン氏が健康問題の深刻さを隠していると頻繁に非難してきた。バイデン氏の大統領就任時の年齢は、トランプ氏の2期目就任時の年齢より5カ月若かった。バイデン氏は、言葉に詰まり、思考の流れを失ったように見えた討論会でのダメージを経て、再選を目指さないことを決めた。バイデン氏が原稿のないやり取りを避け、スケジュールを細かく管理する少数の信頼できる側近に大きく依存したことで、同氏の適性に対する疑念が強まった。

サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子をホワイトハウスに迎えるトランプ氏(昨年11月)

ノースカロライナ州で開かれた集会で、トランプ氏はさまざまなテーマについて長時間演説した(昨年12月)

トランプ氏は2期目において、ほぼ常に公の場に姿を現しており、時には1日に数回、記者からの質問に答え、即興の発言を行い、定期的にホワイトハウスで夕食会を主催している。トランプ氏は長時間の公の場での発言において、話題を次から次へと変え、時には事実誤認をすることもある。

バルバベラ氏はWSJへの声明で、トランプ氏が「極めて健康で、最高司令官としての職務を遂行するのに完全に適している」と述べた。ホワイトハウスはWSJに対し、トランプ氏の心電図をメイヨー・クリニックがAIを使って分析した結果の概要を提供した。それによると、同氏の「心臓年齢」は65歳と推定されている。

突然の電話インタビュー

WSJが取材内容の詳細をホワイトハウスと共有した後に行われた突然の電話インタビューで、トランプ大統領は自身の健康状態が取り沙汰されていることにいら立ちを示した。自身をより活力がある人物としてアピールできていないホワイトハウスの職員にも不満を募らせている。「健康の話をしよう、これで25回目だ」と同氏はインタビューの冒頭で述べた。「私の健康は完璧だ」と続けた。

トランプ氏は、ホワイトハウスの居住スペースにあるオフィスで早朝から1日を始めることが多く、午前10時頃に階下に降りてきて、午後7時か8時までオーバルオフィス(大統領執務室)で仕事をしていると述べた。ホワイトハウスは昨年12月の最初の19日間の非公開スケジュールを提供し、そこにはスタッフ、最高経営責任者(CEO)、議員、閣僚との数百回に及ぶ会議や電話の予定が記されていた。

トランプ氏は、より少なく、より重要な会議に集中できるよう、スケジュールを調整するよう側近に依頼したと語った。この変更は年齢のためではなく、時間をより効率的に使うためだとしている。政権当局者によると、会議のスケジュールはまだ削減されていない。

韓国の釜山に到着し、大統領専用機「エアフォースワン」から降りるトランプ氏(昨年10月)

トランプ氏のスタッフらは同氏にペースを落とすよう促してきた。彼らはクリスマスと大みそか前後の約2週間を南フロリダで過ごすよう促し、同氏はこの勧告に従った。

事情に詳しい関係者によると、トランプ氏のスタッフらは、居眠りをしているように見えることを懸念し、公の場で目を開けておくよう同氏に助言してきた。昨年12月の閣議や昨年11月の減量薬の価格引き下げに関する発表の際、同氏が居眠りをしているように見える様子をカメラが捉えていた。

トランプ氏は昨年7月中旬、主治医が「下肢の軽度の腫れ」と説明した症状のため、ウォルター・リード軍医療センターで診察を受けた。メモによると、静脈の超音波検査により、大統領は「慢性静脈不全」を患っていることが判明した。これは高齢者によく見られる症状で、静脈内の一方向弁が適切に機能せず、血液が脚から心臓へ上がりにくくなる。

バルバベラ氏はWSJへの声明で、大統領の状態について「表在性慢性静脈不全」だと説明。体内の小さな静脈に関わるもので、医師らによると治療可能だという。

治療を助けるため、トランプ氏は一時的に弾性ストッキングを着用した。しかしくは続かなかった。「気に入らなかった」とインタビューで述べた。

トランプ氏と側近らは、脚の腫れが改善したと述べた。同氏は机から立ち上がって少し歩き回るようにしていると語った。これも下肢の腫れを改善する一般的な方法だ。

運動は「退屈」

しかし、トランプ氏はゴルフ以外の運動習慣には関心がない。「好きではない。退屈だ」と同氏は述べた。「ランニングマシンで何時間も歩いたり走ったりするのは自分には向いていない」

トランプ氏の主治医であるバルバベラ氏は、トランプ氏が「心臓疾患予防」のためにアスピリンを使用しているとし、1日に325ミリグラムを摂取していると述べた。メイヨー・クリニックによると、低用量アスピリンは81ミリグラムが最も一般的だ。

トランプ氏は「彼らは私に少ない量を服用してほしいと思っている」と述べた。「私はもっと多く服用しているが、何年もそうしてきた。ただ、その影響であざができる」

昨年夏、スコットランドのアバディーン近郊にある新しい18ホールのゴルフコースでティーショットを打つ大統領

ボンディ氏が自身の手を出血させたことについて、トランプ氏は「指輪が手の甲に当たり、そう、ほんの小さな少し切り傷ができた」と述べた。事情を知る人物によると、その場のやり取りを目撃していた一部の人々は傷に驚いたという。側近らは、トランプ氏の手に切り傷ができたことは数回あると語った。

トランプ氏は、「また誰かにぶつけられた」後には手に化粧をすると述べた。「簡単に塗れる化粧品を使っている。10秒ほどで済む」と付け加えた。

大統領は夜にあまり熟睡できず、本人によると、午前2時かそれ以降に側近にテキストメッセージを送ったり電話をかけたりすることがよくあるという。複数の関係者は、未明に自身が出演したFOXニュースを見たトランプ氏からテキストメッセージを受け取ったと述べた。

「昔から睡眠時間が長い方ではない」とトランプ氏は語った。

トランプ氏は、最近のホワイトハウスでのイベント中に眠ってはいなかったと述べた。「ただ(目を)閉じているだけだ。とてもリラックスできる」と説明した。「時々、まばたきをしている写真を撮られる。まばたきの瞬間を捉えられる」

聴力について尋ねられると、トランプ氏は皮肉めいた態度を見せた。「聞こえない。聞こえない。あなたが何を言っているのか全く聞こえない」と、あざけるように述べた。「大勢の人が話している時」にだけ、聞き取りにくくなることがあると話した。

トランプ氏は時折、他の人には聞こえた記者からの質問を聞き取るのに苦労することがあった。昨年9月に開かれたテクノロジー大手トップらとの夕食会で、トランプ氏は報道陣からの質問を受け付けた際、手で合図して記者に大きな声で話すよう促した。その記者は、トランプ氏がロシアのウラジーミル・プーチン大統領と近く会談する予定があるかどうか尋ねた。

「何だって?何?」とトランプ氏は言った。その後、妻のメラニア夫人の方に身を寄せると、彼女が質問を繰り返した。その様子はトランプ氏のマイクに拾われた。レビット報道官は、このような出来事はまれだと述べた。

昨年9月、ホワイトハウスでの夕食会にトランプ大統領と出席したメラニア夫人

バルバベラ氏はトランプ氏の聴力は「正常」だとし、WSJへの声明でトランプ氏は補聴器を必要としていないと述べた。

トランプ氏は、自身の食生活を変えていないと語っている。共和党全国委員会のジョー・グルーターズ委員長は昨年10月、ポッドキャスト番組のインタビューで、選挙戦中にトランプ氏と一緒に移動した際、同氏の食習慣に衝撃を受けたと語った。グルーターズ氏によると、選挙イベントに向かう飛行機の中で、トランプ氏はマクドナルドのフライドポテト、クォーターパウンダー、ビッグマック、フィレオフィッシュを平らげたという。

トランプ氏は、自分には十分エネルギーがあると述べ、それは高齢になるまで活力に満ちていた両親のおかげだとした。

「遺伝子は非常に重要だ」と同氏は述べた。「そして私は非常に良い遺伝子を持っている」