クオッカ(埼玉県こども動物自然公園 東松山市) 「世界一幸せな動物」にっこり 鈴の音にピョンピョン近寄る

<2026 飼育員の推し!>=④

 2025年の漢字が「熊」だったように、人間と動物の関係を考えざるを得なかった昨年。今年こそは、穏やかな心で動物たちの姿に癒やされるときを過ごしたい。首都圏各地の動物園・飼育施設で、飼育員が「イチ推し」する動物が登場し、皆さんをお招きします。

 ◇   ◇

口角が上がり、笑っているように見えるクオッカ=いずれも埼玉県東松山市の県こども動物自然公園で

 チリリン…。埼玉県こども動物自然公園(東松山市)内の「クオッカアイランド」。担当飼育係の野口真嗣さんが鈴をかすかに鳴らすと、クオッカがピョン、ピョンと後ろ足で跳ねながら近寄ってきた。カメラを手に愛らしい姿を見守っていた来園者の表情が緩んだ。

 クオッカは小型のカンガルーで、口元がにっこりと笑っているように見えることから「世界一幸せな動物」と呼ばれる。もともとオーストラリア南西部のロットネスト島やバルド島などに生息し、海岸沿いのやぶや林、湿地などで暮らす。体長は成獣で40~50センチ、体重は3~4キロほど。チャームポイントの口元は、もともと口角が上がっており、顎の筋肉が発達しているためだ。

 同園はクオッカを飼育する国内唯一の動物園。2020年、開園40周年の節目に4頭のクオッカを迎え、現在は11頭に増えた。25年3月には屋内展示場もオープン。夜行性のため、屋外での観覧時間は限られていたが、屋内施設は照明を暗くしてクオッカが快適に過ごせるようにすることで、より多くの人に見てもらえるようになった。

 園が屋内施設を造るための寄付を募ったところ、目標の1千万円を上回る金額が集まったという。

 愛くるしさがSNSなどで注目され、海外からの来園者も集めるようになった「世界一幸せな動物」。では、飼育係自身の「幸せ」は?-。野口さんは「クオッカが健康でいられること」と笑顔を見せた。

 茨城県出身の野口さんは、近所に家畜のウシなどがいたため、動物を自然と好きになった。「動物を守る場所」としての動物園の役割に魅力を感じ、飼育係を志したという。

 「本来はもっと広いところで暮らしている野生動物のクオッカを、動物園という限られた場でどう飼育するか。自分に何ができるかを意識している」

 やぶや草むらを進む習性があるため、通り道は草を刈り過ぎないようにするなど配慮を欠かさない。クオッカが活発に過ごす様子を見ると「やってよかった」と思えるという。

 鈴の音を聞かせてから餌をあげることで、鈴を鳴らせば近づいてくるようにし、クオッカの健康状態も丁寧に確認している。園全体で動物たちが安全に暮らせるよう努力している。

クオッカにご褒美の餌を与える飼育係の野口真嗣さん

 クオッカは、生息地のオーストラリアでは森林の減少や、ネコなどの外来動物の影響により、絶滅の危機にひんしているという。だが、そうした状況は、あまり知られていない。

 「ここに来れば絶滅危惧種だと知って帰ってもらえる。『かわいいね』から入り、クオッカを取り巻く状況を知ってもらえれば」。野口さんの「動物を守りたい」という思いがにじんだ。(大久保謙司)

<埼玉県こども動物自然公園> 150種類以上の動物を飼育。1月末までの開園時間は午前9時半~午後4時半、2月以降は午前9時半~午後5時。入園受け付けは終了の1時間前まで。クオッカの屋外での公開は、平日は午前10時~正午、土日・祝日は午前10時~午後1時。屋内は午前9時半から閉園時間の15分前まで。東松山市岩殿554。東武東上線高坂駅からバスで約5分。関越自動車道の東松山インターから約10分、鶴ケ島インターから約20分。高校生以上900円、小中学生200円。

【関連記事】"小田急電鉄がハンター初心者をサポート? 箱わなや解体をレクチャー…鉄道会社が担い手を育てたいワケとは

【関連記事】"オカピの母娘(よこはま動物園ズーラシア 横浜市旭区) のんびり静かにアフリカ感じて 「世界三大珍獣」の一角

【関連記事】"ハリウッド映画に出演、川口功人さんはデフ卓球銅メダリスト 「主役より演技上手い」と監督 3月日本公開