北朝鮮のお菓子、食べてみて感じた意外な実態

『北朝鮮』のお菓子と飲み物に挑戦。正直な感想(写真:筆者撮影)
肉体派ライターの佐藤大輝氏が中国の丹東市にて、北朝鮮レストランを訪れた話は前編記事で紹介した。
【写真を見る】北朝鮮のジュースにお菓子はこんな感じ
後編では北朝鮮のお菓子や飲み物の感想などについて、正直な感想を紹介する。
現在日本では北朝鮮との輸出入を全面的に禁止しているため、日本で北朝鮮のお菓子や飲み物を食べる機会はない。しかし、北朝鮮の製品を扱っている国でお菓子を購入して食べるなど“消費”する分には問題はない。そもそも海外渡航中は原則として訪れた国の法律が適用される。ただし、購入して日本へ持ち帰ることはできないので注意は必要だ。
え、北朝鮮のお土産だらけじゃん…筆者が見た衝撃的な光景
2025年12月17日の午前11時頃、私は中国・丹東駅前にあった、韓国と北朝鮮の国旗が飾られているお土産屋さんに入った。近づいてきた40代くらいの女性店員さんに話を聞いたところ、この店の2割くらいの商品が北朝鮮商品で占められているらしい。

筆者が訪れたお土産屋さん(写真:筆者撮影)

売り場の光景。真ん中の棚の下段のグミ以外、すべて北朝鮮のお菓子(写真:筆者撮影)
案内された売り場には、北朝鮮のお菓子がずらりと並べられていた。商品の裏面(パッケージ)を確認すると、生産国の欄に「朝鮮民主主義人民共和国」と記述されている。いくつか韓国産のお菓子も混じっていたが、店員さんに私を騙す気はないようで、「このグミは韓国産」「これも違う」など、私が商品を手に取るたびに説明してくれた。
店内では北朝鮮のお酒も売られていた。緑色のガラス瓶に入った瓶ビール500mlは、アルコール度数4.2%で15元(約330円)。アルコール度数4.5%で20元(約440円)。アルコール度数25~30%の焼酎なども1000円前後で売られており、1万円を超える高価格帯のお酒(高麗人参を原料としたリキュール)も置いてあった。

北朝鮮のお酒は10種類以上置いてあった(写真:筆者撮影)

北朝鮮のビール(写真:筆者撮影)
「未知の国の食べ物」4点の商品を購入
私は30分ほど店内をウロウロした後、北朝鮮ビール(15元=約330円)。チョコレートクッキー(20元=約440円)。駄菓子みたいな棒状の食べ物(3元=約66円)。アセロラっぽい飲み物(10元=220円)……約1000円分、計4点の商品を購入。
さっそくホテルでこれらの商品を食べてみようと思ったが、正直に申し上げて、自分の中に「恐怖心」が少なからずあった。情報が乏しく、製造工程における衛生基準のわからない北朝鮮という未知の国の食べ物を口に入れる(つまり自分の身体の中に入れる)のは、やはり多少の勇気がいる。ましてや私は海外旅でお腹を壊しやすいタイプだ。
そこで、すべての商品の賞味期限を念入りにチェックした。賞味期限は8~12カ月とバラバラで、生産日も2025年8~10月とバラバラだったが、すべての商品で賞味期限の問題はないようだ。これらの商品は中国で合法的に販売されており、中国人の口に入ることが想定されているわけで、当たり前と言えば当たり前かもしれないが……。

購入した商品。なお奥に見える街はすべて北朝鮮。ちなみに黄色の商品は石鹸で、北朝鮮に船で近づいた話を含め、詳細は 別記事 にまとめた(写真:筆者撮影)

商品の裏面。朝鮮民主主義人民共和国の文字はインパクトがある(写真:筆者撮影)
飲み物、棒菓子を食べた正直な感想
まず最初に手に取ったのは、アセロラっぽい飲み物だ。ペットボトルの蓋はちゃんと開いた。蓋を閉めてシャカシャカしてみたが、液体がこぼれるなどの不具合は起きなかった。蓋を開けて鼻を近づけてみたところ、甘酸っぱいフルーツの匂いがする。なお液体は、ちょっとだけトロミがあるようだ。

蓋上部に生産年月日が刻印されている。が、文字が薄くて解読に数分を要した。この写真も光の加減で文字が見えにくいわけではなく、純粋に文字が薄い(写真:筆者撮影)
恐る恐る、まるで毒見をするような気持ちで、赤色の飲み物を口に含んでみると……甘っっっ! これ思ってたより甘いぞ! 味はアセロラ系だが、酸味はほとんどない。ヨーロッパやアメリカで売られている、外国の飲み物っぽい味と言えば伝わるだろうか。美味しいか美味しくないかと聞かれたら、あまり美味しくない。常温で保存されていたからかもしれないけど……。
気を取り直して、次は棒菓子だ。鼻を近づけてみると、日本の駄菓子にありそうな素材感のある甘い匂いがした。

棒菓子(写真:筆者撮影)
勢いよくカジってみたところ、サクッと音がすると思ったらムニャって感じの食感。からの、これも甘っ!! 北朝鮮の人は甘い物が好きなのだろうか。味は、うーん、ふがしに近いかな? 黒糖ではない、シケった感じのふがしといったイメージ。日本人の私たちからすると、ちょっと馴染みのある味かもしれない。
チョコレートクッキーの味は?
次はチョコレートクッキーだ。外箱は両サイドにシールが張られていた。一応、ノリ付けはされているようだけど、ノリの使用量は最小限といった感じ。中のプラスチック袋は日本と変わらない感じで、ちゃんとしていた。内袋を開封すると、うん、今日1番でいい匂いがする。これは期待できるかもしれない。

いい匂いがする(写真:筆者撮影)
私は思い切って、半分ほどパクリと食べてみた。が、これまた食感はシケった感じ。だけど味は……いける!! 美味しいか美味しくないかと聞かれたら、まずまず美味しい! チョコ感(カカオ感)はほとんど感じられなかった。また日本のお菓子のような「繊細な甘さ」というより、「子供が喜ぶような大味の甘さ」といった印象を受けた。

うん、そこそこ美味しい(写真:筆者撮影)

かなり細い感じでノリ付けされている(写真:筆者撮影)
ビールはあの味に似ている!
ビールは夜に飲みたかったので、私はこれを部屋の冷蔵庫に保管。その後、市内にある北朝鮮レストランで食事をした際に、購入した物とまったく同じビールを飲むことになった。

北朝鮮レストランで飲んだビール(写真:筆者撮影)
ネットで調べたところ、このビールは「大同江ビール」と呼ばれているらしい。味はあっさりした感じで、青島ビールや韓国のビールなどに近い感じだった。ラガー感が少しあり、エール感はない。中華料理と合わせると、油をさっぱりと流してくれるタイプのビールだ。正直に言ってかなり飲みやすく、美味しかった。
私は北朝鮮レストランで食事をした後、部屋でも冷やしておいたビールを寝る前の一杯として楽しんだ。

寝る前の一杯の光景。ちなみにカップラーメンは、店員が誰もいない無人コンビニで購入した(写真:筆者撮影)
北朝鮮ナンバーワンお菓子に出会う!
私は翌日の滞在最終日にまた同じお土産屋さんに入った。店員さんは私のことを覚えていたようで、かなり好意的に接してくれた。これはトルコやジョージアといった国々でも感じたが、異国で飲食店などをリピートする戦略はアリだと思う。
ということで、最後に北朝鮮のお菓子を食べて、日本に帰ろうじゃないか。

購入した北朝鮮の食べ物。ジュースは10元=約220円。ナッツは30元=約660円。キャンディーは25元=約550円だった(写真:筆者撮影)
グレープジュースは、ゼリーを溶かしたような甘さで、ほんのりとグレープ感がある。飲めるか飲めないかと聞かれたら、飲める。大人よりも小さな子供が喜びそうな味だ。液体は少しだけトロトロしており、前日に飲んだアセロラドリンクより10倍くらい美味しい。

生産国に「朝鮮民主主義人民共和国」と書かれている(写真:筆者撮影)
ピーナッツの絵が描かれた謎の白色の物体は、マズそうな見た目に反して、かなり美味しかった。日本のお爺ちゃんお婆ちゃんが喜びそうな味で、白色のコーティングは砂糖のようだ。ピーナッツは薄皮のまま入っているが皮感はゼロ。北朝鮮のお菓子はムニャッとした食感ばかりだったが、このお菓子はカリカリで、今回食べたお菓子の中でナンバー1はこれだ。

うまい(写真:筆者撮影)
牛のイラストが描かれた飴は、表面がツルツルしているタイプのキャンディで、ちょっと色が悪い。が、口に入れると、甘味とミルク感がしっかりと感じられる。うん、いけるな、これ……。もしも目を閉じた状態でこれを口に入れたら、日本人は日本の飴だと勘違いすると思う。

見た目はイマイチだが味は悪くなかった(写真:筆者撮影)
最後の締め
北朝鮮のお菓子と飲み物は、正直に言ってすごく美味しいというほどではなかった。むしろ拍子抜けするくらい普通で、どこか懐かしく、素朴だった。
今回、丹東で北朝鮮の食べ物を口にしてみて強く感じたのは、遠い国だと思っていた北朝鮮が、味や匂いといった五感を通すことで、ほんの少しだけ“近い存在”になったということだ。
ニュースや政治の文脈ではなく「甘い」「シケってる」「意外と美味しい」といった、ごく個人的でどうでもいい感想の積み重ねが、国と国のあいだにある距離を静かに縮めてくれる瞬間がある。
もちろん、だからといって何かが解決するわけではないし、世界が変わるわけでもない。
それでも自分の目と舌で確かめ、自分の体で経験することには、確かな意味がある。
少なくとも私にとって北朝鮮は、「ニュースで見る謎の多い異国」ではなく、「あの甘ったるいジュースとカリカリナッツのある国」になった。
それだけで、この旅には十分すぎる価値があったと思っている。