ミラノの伝説的食堂「ラッテリア・サン・マルコ」が待望の復活 受け継がれゆく唯一無二の味
ミラノを旅するグルマンには知っていてほしい。ファインダイニングも素朴な食堂も、この街が求める味は思いのほかシンプルだ。しかしそこには伝統を愛し、革新を求める街ならではの奥深き哲学と物語が秘められている。ミラノを愛さずにはいられない一皿を探しにいこう。
伝説的食堂が待望の復活!
◆Latteria San Marco(ラッテリア・サン・マルコ)

客の8割が注文するというレモンパスタ。レモンピールにピリッとした青唐辛子が利いている。18.5ユーロ。
ミラノの食文化を語るとき、ラッテリア・サン・マルコの名を外すことはできない。アルトゥーロとマリア夫妻が1965年から営む、ブレラ地区のはずれの小さな店だ。
ここで出されるのは、塩だけで火入れされ口の中でほどけるような鶏むね肉や、素材の旨みだけで満ちるオイルパスタ。どの料理も素朴でありながら驚くほど深く、どこかで食べたことがあるようでいて唯一無二。

濃厚なカラスミがあとを引くトマトのパスタ。18.5ユーロ。

塩のみで味付けした鶏のむね肉と苦みのある野菜トレヴィザーナを長年使いこんだ銀のフライパンで焼いた一皿。しっとりとやわらかく、隠れた逸品だ。23ユーロ。
列に並ばないと入店できず、マドンナやトランプ米大統領の来訪時にも予約を断ったという逸話も持つ。2023年末に夫妻の高齢化を理由に閉店するも、若き実業家ヴィットーリア・ロロ・ピアーナ氏が店を買収し、約1年後に店は再開した。

右からアルトゥーロ、ヴィットーリア・ロロ・ピアーナ、マリア。ロロ・ピアーナの創業家に生まれたヴィットーリアは幼いころから家族で通った「ラッテリア」を守りたいと買収を決意。夫婦に直談判し、店の再開に消極的だったふたりを説得したという。
喪失感に包まれていた世界中の常連客はこのニュースに歓喜し、復活から約1年が経過した現在も長蛇の列は途切れることがない。夫婦は変わらず店に立ちながらアルトゥーロの腕を引き継ぐ料理人を育てている。

小さな厨房には現在88歳のアルトゥーロとその腕を引き継ぐために修業をする料理人たちが。

常連客のひとりが描いた《ウルビーノ公夫妻の肖像》をオマージュした夫妻の絵。
常連客からの贈りものが所せましと飾られた店内は、この場所がミラノにとって欠かせない場所であることを物語る。60年間愛されてきた“ミラノの味”は、世代を超え受け継がれていく。

店の外観。
Latteria San Marco(ラッテリア・サン・マルコ)
所在地 Via S. Marco 24, Milano
電話番号 02 6597653
営業時間 12:30~14:30、19:30~22:00
定休日 土・日曜 ※予約不可
Instagram @latteriasanmarco