赤江珠緒に聞く、「たまむすび」終了の決意「20年以上仕事一筋…子どもと濃密な時間を味わいたいと思った」

 子育てをしながら仕事をしている、あるいはこの先仕事をしたい……。状況はさまざまでも、子育てと仕事のバランスに悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。フリーアナウンサーの赤江珠緒さんは、パーソナリティー歴11年目にラジオ番組「赤江珠緒たまむすび」の終了を決意しました。番組の人気が絶頂の時期にキャリアを立ち止まり、子育てを選んだ赤江さん。多くの親が悩む子育てと仕事の両立について、赤江さんの思いを聞きました。※前半<小2の母・赤江珠緒に聞く“子育て全振り”生活「PTA役員は、今しかできない潜入取材のようで楽しい」>から続く

■仕事が「止まらない」なかで、まる2年間悩みました

――子育てとキャリアの両立はつねに悩ましいものです。赤江さんは、どうやって答えを出しましたか?

 実際にラジオ番組の仕事を終了するに至るまで、相当悩みました。「仕事やめようかな」「いや、でもここを乗り切れればもう少しラクになるかもしれない」なんて、2年間ずっと悩んでいました。

 これは私の持論なのですが、「どうしていいかわからない」と自分で決められないときは、まだ「悩みきれていない」ということだと思うのです。私は、悩んでいるときを「自分の中で弓を引いている時期」ととらえるようにしています。じゅうぶん悩みきると、矢は自然にパーンと飛んでいく。すると、どんな結果になっても後悔はありません。

――2年間も……。その間、つらかったですね。

 そうですね。そのころは忙しすぎて、日々の仕事を回すのが精いっぱい。最後のほうは、夜、寝かしつけで子どものたわいもない話を聞きながら「明日のゲストにはどんな質問をしよう」なんて考えていて、「お母さん、聞いてないな」と子どもが悟ってしまうくらい。仕事が「止まらない」状態でした。

 でも、悩むことがよくないことでは決してないと思うのです。悩んでいる自分を俯瞰(ふかん)で見たらなんだかとてもジタバタしている。そんな自分を「おお、苦しんでる、苦しんでる」とおもしろがっている自分も、どこかにいるのです。

■子育てと仕事のバランスを「ソフトクリーム」に例えると?

――悩む自分をおもしろがる……ポジティブです!

 これは私の場合なのでご参考になるかどうか……。でも、どうせ生きるなら、おもしろく愉快に生きたいという気持ちがベースにあります。

 しんどいと感じることもありますが、矢を放つために必要な時間。そう考えると「私、がんばってるじゃん!」「あっ、弓を引いてる、引いてる」と前向きにとらえることができます。

 私が子育てと仕事のバランスをどう考えているかというと「ソフトクリーム」です。

――ソフトクリームですか?

 ソフトクリームって、バニラとチョコとミックスがありますよね。あれといっしょじゃない?と思っているんです。たとえば、子育てしながらも仕事をバリバリしてキャリアを積む生き方をチョコ。子育てや主婦業を主にする道がバニラ。どちらも同バランスくらいで並行するのがミックスとします。

 チョコはキャリアも上がるし収入も上がります。そのかわり、子どもとの時間は少なくなります。バニラは子どもとの時間をたっぷりとれますが、その分収入が減って自分で使えるお金は少なくなる。いいとこどりのミックスは、どちらもそれなりに味わえますが、それぞれが単品の味ほど濃くないかもしれません。

 子育てと仕事の両立って、この3種類だと思うんです。どれがいいということでなく、どれを自分が選ぶかということなので、チョコを選ぶ人もいればミックスに決める人もいる。そう決めたら、自分の選んだ味を味わい尽くせばいい。食べきったら、また次のソフトクリームを買えばいいんです。

――赤江さんはバニラを選んだのですね。

 それまで、20年以上仕事一筋で、お盆もお正月も休みなく働きました。チョコを味わい尽くしたときに、私は「子どもが成長する前に、子どもと濃密な時間を味わう人生を歩きたい」と思ったのです。「バニラが食べたい!」と。それがいいとか悪いということではなく、私がそのときに食べたかったものがバニラだったのです。

 チョコならチョコ、バニラならバニラ、ミックスならミックスと、せっかく選んだ今の味。「ほかの味がよかった」と悩まずに、今手元にある自分で選んだソフトクリームを自信をもって、味わえばいいと思います。

■近所に買いものに行くことすら新鮮です

――バニラの味はいかがですか。

 これまで、普通の日常といったものを味わうことがなかったので、近所に買いものに行くことすら新鮮です(笑)。今は手に持っているバニラを徹底的に味わうために、せっかくだから子どもの学校のPTA役員もやっています。新しいことをやりたいタイプなので、とても楽しくて。仕事はトッピングのようなバランスです。

 今は子育てが楽しくて仕方がないのですが、そのうちに娘も反抗期に入るんでしょうか。もし悪口を言われたらどうしましょう。「ど~の口が~!!」と、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に出てくる湯婆婆並みに迫るかもしれません(笑)。

 でも、そんなときも私なりの楽しみ方を見つけたいと思います。とにかく「おもしろポイント」「遊びポイント」を見つけたり、考えたりするのが好きなんです。そうですね、「悪口貯金」なんてどうでしょう。私に反抗して放った言葉の数々をメモってためておく。それを、大人になったときに見せてあげるとか。

 仕事が忙しかったときは、まだ小さかった子どもの「これは覚えておきたいな」と思った言葉をノートにメモしていました。小さな子どもの言い間違いや勘違いって、とてもかわいいですよね。「ワンピース」は、なぜか「ダンミッシュ」、「ハンググライダー」は「半額ライダー」。ハンググライダーは先日「ねえねえ、半額ライダーってさ……」と小3になった今も言うので、「まだそれだったのか!」とあわてて直しました(笑)。

――もう一度、ラジオをやりたいと思われますか?

 そうですね……。自分の衰えも感じます。体力もそうですし、言葉も瞬発的に出てこなくて「ほら、あれ、あれ」なんて。脳トレをしないとまずいと思っています。言葉が出てこないのは以前からなのですが(笑)。でもこの先、もし需要があれば……。

 衰えといえば、家族でよくアスレチックに出かけます。丸太を渡ったりロープにぶら下がったりと、なかなか本気のアスレチチックなのですが、これがもう、全然できないんです。私、子ども時代は外遊びが大好きなわんぱくキャラで通っていたのですが、わんぱく王の座は娘に譲ります(笑)。

 以前お医者さまにうかがったのですが、ドキドキしながら丸太を渡ったり、普段使わない筋肉を使ってヒヤッとしたりする経験は、脳へのいい刺激になるそうです。まさに、子どもの成長は同時に「老いへのトレーニング」! 夫婦でがんばります。

(取材・文/三宅智佳)

〇赤江珠緒(あかえ・たまお)/フリーアナウンサー。1975年兵庫県出身。1997年、朝日放送に入社。2003年よりテレビ朝日「スーパーモーニング」の司会を務めると同時に、バラエティーや情報番組でも活躍。07年に独立、フリーアナウンサーに。パーソナリティーを務めたTBSラジオ「赤江珠緒たまむすび」が、武道館でイベントを行うまでの人気番組となる。08年に結婚、17年に出産。子育てに専念することを決意し、12年のスタートから23年まで11年間続いた「赤江珠緒たまむすび」を終了した。現在は子育て中心の生活にシフトしながら、今まで見てこなかった景色を観察中。

・【写真】赤江珠緒さんの子育てノート、子ども時代の赤江さん(全2枚)

・【前編を読む】小2の母・赤江珠緒に聞く“子育て全振り”生活「PTA役員は、今しかできない潜入取材のようで楽しい」

・テレ東・狩野恵里アナが明かす私生活「料理はニガテ。ホワイトシチューが茶色になったことも(笑)」