ごみ袋に大量のアップルパイと胃薬…ごみ清掃芸人が14年間清掃を続けて見つけた答え「ごみはウソをつかない」

FRaUが発信し続けるSDGsの思いに共鳴する企業や専門家を招き、サステナブルな情報共有と異業種間の交流の場として開催してきた「FRaU 共創カンファレンス」。第3回となる今回は2025年12月19日に開催された。

2026年に向けてFRaUが掲げるテーマは「日本における“もったいない”がつくる未来」。このテーマに沿って、サステナブルな活動を続ける企業や専門家に、それぞれの立場から講演していただいた。ごみ清掃芸人としても知られるマシンガンズの滝沢秀一さんが登壇。「ごみは資源の宝庫。ごみと“もったいない”を考えるセミナー」と題し、すぐにでも見直したくなるごみに対する意識や出し方が語られた。

ごみはウソをつかない

お笑い芸人として活動する一方、14年間にわたりごみ清掃員として現場に立ち続けてきたマシンガンズの滝沢秀一さん。漫才師としてのキャリアは28年を超え、近年は「ごみ」をテーマにした講演や環境啓発活動にも注力する滝沢さんが、講演の冒頭でこう言い切った。

「14年間ごみ清掃をしてきて、私がたどり着いた結論はこれです。ごみはウソをつかない」

ごみは生活の結果であり、人の本音や無意識をそのまま映し出す存在だという。一体、どういうことなのだろうか。

「生活で使っているもの以外がごみとして出てくることはありません。ごみは生活の縮図なんです。以前、ごみ袋にあふれるほどアップルバイの包装紙が詰まったごみを回収したことがあります。それだけでもアップルパイが大好きだなということがわかりますよね。1日一個では、あんな量にならないはずで、1日に3つぐらい食べている量なんです。さらによく見ると、メンソール系のタバコが入っていました。49歳の私より少し上の世代の方がよく吸っている銘柄なんです。このごみ袋はそのぐらいの年代の方が出したんだろうなということもわかります。さらによく見ると、胃に効く漢方薬も入っていました。…胸やけしてるんですよ。50〜60代でこんなにアップルパイを食べたら、胸やけもしますよ、と言った具合に、その人の生活がごみに現れるんですよ」

ごみはウソをつかない, ごみの出し方は防犯にもつながる, 清掃現場で起きている現実, 最も深刻な「リチウムイオン電池」

共創カンファレンスでセミナーを行う滝沢秀一さん。

ごみの出し方は防犯にもつながる

また、ごみは生活を写し出すだけでないという。ときに空き巣に対しては、彼らにとって有益な情報を与えてしまう危険性も。

「二日酔い防止のドリンク剤が大量に出ているのを空き巣が見たらどう思うでしょう。“毎晩飲み歩いていて夜はいない”という情報になりますよね。一度に出さない方がいいと思います。それから、治安が悪いとされる地域は、ごみ集積所が荒れているという共通点があります。たいていごみが散らかっているんです。

ごみってごみを呼ぶんですよ。ごみが捨ててあると、あ、ここに捨てていいんだと思い、どんどん捨てていくんです。集積所をきれいにすることは、治安を守ることにもつながると思います。

また、引っ越しを考えている際、候補にしている物件の集積場を見ることもおすすめします。どんな住民が住んでいるか、なんとなくわかると思います」

清掃現場で起きている現実

滝沢さんは清掃員の立場として、客席に少しの配慮を呼びかけた。飲み残しのある缶やペットボトルは、悪臭や虫を呼ぶ。とくに夏場は深刻だ。

「蜂に追いかけ回されながら回収することもあります。匂いで花と間違えるんです」

もっとも深刻なのが生ごみの水分。いわゆる「ごみ汁」。

「生ごみの約8割は水分。絞らずに捨て、それが一滴でも洋服にかかると一日中、悪臭がひどいんです。臭いだけでなく、重量も増えるので清掃車の燃費にも影響してきます。さらに焼却時には温度が下がり、重油を足さなければならなくなる。その費用は、すべて税金です」

生ごみを“キュッと絞る”だけで清掃員の負担も、私たちのコストも減らすことができるのだ。

ごみはウソをつかない, ごみの出し方は防犯にもつながる, 清掃現場で起きている現実, 最も深刻な「リチウムイオン電池」

会場には滝沢秀一さんが出版した書籍も並んだ。

最も深刻な「リチウムイオン電池」

近年、清掃現場で深刻な問題になっているのが、リチウムイオン電池による火災だ。

「モバイルバッテリーやワイヤレスイヤホン、ハンディファンや電子タバコなど、私たちの日常にはリチウムイオン電池を使った製品があふれています。これらが可燃ごみに交ざると、収集車や処理施設で発火する恐れも。実際に、韓国では飛行機内で火災事故が起こりました」

国内でも清掃車が炎上し、清掃員の命に関わる危険な事故も起きているという。一方で、正しい処分法は自治体ごとに異なり、わかりにくいのが現状だ。これこそが深刻な問題だと指摘する。

「とくに電池が膨張している場合、火災の危険性が高いため、量販店や自治体でも引き取りを断られるケースもあります」

さらに使用中も注意が必要であると話す。

「外出先で落として衝撃を与えてしまっても、その場で発火はしないかもしれません。しかし、火災の8割は充電中に起きています。見えない内部の不具合が原因で、充電時に突然発火することもあるんです。だから充電中はそのまま寝たり外出したりせず、必ず目の届く場所で行ってほしいと思います。日用品のさまざまなものに気軽に使われているからこそ、非常に危険だということを知ってほしいと思います」

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滝沢秀一さん。

リチウムイオン電池の火災問題は、「便利さ」がある反面、清掃現場だけでなく日常の安全を脅かしている現実なのだ。正しい知識と行動、そして処分の方法を知ることで、日常のごみ出しが命に関わる事故を防ぐことができるのだ。

この後、滝沢さんは「ごみとの向き合い方」で未来が見えると語っている。実際に日常や社会、そして企業の未来にどんな影響を与えているのだろうか。

【滝沢秀一(ごみ清掃芸人)】

1976年、東京都生まれ。太田プロダクション所属。1998年、西堀亮とお笑いコンビ「マシンガンズ」結成。お笑い芸人としての芸能活動と並行して、2012年からごみ清掃員として働く。2019年刊行のまんが『ゴミ清掃員の日常』と2020年刊行の『ゴミ清掃員の日常 ミライ編』(いずれも講談社)は累計10万部を突破。2020年から、環境省サステナビリティ広報大使。消費者庁『食品ロス削減推進大賞』の委員長賞を受賞。エッセイ集『このゴミは収集できません』(白夜書房)、『ごみ育』(太田出版)、『すごいゴミのはなし』(学研プラス)など著書多数。結成16年以上のベテラン芸人たちによるトーナメント形式の賞レース「THE SECOND」では、2023年準優勝、2025年ベスト8。

撮影/神谷美寛(講談社写真部) 構成・文/笹本絵里(FRaUweb編集部)