年会費アップは諸刃の剣?止まらない高齢化の中でゴルフ場存続を左右する次の一手
高齢化や年会費等の値上げでゴルフ場離れが急加速!?
留まることのない日本の少子高齢化。もちろんゴルフ場も、この例外ではありません。
長らくゴルフ市場を支えてきた、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となったことで、健康上の理由や免許返納等の理由からリタイア組が続出しています。
これまでゴルフ場のボリュームゾーンを構成してきたこれらの層が年々減り続けることから、多くのゴルフ場で大幅な来場者数の減少が現実のものとなってきました。
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「確かにゴルフ人口の減少は、多くのゴルフ場で存続に関わる大きな問題となっています」と語るのは、ゴルフ会員権を専門に扱う加賀屋ゴルフ代表の前田信吾さん。
「ゴルフ人口に対してゴルフ場の数が多すぎるような地方のゴルフ場は、特に経営が厳しくなってきていると思います。プレー人口の高齢化や減少だけでなく、ゴルフ場を支えるスタッフ自体の高齢化も進んでいますし、キャディー等の人手不足もなかなか解消できないでしょうから」

2025年1月より年会費が13万2000円から19万8000円(正会員)に引き上げられた相模原ゴルフクラブ 写真提供:加賀屋ゴルフ
「ですから、これらの問題に対処するために、まずは年会費を上げようと考えるゴルフ場が徐々に増えています」
ただでさえ高いと感じる名変料や年会費などが上がるとなると、ますます若い世代のゴルファーは会員権を買わなくなるのではないでしょうか。このままではゴルフ場の未来は、本当に暗くなってしまいます。
このような厳しい環境におかれているゴルフ場経営。生き残りをかけて、何か策を講じてはいないのでしょうか。
「いやもちろん、ただ手をこまねいて待っているわけではないと思いますよ。理事会や各委員会で、これら諸問題に関する議題はすでに話し合われているのだと思います。ですが、具体的な方向性がまだ定まっていないゴルフ場が多いというのが実情なのではないでしょうか」

月例後も会員向けのプレー枠を設けるなどサービスの拡充を図る千葉CC(※写真は川間コース) 写真提供:加賀屋ゴルフ
「いずれにしても、ただ名変料や年会費等を上げるだけでは『これを機に辞めようかなぁ』と考える会員も出てくるでしょうから、会員に向けた新たな魅力あるサービスの拡充がゴルフ場存続のカギになるでしょう」
「例えば千葉カントリークラブ(千葉県)をみてみますと、今年4月より年会費が現行の13万2000円から15万4000円に値上げされることが決まっています。2024年4月には名変料が値上げされたのですが、その際にはメンバーさんからの要望に応えるかたちで、月例後の遅めの時間帯にプレーできるメンバー専用枠を設ける等の会員向けサービスを拡充しています」
女性会員への制限撤廃など変わりつつある譲渡条件
存続を賭け、会員へのサービスを拡充させていくゴルフ場が増えていくことは、すでに会員権を保有している利用者や、また会員権の購入を考える人には、とても明るいニュースのように思えます。
では実際に、どのような会員向けサービスが展開されているのでしょうか。
「女性がゴルフクラブに入会を希望する場合、残念ながら、未ださまざまな制約があるのが現状です。ですが、少しずつ変化が見え始めているのは確かです。女性も総理になる時代ですから」と、前田さん。

女性会員に寛容な規定を設けている筑波CC 写真提供:加賀屋ゴルフ
従来型のゴルフ会員権(特に“名門”と言われているようなゴルフ場)は、現在も「男性名義の会員権は、女性に譲渡できない」という規定を設けているゴルフ場が多いと聞きます。
「そうですね。そのような規定を設けているゴルフ場も数多くありますが、女性に寛容なゴルフ場も徐々に増えてきています」
「筑波カントリークラブ(茨城県)や日高カントリークラブ(埼玉県)、鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)などは男女区分を撤廃していますので、親族への譲渡はもちろん、男性名義の会員権を女性名義に変更することが可能になっています」
確かに、女性会員権の制限が緩和され取得の幅が広がることは、今後の会員権市場にとって明るいニュースだといえるでしょう。
「そのとおりです。利用者にとっては自由度が広がり、メンバーライフ継続のきっかけにもなりますし、ゴルフ場側にとっては女性や若い世代がゴルフ会員権に関心を持ち、また実際に入会していただくことで活性化を図れるわけですから、双方にとって、とても良いサービスだと思います」
高齢ゴルファーもプレーを楽しめるサービスの導入がカギ
高齢化が進むゴルフ業界ですが、ゴルフは生涯スポーツ。老若男女を問わず、誰もがいつでもプレーを楽しめる安全な環境整備が何より大事なことは間違いありません。
「ゴルフプレーヤーの高齢化は避けてとおれませんが、高齢者でも楽しめるコース作りは、すでにいろいろなコースで始まっています」と前田さん。
「例えば宍戸ヒルズカントリークラブの東コース(茨城県)には、18ホールの総距離が4200ヤードほどの『グリーンティー』が2022年から導入されています」

高齢者向け「グリーンティー」が導入されている宍戸ヒルズCC(※写真は西コースでグリーンティーの設置はありません) 写真提供:加賀屋ゴルフ
「対象は80歳以上の男性ゴルファーや70歳以上の女性ゴルファー、またはジュニア向けとのことですが、ゴルフをいつまでも健康的に楽しみたい方には、距離的にもぴったりのサービスでしょう」
こういったサービスのほかにも前田さんは、フェアウェイへの乗り入れが可能なカートや、軽量化された操作がラクな1人乗りのカートの導入等が、喫緊の課題だといいます。
「いわゆる“名門”と呼ばれるようなコースでは、こういった利便性を追求したカートの導入は難しいのかもしれません。ですが、ゴルフ場の存続を考えると、利用者の思いに沿うようなサービスの拡大が、もっと必要なのではないかと思います」
「そういった意味でも、ゴルフ場は今後、伝統と格式を守り続ける正統派のゴルフ場と、生涯スポーツであることを念頭に置いたサービス拡充型のゴルフ場の二極化が、より進んでいくように感じています」
【監修】加賀屋ゴルフ代表 前田信吾さん
ゴルフ会員権取引を行う加賀屋ゴルフ代表取締役。年間平均200日以上の割合でラウンドを楽しむゴルフの達人。独自の視点を生かしたゴルフ場の比較&検討に定評アリ。
月夜野いおり
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