メイクを落とさず寝るとシミやシワになる? 皮膚科医が教えるクレンジングの重要性

「疲れてメイクを落とさずに寝てしまった…」という経験、誰にでも一度はあるかもしれません。しかし、その何気ない行動が、将来のシミやシワにつながる可能性があることをご存知ですか?メイク汚れが肌に残ることが、なぜ肌老化を招くのでしょうか。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師の著書『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)から抜粋して、メイク汚れが引き起こす「慢性微小炎症」のリスクと、それを防ぐための正しいクレンジング方法について詳しく解説します。
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Q. メイク汚れを落としきれていないと、本当にシミやシワにつながるの? どうすれば防げる?
A. メイク汚れが肌に残っていると、毛穴詰まりや微小炎症の原因になります。これがターンオーバーの乱れや色素沈着を引き起こして、長い目で見るとシミやくすみへと発展するリスクが高まります。さらに、慢性的な微小炎症はコラーゲンの分解を促し、結果的にシワやたるみを進行させる可能性もあります。直接的に「メイク=シミやシワの原因」というわけではありませんが、メイク汚れを十分に落とさないことによる〝二次的影響〟が問題となるのです。
これを防ぐ最も重要な対策は、正しいクレンジングや洗顔を徹底することです。
❶ポイントリムーバーを使い、マスカラやアイラインなどを優しく落とす。
❷肌全体をクレンジング剤で包み込み、こすらず短時間で洗う。
❸洗顔料を泡立てて、ぬるま湯ですすぎ残しがないよう丁寧にすすぐ。
これらを行った上で、十分な保湿やUV対策を怠らないようにしましょう。また、抗酸化物質を含む食品(ビタミンCやポリフェノールなど)を適度に摂取し、肌の内側からのケアをするのも有効です。

Q. なぜ毛穴詰まりや微小炎症が起こるの?
A. メイク製品には油分や色素、シリコーンなどが含まれています。これらが肌に長時間残ると、皮脂や空気中のホコリと結びついて毛穴を塞ぐ原因になりやすいのです。毛穴の中に酸化した皮脂やメイク汚れが溜まると、肌の内部で免疫反応が起き、炎症が起きる可能性が高まります。炎症が続くとターンオーバーが乱れやすくなり、メラニン生成が増えてシミやくすみが生じる一因にもなるのです。
Q. メイク汚れによる慢性微小炎症がコラーゲン分解を促すって本当?
A. 体内で炎症性物質が多く分泌されると、コラーゲンやエラスチンなどを分解する酵素(MMPs:マトリックスメタロプロテアーゼ)の働きが活性化しやすくなることが知られています。こうして真皮層の弾力構造がダメージを受けると、肌のハリが失われ、シワやたるみの進行が速まる恐れがあります。つまり、メイク汚れによる微小炎症が慢性化すると、この酵素がコラーゲンを破壊しやすい環境を作ってしまうというわけです。
Q. メイクが直接的にシミやシワを作るわけではないの?
A. その通りです。メイク製品それ自体がシミやシワを生み出すわけではありません。実際、多くのファンデーションや下地には保湿成分やUVカット成分が含まれ、むしろ肌を外部刺激から守っている面もあります。しかし、メイクをしたまま寝る、クレンジングが不十分などの不適切なケアによって、二次的に肌トラブルが増えるリスクが生まれます。そこを誤解しないようにすることが大切です。
Q メイクをしていない日はシミやシワは進行しないの?
A メイクをしていない日であっても、紫外線や大気汚染、乾燥、ブルーライトなどの外部刺激によって肌はダメージを受けます。そのため、シミやシワの原因はメイク汚れだけではありません。とはいえ、メイク汚れが加わるとさらに肌への負担が増すので、メイク汚れをしっかり落とすことは特に重要なケアの一つと捉えてください。
Q. メイク落としシートや簡単クレンジングで済ませても大丈夫?
A. メイク落としシートは便利ですが、シートによる摩擦が肌への負担になることがあります。また、十分に汚れを落としきれないケースもあり、二次洗顔(洗顔料を使う)を併用しないと毛穴汚れが残る可能性があります。簡便さはメリットですが、日常的に使う場合は力加減と仕上がりをしっかりチェックすることが大切です。肌が敏感な時期は、負担が少ないクレンジングミルクやジェルなどを選ぶのもおすすめです。

*書籍『大学病院の美容皮膚科医が教える 最新医学でわかったシミ・シワの「消し方」』(朝日新聞出版)より
大塚篤司 おおつかあつし
近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授、医師。千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。2021年、教授就任を機に、近畿大学医学部皮膚科に美容チームを立ち上げた。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)などがある。
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