<衆院選埼玉>回顧(上) 自民「高市人気で心一つに」 中道「浸透する時間足りず」

 自民が埼玉県内16小選挙区を独占した8日の衆院選。自民の勝因や中道改革連合など野党の敗因を、主要各党の県組織幹部の9日の会見などから、2回に分けて振り返る。(杉浦正至、大久保謙司、足立優作)

 「埼玉県の歴史上なかった大勝利だ」。自民県連会長の古川俊治参院議員は会見で誇らしげな表情を見せた。「高市政権の人気もあるが、それをもとに地方議員と候補者が一体となって活動できた。心が一つになったことが、いちばん大きかった」

自民県連の古川俊治会長

 各候補者は、選挙カーやビラに高市首相の写真を載せ、首相が掲げる「責任ある積極財政」を演説で訴えるなど「高市人気」の恩恵にあずかろうと励んだ。3日には高市首相が県内各地で党候補を応援。さいたま市浦和区の北浦和公園には聴衆1万2千人(主催者発表)が集まり、老若男女が演台にスマートフォンのカメラを向けた。

 自民は2024年衆院選と25年参院選で、派閥裏金事件や旧統一教会問題が響き、防戦を余儀なくされてきた。古川さんは「過去2回の選挙で、あまりに自民党のイメージが悪くなった。(今回は)高市さんのカラーになり、イメージよりも政策を見ていただけた」と受け止めた。

 一方、前職9人が議席を失った中道は衝撃が収まらない。支援した立憲民主県連代表の熊谷裕人参院議員は、立民を創設した枝野幸男元官房長官らの落選を受け、「ショックで夕べは寝られなかった」。

立民県連の熊谷裕人代表

 中道が結成されたのは1月22日。立民出身の候補者たちは、昨年10月まで与党だった公明との唐突な合流を巡り、説明に追われた。「あまりにも時間がなさすぎた。説明をしなければいけない選挙は勝てない」と熊谷さん。立民、公明の支持層を意識するあまり、「活動が内向きになりすぎた」との反省も口にした。

 多くの中道候補は公明出身の比例候補と街頭に立つ機会を設け、公明支持層にアピール。だが、高市旋風は次第に風速を増し、選挙戦終盤には、陣営から「相手候補でなく、高市さんと戦っているようだ」との声も漏れた。熊谷さんは「選挙の時に立民を応援してくれる無党派が、高市ブームで半分ぐらいは自民へ行ってしまった」と分析した。

公明県本部の宮崎勝代表代行=いずれもさいたま市で

 公明県本部代表代行の宮崎勝参院議員も「新しい選択肢を示したが、有権者に浸透する時間が足りなかった」と悔やむ。支持層に中道への支援を全面的に働きかけ、比例北関東ブロックで名簿上位の公明出身者が当選したものの、支持は広がらなかった。「長年にわたる自民党との連携というものがあり、最初は抵抗感はあったと思う。徐々に理解は広がったが、末端まで行けたかというと、よく分析する必要がある」

 中道は全国で壊滅的な敗北を喫し、立民、公明に残った参院議員と地方議員の合流も見通せない。宮崎さんは「中道の流れは日本に不可欠。固まりとしては小さくなったが、大きくしていく必要がある」と語った。

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