秋田の冬、きりたんぽと並ぶもう一つの味 材料は同じコメ、家では団子の「だまこ鍋」

「だまこもち」や比内地鶏など秋田の味が詰まった「だまこ鍋」
秋田県の郷土料理と言えば、特産のコメを使った「きりたんぽ鍋」が全国的な知名度を誇るが、地元では同じくコメを使って一般家庭で広く食べられている「だまこ鍋」の人気も引けを取らない。きりたんぽほど知られていなくても、実は「だまこ派」も多い。林業の町として栄えた同県五城目町が発祥とされ、県民に親しまれている。(共同通信=本間優大)
だまこ鍋の主役は「だまこもち」。うるち米を粒の形が一定程度残るくらいにすりつぶし、ピンポン球ほどの大きさにした団子だ。秋田弁で「丸める」を意味する「だまける」に由来する。
きりたんぽは串型に固める工程や焼く作業を経て焼き目が香ばしいのに対し、だまこはもちもちとした食感が特徴。余ったご飯で手軽に作れる。
同町によると、起源はきりたんぽより古いと言われ、林業従事者が弁当のご飯をおのの背でつぶして丸め、山水に溶いたみそを付けて食べたのが始まりとされる。
鍋の材料はきりたんぽとほぼ同じ。基本は日本三大地鶏の一つにも数えられる「比内地鶏」のガラスープに肉や内臓が丸ごと入り、セリやシイタケ、ネギ、ゴボウなど山の幸が彩りを添える。具材のうまみたっぷりのだまこは絶品だ。
きりたんぽ鍋は同県北部の鹿角市でクマを狩るマタギの食事として始まり、後に料亭の料理として発展したが、だまこ鍋は一般の家庭で地域ごとの具材や調理法を用いて食べられてきた。
五城目町で郷土料理を約40年研究するコメ農家石井邦子さん(81)によると、干拓前の八郎潟周辺では、鶏ではなく、ワカサギやフナのだしが使われていたという。「おいしいコメにキノコ、セリ…。秋田の味が詰まっている。鍋の翌日にスープを吸っただまこを軽く焼いて食べるのも格別」と話す。
知名度ではきりたんぽに押されがちだが、だまこ派も負けていない。同町の主婦鳥井真理子さん(65)は「だまこは煮崩れせず、味が染みる。もてなしの料理にもちょうどよい」と熱く語る。
きりたんぽとだまこ。秋田の寒い冬には食卓に根付く名物鍋の両雄が欠かせない。

郷土料理「だまこ鍋」をつくる石井邦子さん=2025年12月、秋田県五城目町

「だまこもち」(上)や比内地鶏など秋田の味が詰まった「だまこ鍋」

秋田県の鍋料理発祥とされる地域、五城目町、鹿角市
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