「もう英語の勉強は不要」が5割以上? AIの出現でなぜ多くの人がそう思ってしまうのか それでも学ぶ意味とは

「英語ができない」。それが長年のコンプレックスだったはずなのに、いまは不思議なくらい気が楽だという。理由はシンプル、AIがあるから。私たちはこれから、言葉を「学ぶ」こととどう付き合っていくのか。AERA 2026年2月23日号より。

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「ずいぶんと気が楽になりましたね。AIがあればバレませんから。英語がダメダメなこと(笑)。英語を勉強する気はないです。必要ですか?」

 こう話すのは、関西のテレビ局に勤務する女性(42)。学生時代から英語が苦手で、コンプレックスだった。英国在住の取材先に急ぎのメールを書かなければならないとき、後輩に頼み込んだ。すらすらと書いた後輩が「これでいいですか?」と渡してきたときは、屈辱で落ち込んだ。いつかはちゃんと勉強し直さないと、不便だし、また恥をかくかも。そんな焦りの気持ちもずっとあったという。

「でもいまは、そんなメールの文面もAIがさくっと英語にしてくれる。読むのが難しい英語の文書だってすぐに日本語にしてくれる。学び直そうとは、もう思いません。AI様々ですよ」

 AIがあるんだから、もう英語なんて勉強しなくていいじゃないか──。そう思うのはこの女性だけではないようだ。株式会社NEXERとマネーイングリッシュが昨年12月に発表した「AI翻訳があれば英語は不要かに関するアンケート」では、「AI翻訳や通訳が普及しても、英語力が必要だと感じたことはあるか」という問いに、「あまりない」「まったくない」と答えた人が計52.2%に及んだ。

 なぜ、多くの人がそう思ってしまうのか。

 そこには、英語に対しては社会からの「ある要求」が強いという背景があると話すのは、認知言語学が専門の日本大学教授、町田章さんだ。

■学ぶこと自体に意味

「英語を学んだら、それを『使えなきゃいけない』と。古文や数学などでは、学んだ結果それを『使えるか/使えないか』が問題になることは少ないのに、なぜか英語は最初から『話せるようになる』という漠然とした目標がある。『使えるかどうか』という観点だけで英語学習の意義を考えるならば、AIが代替可能な存在になったいま、『もう勉強しなくていいじゃん』という声が出てくるのは当然だとも思います」

 もう一つの背景が、英語の学びには膨大な時間と労力がかかるということだ。町田さんが学生に「AIがあったとしても、英語の勉強がしたいか」と尋ねると、多くの学生が「したい」「自分の言葉として英語をしゃべりたい」などと答えるという。

「ただ、よくよく聞くと、『できないよりもできたほうがいいから』というレベルの意識なんです。そんな軽い気持ちでは、語学に特別な才能でもない限り『自分の言葉として英語を話せるようになる』などとても無理。この先、AIがもっと便利になっていけば、そのレベルの人たちはもっと『勉強しなくていいじゃん』になっていくというのが、私の予想です」

 では、そんないまの状況を、町田さんはどう考えるか。

「たとえAIによって英語でのコミュニケーションが便利になったとしても、『英語や外国語を学ぶこと自体に大きな意味がある』という点は変わらないと思います」

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2026年2月23日号より抜粋

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