【考察】革新するのはヒトだけじゃない。『ガンダム』に登場した非人間ニュータイプとは

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『機動戦士ガンダム』を祖とするガンダムシリーズはこれまで多数の続編、外伝、派生作品が誕生しているが、作中でニュータイプと呼ばれる単語を耳にすることは少なくない。

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ニュータイプとは何か――ガンダムオタクになって久しい筆者も、これについては思考が頭の中を充満し、未だに簡潔に言語として出力することができていない。

「ニュータイプは人の革新」とする主張、考え方も多く耳目にするところではあるが、アニメの中では特に戦闘に関してある種の神がかり的な勘の良さを発揮する者をこう呼ぶことが多い。

あるいは何らかの視覚化できない重圧を敏感に察知し、それによって危機を回避したり、逆にその重圧に委縮して動けなくなるといった側面でも描かれている。

総じて、いわゆる第六感めいたものを作品世界に落とし込んだものと理解しているのだが、これも見る人が見れば取るに足らない浅い説に見えてしまうのだろう。

いずれにせよニュータイプは、宇宙に進出したことで人類が新たに開拓した能力や感覚の拡充の一形態であり、劇中でもそのように描写されることは珍しくない。「サイコミュ内蔵兵器」を自在に操るという芸当は、オールドタイプには不可能だが、彼らはやってのける。

サル、イルカ…ニュータイプ能力にめざめた動物たち

ガンダムシリーズには複数のニュータイプが登場する。

それぞれに所属勢力も考え方も異なるが、いずれも戦闘においては少なからず活躍をするものであるからこそ、ファンの心にも印象深く残りがちだ。

さて、そんな彼らに共通している要素とは何だろうか。筆者は長らく、それは“大前提として人間であること。そして宇宙で生活していること”だと無意識に定義していた。

宇宙で暮らすようになり、意識を拡大させていった中で新しい存在となっていく、その萌芽。それがニュータイプだと思ったのだ。

有り体に書くと、まず宇宙進出ありきで、コロニー生活をしたり木星で暮らすようになっていくと、その中の数少ない人々がニュータイプ能力を獲得していったと考えていた…でも、そうすると地球に住んでいる人々は、ニュータイプにはなれないということになる。果たして本当だろうか。

アムロ・レイはサイド7在住以前は地球で暮らしていたが、『機動戦士Vガンダム』の主人公ウッソ・エヴィンも当初は地球在住。現実では、別に宇宙に移住した人類が何度も代替わりをする中で、突然変異的に誕生するわけではないというのがニュータイプのようだ。

それに、『機動新世紀ガンダムX』では、完璧に地球の、それも海から出ることのない生物である白いイルカが、明らかにニュータイプのような勘の良さ(と例のサウンド)を発揮してMSや艦艇の攻撃を掻い潜るエピソードも存在している。

この白いイルカはその他のイルカたちの危機を察知すると、彼らを先導する形で出現する。人間以外の動物、それも宇宙生活を経験していないイルカがニュータイプ能力を発揮する際に出す稲妻のようなエフェクトを発したとき、驚いたファンも多かったのではないだろうか。

また、アニメではなくコミック作品になるが『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』にはバルブスという名称のモビルスーツを操縦するクローン・チンパンジー集団が登場する話も存在している。

独自の訓練を受けた末に研究者を排斥する知能の高さを持つこの集団の中には、明らかにニュータイプとして覚醒した個体も存在していた。

白いイルカも、このチンパンジーも、その存在はニュータイプが人の革新であると提唱したジオン・ズム・ダイクンの主張と整合性が取れないものとなってしまうが、個人的にはそこはあまり気にしなくて良いのではないのかとも考える。

結果的にニュータイプ能力を獲得した者の中には、他者とモビルスーツ越しに十分理解し合えるだけの感受性を獲得しつつも、その能力に自分から蓋をする不器用なキャラクターも多かった。

逆にこの動物たちは、自分の獲得した能力を手足のように使いこなしている。身に着けた技能を生存のためにバッチリ生かせるという観点では、彼らこそ正統進化したニュータイプなのかもしれない。

必要があれば生物は進化する。状況次第では全生命がニュータイプへと革新するのでは

ジオン・ダイクンの唱えたニュータイプ観は、地球から遠く離れたサイド3に追いやられた宇宙移民たちに、大きな自立心や精神の安定といったプラスの影響を及ぼした。

地球からもっとも離れたサイド3に暮らす自分たちこそが、地球圏に魂を囚われることもなく、より自由に魂を解放し、結果として相互理解を深め、国民がお互いを信頼し合えるようになるはずだと。

この考え方こそが、隔絶された宇宙の片隅で暮らす人々にとっては”救済”のような考え方だったに違いない。

結果としてニュータイプは戦争の道具にされてしまい、さらにはニュータイプ能力を人工的に再現する実験なども行われるようになったのは皮肉なことではあるが…。

前述のバルブスに搭乗するチンパンジーたちも、そういった実験を経て育成をされた生き物たちである。もしかすると厳密には彼らはニュータイプでもなく、強化人間ならぬ強化チンパンジーとでも呼んだ方がいいのかもしれない。

また、白いイルカに関してはその素性が知れないまま、再び大海に消えてしまったので本当に謎めいている。今のところガンダムシリーズでニュータイプに覚醒したとおぼしき活躍を見せた種はヒト、チンパンジー、イルカといったところだろうか。

また、『機動武闘伝Gガンダム』の風雲再起も結構怪しいところではあるが、一応今回は除外しておきたい。

ニュータイプに進化するための条件は未だ不透明だ。ただ、ニュータイプが旧来の人類の上位互換というような単純な話ではないことは確実で、人の革新とされる割には、ニュータイプになった人間が、普通の人と同じように破滅することも珍しくない。

アムロ・レイとシャア・アズナブルはどちらも宇宙世紀でも最大知名度を誇るニュータイプだったが、最後はアクシズ近辺で口論中に消息不明になっている。

ニュータイプ同士ですら分かり合えないまま舞台から去るケースは割とあるあるで、ピーキーに尖り過ぎた能力は結局足枷になる場合もあるのだろう。

その点、動物はシンプルだ。獲得した能力をしっかり使って立ち回るという点では、白いイルカもバルブスに乗るチンパンジーたちも、明確に従来の生態より進化している。ここがニュータイプになれたものの、状況に振り回されることがやけに多い人間と違う部分だ。

ガンダムシリーズはきっと今後もますます展開が続くことになるはずだが、もしかすると時折、人間ではない生き物がニュータイプ能力を獲得するケースを見ることもできるのかもしれない。

※本記事は「オタク総研(https://0115765.com)」で掲載された内容の二次配信です