AI時代に武器になるのは「正しい指示」より「うまく頼む感覚」“答えの質”を上げるプロンプトの組み立て方

AI時代に武器になるのは「正しい指示」より「うまく頼む感覚」 “答えの質”を上げるプロンプトの組み立て方
【3行要約】
・生成AIで効率化は進む一方、「人間は何を担うのか」が見えづらくなり、不安を抱くビジネスパーソンも増えています。
・ミューワソリューション株式会社副代表の門氏は、プロンプトを「指示」ではなく「呪文」として捉える感覚が重要だと述べ、AI専門家の宇野氏もその現象を文脈学習の結果として説明しつつ、一定の効果があり得ると語ります。
・科学信仰だけに寄らず、センスやアニミズム的な発想でAIと対話し、共生する使い方へ切り替えるヒントを提示します。
宇野礼於氏の自己紹介と「人類を一段階賢くする」ミッション
門拓馬氏(以下、門):今日は、AIの専門家の起業家である、宇野礼於さんをお呼びいたしました。宇野さんとは、今いろんなお仕事のつながりでやらせていただいています。まずは軽く、宇野さんご自身から自己紹介をお願いします。
宇野礼於氏(以下、宇野):あらためて宇野と申します。最初に簡単に、弊社のご紹介をさせていただきます。私はSurpassOneという会社をやっていて、今6期目です。
そもそも何者かというところなんですけれども、大学を卒業した頃、Googleなどの大手企業がAI、ディープラーニング、機械学習に関わる開発者向けツールを無料で公開し始めました。そこから技術が世界に広まり、社会実装が進んでいったんですね。
ちょうどそれが始まる頃に、最初の会社に入りました。その会社でも、AIでいろんな課題を解決していく取り組みをしていました。なので当時からずっと、エンジニアとして働いてきました。その後、一度フリーランスを経て会社を立ち上げ、現在に至っています。
弊社はミッションとして、ちょっと偉そうな言葉なんですけれども、「人類を一段階賢くする」と掲げています。ちなみにこれ、もっといい表現があったら募集中なので、ぜひいただきたいところなんですけれども。
門:(笑)。
宇野:自分の中でも、いろいろいつも考えているところです。お客さんに説明する時に、微妙な表情をされることがあるので、どうかなと思いつつ、今のところはいい表現が浮かんでいなくて、一応これを使っています。
AIって、いろんな自動化や効率化など、人間がやらなくていいことをやってくれるという使い方が非常に多いと思います。私自身ももちろんそうなのですが、どちらかというと、自分たち自身の学習や成長などにAIの技術を活用していきたいなという思いがすごくあります。
なので、実際に何かを学習をされている方や、実践したり学んでいる方の支援をしたり、あるいはそういう方が少しでも増えるといいなという思いから、こういった活動をしています。
SurpassOneの事業と、先生向けサービス/AIメモアプリ
宇野:弊社は事業としていろいろとやっています。システム開発や、AIを使った開発。あとは法人向けに、主にITやAIに関わるところで研修をしたり、自社でもサービスの開発などを行っています。
今、弊社が提供しているサービスの1つに「SurpassOne」というものがあります。主に学校の先生方や、塾・予備校、研修会社などで教える立場の方に向けたサービスです。
教材作成や生徒への指導に伴う負荷を下げることで、先生が1人ひとりの生徒によりしっかり時間を使えるようになるといいなと思い、このサービスを開発しています。
もう1つは、AIメモアプリの「Keybarn - 記伴」です。これは実験的に作っていたものです。私自身、けっこうメモを取るのが好きで、これまでいろんなメモアプリを使ってきました。
例えば以前は「Evernote」などを使っていたのですが、自分で整理していくのが途中で面倒くさくなってしまって、最終的には、シンプルなメモアプリにひたすらテキストだけ書き込む、みたいなことになっていました。
そこをうまくAIが整理をしてくれたり、そこから何か新しいことを導き出してくれたりするといいなということで、実験的にそういったアプリを作ってきました。
言語化・プレゼンを鍛えるトレーニングアプリ構想
宇野:今日はせっかくの場なので、こちらもご紹介させていただきます。今ちょうど、たくまさん(門氏)にアドバイスをいただきながら、言語化力のトレーニングだったり、スピーチなどのプレゼンテーションのトレーニングができるアプリを開発しています。
専門家の前で私がこういうことを言うのも恐縮なんですけれども(笑)、やはり、どんな活動にしても、1人だけではなくて、チームとか組織などたくさんの人が集まって何かを進めていきます。
その中で、1+1が2になるのか10になるのか、あるいは1+1で0.5ぐらいになってしまうのかというのは、本当にコミュニケーションの部分が本質的なところかなと思っています。
そこをトレーニングする場というか、アプリケーションを作りたいなという思いでやっております。どういうものかといいますと、これも今出てきている生成AIの技術を使っています。最近はChatGPTなどでも直接話せるんですけれども、そういったものを使ったことがある方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
あっ、もうほぼみなさま(笑)、すばらしいですね。
門:すごい。
宇野:ChatGPTと対話をしたり、聞いたりできると思うんですが、あれをトレーニング用にカスタマイズして、アプリの中で使えるようにしています。
流れとしては、最初に、どういうことを話したいのかというのを対話の中でまとめます。その後に、実際にスピーチ、プレゼン、あるいは対話のコミュニケーションを練習したりできるようになっています。最後に、AIからフィードバックが来て、それを受けてまたトレーニングをしていく、というサイクルになっています。
こちら、今絶賛開発中です。そろそろテストアプリの配信なども予定しています。もしご興味がある方がいらっしゃったら、公式LINEにご登録いただくと、今後アプリの配信でしたり、そういうご案内をさせていただきたいなと思います。
門:モニターは基本的に無料ですか?
宇野:はい、もちろんそうです。
門:はい、みなさま、ただで使えます(笑)。ただほど怖いものはないって聞いたことはありますか? 絶対使ったほうがいいですよ。なぜならば、宇野さんがスーパーいい人だからです(笑)。
(会場笑)
いや、本当にこれからいろいろおもしろいアプリを作っていって、もっともっと広げていけるんじゃないかなと思っています。今はUIまわりはそこまで作り込めていないんですけど、本当におもしろいと思ってもらえるアプリになるんじゃないかなと思っています。
将来的にはお子さまのトレーニングなどの領域にもつながることが、できるようになっていくんじゃなかろうかとか、いろいろと構想もあります。
ぜひみなさまの声をフィードバックとしていただいて、いろいろ作り上げていきたいと思っています。よろしければ登録していただいて、配信を少しお待ちいただけたらうれしいです。
宇野:ということで、いったん私の紹介は以上となります。
AIは「呪術性」と相性がいい?
門:はい、ありがとうございます。みなさま、AIの未来がどうなるかという話は正直、聞き飽きているんじゃないかなと思っています。今日はもう少し違ったおもしろい話をしたいなと思っています。
Gemini君と2時間ほど壁打ちをしました。僕が感じているAI性のところをトークに持ってきたらおもしろいんじゃないか、という結論に至りました。
みなさまにとってAIってどういうものですか? 便利なものとか、たぶんいろいろあると思うんですけど、宇野さんにとってはAIってどういうものですか?
宇野:日々のことで考えると、本当にもう半分共生しているというか、いなくなってしまうとものすごく困るもの、という感じになりつつありますね。
門:そうですよね。それは本当にそうだなと僕も思っています。ただ、若干、暗くて申し訳ないんですけど、僕、AIに呪術性みたいなのを感じていて……。
宇野:うん……。
(会場笑)
門:(笑)。何て言うか、今までの世界って、ロジカルシンキングみたいな、科学信仰みたいなのがすごく強かったと思うんです。
過去の世界を見てくると、もっと前は、宗教的な信仰とか、神さま信仰がめちゃくちゃ強かったとか、いろいろあると思うんですけど、僕は将来的にセンスの時代になるなと思っているんです。

日本人は「アニミズム性」でAIを使いこなせる
門:あくまで僕の考え方なので、1つの指標にしてもらえればいいと思うんですけど、例えば、アニミズム性……みなさま、アニミズムってわかりますか? 自然崇拝とかそういう話なんですけど。古来、日本人は特にそうですが、大きな岩を神さまに見立てたり、島を丸ごと神さまとしたり、大きな木を神さまとしたり、そういう信仰性、呪術性がすごくあります。
日本人って呪術性が得意だと思っているんですね。世間もそうだと思っていて、お祭りとかもそうじゃないですか。けがれを祓うとか、呪術性がそのままAIに適用できそうだなと思って、そういう意味で日本人に対する今後のAI活用のポテンシャルを僕はものすごく感じています。
『ドラえもん』を考えたのだって、日本人じゃないですか。誰よりも先に先行しているはずなので、めちゃくちゃポテンシャルを感じているんですよ。だから、そういうところの話を今日はできたらいいんじゃないかなと思っています。
これまでの常識は科学の信仰だったんですけど、ちょっと魔術的な感じになるなと(思っています)。「その魔術的な要素は、じゃあ、何か?」というお話をしていくんですけど。次のページ、お願いします。
たぶん世の中のルールが変わるなと思っています。ロジックですごく積み上げるみたいな感じ。ロジックで積み上げるというベースを持ちつつも、もっと、そこにセンスを持っていても意味ないだろう、という領域の人たちが、めちゃくちゃ花開く時代が来るんじゃなかろうかと、今すごく感じています。

ロジックは、みなさまわかるとおり、ロジカルシンキングとか、西洋哲学的な積み上げの思考のやり方ですね。東洋思想もそうなので、もともと、日本人はクリティカルシンキングが得意なんですよね。
内側から感じたものをそのままバンッと出す必殺技みたいなのがすごく得意だと思っています。もともとは春秋戦国時代の中国の思想家の方々が得意にしていたものですけど、それの本質が今は残っているのは、たぶん日本だけ。
しかも日本語ってコンテキストの高い言語なので、この「なんかいい感じで」みたいなものもぜんぜん通じるじゃないですか。上司と部下が「つうといえばかあ」の関係性であれば、「なんかいい感じにしておいて」もまかり通っちゃうみたいな、そういう言語のおもしろさもあるし、そことAIとの相性はめっちゃいいんじゃないかなって思っています。
プロンプトは指示ではなく「呪文」になる
門:なので、僕はプロンプトは呪文のような概念を持っています。次のページ、お願いします。プロンプトは指示ではなく呪文ですと。これ、おもしろいなと思ったんですよ。AIに「深呼吸して」と言ってから考えさせると、ちょっと出力が上がるじゃないですか。

宇野:うん。やはり、一度アウトプットが良くなかった時に、「ちゃんと考え直して」と言ったりすることでうまくいくことがあって。技術的に見てしまうと、結局そういったいろんな文脈もすべて学習しているから、と説明できてしまうんですけど、確かにものすごくおもしろいところだなと思います。
門:いや、そうなんですよ。お祈りとかと本当に一緒だなと思って。お見送りする時に、「いってらっしゃい」と言うだけだと事故率が上がるらしいんですけど、「気をつけてね」と言うと事故率が7パーセントぐらい下がるらしいんですよ。同じだなと思って(笑)。
宇野:いや、でも、本当にそうですね。
門:そうなんです。なので、言霊、おまじない、お祈り感の感覚でAIに接することができる人は、今後すごく良くなると思うんですよね。
AIの機能は、もっと上がってくると思うので、そんな中では、細かいプロンプトがどうのこうの、という話はなくなってくると思うんですよね。
宇野:確かにそれは私もけっこう感じています。今でもやはりそうですが、生成AIが出てきた初期の頃は、プロンプトをいかにうまく書くかとか、プロンプトエンジニアリングとか、本当に「なんとか式」みたいないろんなものが出ていましたが、AIの性能もどんどん上がっていくので、適当に書いても今はきちんと答えてくれる。
先ほどおっしゃっていたセンスは、本当にそのとおりだなと思っています。これまでは、ロジカルシンキングとか、いかに論理的に緻密なことをしっかり考えられるか、というところが武器だった人がかなり強かったと思います。
今、そこをAIが補完してくれるので、感情をそのままぶつけても、AIがうまく解釈してくれる。そこは本当に来ていますよね。
門:そう。すごく来ていると思っています。なので、お子さんは何でも自由に言うから得意なんだろうなって思います。
あの感覚を持っている人のほうが、おそらくビッグビジネスを作れるんだろうなとか、めちゃくちゃ感じており、これ、みなさま通じていますか(笑)?
絶対おもしろいですから、自分の中の自然信仰性や日本人観と照らし合わせながら、この話を聴いてほしいです。
アニミズム性を勉強し直すと、たぶん「本当だわ」みたいになると思います。勉強し直そうと思うと、けっこう時間がかかるんですけど、ぜひ、やってほしいなと思います。f
関連記事
部下の挑戦を引き出すには“働きぶり全体”も評価する 目標管理のよくある失敗を防ぐ3つの重要ポイント
営業と販売の違いを説明できる人は一握りしかいない “買う側”の視点から考える営業活動の本質
AIを「バーチャル上司」に見立てた壁打ち・相談のやり方 『無敗営業』著者が説く、営業組織の生成AI活用と注意点