大阪モノレール1000系「開業以来の古参」最後の姿

開業時に6編成導入した0番代, アナログな雰囲気の運転台, 車内の連結部分に特徴, リニューアルで何が変わった?, つり革にまつわる裏話も, 開業以来の古参、最後の姿

大阪モノレールの1000系。シルバーに青帯というスタイルは開業時に導入されたこの0番代のみ(撮影:伊原薫)

大阪府北部を走る大阪モノレールは、「路線長が日本一のモノレール」として鉄道ファンにはよく知られた存在である。

【多数の写真を一挙公開】まもなく見納め、1990年の開業当初から大阪モノレールを支えてきた1000系のうち最後まで残る04編成。その外観や車内を車両基地で独占取材!

その長さは2路線合わせて28.0kmで、かつては世界最長を誇り、ギネスブックにも掲載されていた。2011年に中国・重慶市でこれを超えるモノレールが開業し、“世界一”の座を明け渡したものの、今なお世界第2位の座を堅持している。

もっとも、大阪モノレールは当初からこの路線長だったわけではない。

開業時に6編成導入した0番代

1990年に開業したのは千里中央―南茨木間の6.7kmで、駅数もわずか5駅でのスタートだった。その後、5度にわたって延伸され、2007年に現在の路線網が完成。さらに、2033年ごろの完成を目指して延伸工事も進行中だ。

一方、同社は最初の開業時に合わせて1000系6編成を導入した。この6編成は車両番号の下2ケタをとって、01編成~06編成と呼ばれている。令和に入り、デビューから30年以上が経っても全編成が残っていたが、最新の3000系に置き換えられるかたちで2021年から廃車がスタート。現在は04編成の1本だけが最後の活躍を続ける。

【写真】1990年の開業以来、大阪モノレールを支えてきた1000系6本のうち、最後に残る04編成の姿を車両基地で独占取材。角ばった無骨な印象の外観、客室の見通しがよい連結部、アナログな雰囲気が残る運転台など車内もすみずみまで見る

01編成から06編成まで(以降「0番代」)の最大の特徴は、その外観である。

「1000系のうち1994年以降に増備された車両(以下「増備車」)は、より丸みを帯びた前面となり、運転席側の窓ガラスも2分割式から1枚ものとなりました。その関係で、ワイパーの停止位置が外向きから内向きに変わっています」と、同社技術部の小田正憲(こだ・まさのり)さんが教えてくれた。

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車庫に並んだ歴代車両。左から3000系、1000系、2000系(撮影:伊原薫)

アナログな雰囲気の運転台

ちなみに、大阪モノレールはほとんどの鉄道車両や東京モノレールなどと違い、運転席が進行方向を向いて右側に設置されている。

これは、終点となる駅を除く全駅で進行方向右側にホームがあり、また当初からワンマン運転を想定していたことから、運転士が安全確認をしやすいようホーム側に運転席を設置したためだ。

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1000系0番代の運転台にはアナログな雰囲気が残る。運転席は登場時から変わらない緑色のモケット(撮影:伊原薫)

【写真】0番代の行先表示器制御盤はダイヤル式、客扉の開閉スイッチも独特の方式だ。緊急時に備えて搭載してある「簡易トイレ」など、乗務員室をもっと詳しく見る

「0番代と増備車では、灯具の形状も変わっています」と小田さん。0番代はヘッドライトが左右に2灯ずつ配置されていたが、増備車では1灯ずつとなり、テールライトが中央に寄せられた。

灯具のカバーは交換する際の手間を軽減するため、後に改良されている。「帯の色も、マリンブルーに加えて増備車はアザレアパープルが追加されました」(小田さん)。

1000系の後に開発された2000系は、1000系増備車のデザインを踏襲したことから、0番代のスタイルは“少数派”となった。

車内の連結部分に特徴

車内に入ると、そこにはロングシートが並んでいた。一般的な鉄道車両と変わらない雰囲気だが、1両目と2両目の間、および3両目と4両目の間にある連結部は仕切り扉がなく、大きくくり抜かれた形となっている。1両あたりの長さが約15mと一般的な鉄道車両より短いことから、狭さを感じさせないようにという工夫だ。

「連結部をカバーする蛇腹状の幌も、通常より大きなものを取り付けています。ただ、幅が広いと可動範囲も広くなり、傷みやすいことから、入念に点検するようにしています」(小田さん)

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1・2両目と3・4両目の連結部。開口部が大きく見通しがよい(撮影:伊原薫)

【写真】仕切り扉がなく見通しがよい連結部を別の角度から見ると……

なお、2両目と3両目の間は扉があるが、これは風の通り抜けを小さくするため。また、2003年に韓国で起こった地下鉄車内での放火事件を受け、全車両に仕切り扉を設けるよう防火基準が変更されたことから、それ以降に製造された車両ではこの大きな幌は使われていない。

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2・3両目の連結部には扉を設置。現在はこれがスタンダードだ(撮影:伊原薫)

【写真】荷物などが線路下の道路に落ちるのを防ぐ客室窓。子どもだけでなく大人も大好き?乗務員室の後ろの前面展望スペースは増備車から"標準仕様”になった。1000系04編成の車内の様子をもっと見る

リニューアルで何が変わった?

ところで、この1000系0番代はデビュー時からいくつかの改造やリニューアルが施され、とくに車内設備は大きく変わった。最も印象的なのは座席の変更で、当初は阪急電車に似た緑色のもの(ただし材質や手触りは異なる)だったのが、2000年代後半に始まったリニューアルで紫色のものへと交換され、同時に座面や背もたれがくぼみのあるバケットタイプとなった。

ちなみに、大阪モノレールの車両は緑色の座席に加え、阪急の車両とよく似た音色の電気式ホーンを搭載するなど、一部に阪急を意識した部分が見られるものの、「その当時のデザインの流行やメーカーからの提案を採り入れた」というのが理由で、とくに関係はないようだ。

ただ、リニューアル時にドア開閉時のブザーが阪急のものと同じチャイムに交換されたが、こちらは注意喚起という意味合いから、意識的に阪急と音色を揃えたそう。このチャイムは阪急のオリジナルだったことから、事前に“お伺い”を立てて承諾を得たという。

リニューアルでは、乗務員室後ろのロングシートが撤去され、運転席の背後は車いすスペースに。反対側は2人掛けの展望席が設置された。これらはいずれも増備車から“標準仕様”となったものである。

モノレールはその構造上、車両の下部や側面に視界を遮るものが少ないこともあって、展望席は子どもたちに大人気。最新の3000系では、運転席の後ろに一段高い「キッズスペース」も設けられた。

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リニューアルで乗務員室の後ろ側に展望席が設置された(撮影:伊原薫)

つり革にまつわる裏話も

ほかにも、扉上に液晶パネル式の情報案内装置が取り付けられるなど、時代に応じた設備が採り入れられている。細かい点では、吊り革が長いものに交換されているが、実はデビュー当初の1000系の吊り革は、日本の鉄道車両全体でも1、2を争うレベルの高さだったそうだ。

「3つの駅で当社の路線から乗り換えられる阪急さんの吊り革が、かなり低い位置だったこともあり、お客様からの『もう少し低くしてほしい』という声に応えたかたちです」(小田さん)

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1000系の客室内。座席や手すり、吊り革などは一新されている(撮影:伊原薫)

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時代に合わせて様々な“進化”を遂げた一方、行先表示器がいまだにLED化されておらず、運転席は緑色のままであるなど、登場時の雰囲気もところどころに残す1000系の0番代。だが、前述のとおり3000系が製造されるにつれて数を減らし、現在は残り1本となった。

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太陽の塔に見守られながら万博記念公園駅に入線する大阪モノレール1000系の0番代(撮影:伊原薫)

【写真をすべて見る】1990年の開業以来、大阪モノレールを支えてきた1000系。04編成の車両基地でしか見られない姿。最新の3000系と並ぶ様子も近く見納めに

開業以来の古参、最後の姿

「今までよく頑張ってくれたと思います。この04編成が活躍するのもあとわずかですが、最後まで安全運行を続けられるよう、気を引き締めて整備してまいります」(小田さん)

開業から35年間、大阪モノレールとその沿線の発展を支えてきた1000系0番代を、鉄道ファンの一人として、そして開業日から乗車してきた沿線住民の一人として、最後まで温かく見守りたい。