大和田美帆が9歳だった一人娘をタイの学校に送り出した理由とは? 母・岡江久美子から受け継いだ子育てのバトン「いまでも思い出すのは全力で挑戦している母の姿」

■9歳の娘が自ら決意してタイのインターへ, ■娘の挑戦に刺激を受けて, ■勉強以外も数値で評価してくれる海外インター, ■母のように何事にも挑戦し続ける母親でいたい

 俳優として舞台やミュージカルで活躍する大和田美帆さん。2025年8月に当時9歳の娘さんがタイのインターナショナルスクール(以下、インター)に編入し、日本とタイを行き来する生活が始まりました。一人娘をタイ留学に送り出した思いをはじめ、日本の公立学校と海外インターとの教育の違いや、ご両親から受け継いだ子育て観について聞きました。

■9歳の娘が自ら決意してタイのインターへ

――娘さんは2025年、9歳の時にタイにあるインターに編入し、寮生活を送っています。きっかけはどのようなものでしたか?

 2024年の夏に休暇も兼ね4週間ほどタイに滞在し、いくつかのサマーキャンプに参加しました。小学校に入学するまでは日本にあるインター幼稚園に通っていましたが、その後は「日本語を学びたい」という本人の希望もあり公立小学校に入学したため、海外のサマーキャンプに参加するのは初めてでした。

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 実際に参加してみると、思っていた以上に「自分らしくいられる場所だ」と感じたようです。もともと行動力があり、探究心が強く、意志の強い子だったので、校風とも合っていたのだと思います。「いつも以上に伸び伸びと過ごしているな」とは、母親である私も感じていました。その後、ウィンターキャンプが開催されることがわかりましたが、私は舞台の仕事で忙しく、付き添うことができなくて。そう伝えると、「じゃあ、羽田空港までは送ってくれる?」と(笑)。一人で飛行機に乗り、タイに向かいました。そして戻ってくるなり、「ママ、私はあそこの学校に行きたい」と言ったんです。すごく悩みましたが、父や親友、元夫といった近しい人々に相談すると、みな口を揃えて「彼女なら大丈夫」と言うんです。娘の選択をみなが後押ししてくれたことで、私も覚悟が決まりました。

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――もともと自立心の強いお子さんだったのですね。

 4歳くらいで「一人でお風呂に入りたい」と言い出してからというもの、「一人で買い物に行きたい」と言うのも、「一人で飛行機に乗りたい」と言うのも早い子でした。そして、私はなるべく彼女の意志を尊重し、サポートしつつ叶えてきたつもりです。

 英語を使う環境で過ごしたのは幼稚園までなので、決して英語力が高いわけではありませんでした。でも、「何でもやってみよう」「試してみよう」という気持ちが強く、何より「生きていく力」が強い。

 文法的には正しくない英語でも、異なる国籍の子どもたちと堂々と会話をしているんです。そんな姿を見ると、大切なのは語学力ではなく、挑戦しようとする気持ちなのだと思わされます。自分ができないことも含め、どこかで面白がっている。それは私にも、母(2020年に亡くなった俳優の岡江久美子さん)にも似ているところです。祖母も一人で海外旅行に出かけていたようなので、みな似たタイプなのかもしれないですね。

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■娘の挑戦に刺激を受けて

――母親として、寂しい気持ちはなかったですか?

 離婚し、二人暮らしだったため、大きな喪失感がありました。いまは少しまとまった休みが取れるとタイに行き、週末を一緒に過ごし、また寮まで送り届けるという生活を送っています。毎日テレビ電話をしていますが、友達とのやりとりが優先で、最近は数分で切られてしまうことも(笑)。でも、別れる時は「ママと一緒にいたい」と言って泣くんですよ。私も寂しくて涙が止まりませんが、心を鬼にしてさっと帰るようにしています。「友達にこんなことを言われて傷ついた」と泣きながら電話をしてくることもあるので、「自立心が強いから何があっても大丈夫」という気持ちで彼女を追い込まないようにしなければ、とは思っています。何でも一人でやろうとする子ではあるけれど、まだまだ子ども。そこは意識し、甘えさせてあげることも必要かな、と。

「毎日ちゃんと歯を磨いているかな?」「野菜を食べているかな?」と心配はつきませんが、物理的に離れたことで新たな視点で子育てをしているような感覚はあります。私自身も、障害児療育施設や子ども病院で訪問演奏などを行う「子どもが笑えば世界が笑う(こどわら)」プロジェクトに力を注ぐなど、新たなことに挑戦してみたいという気持ちが強くなっている気がします。

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■勉強以外も数値で評価してくれる海外インター

――娘さんは日本の公立小学校と海外のインターを経験されています。それぞれの良さはどんなところにあると思いますか。

 タイのインターに移ってからも、算数では苦労することなく、良い成績をキープできているのは日本の教育レベルの高さのおかげだと思っています。一方で、いま娘が通っている学校は体験型の学習が充実していることもあり、その内容を詳しく聞くたび、「座学だけが勉強ではないな」と実感しています。例えば、自分たちで買い物に行き、モノを作るという経験を通して、「いくらで仕入れ、いくらで売れば利益が出るか」というところまで具体的に学んでいく。また、手を挙げ発言した際に「よく手を挙げたね」と、「自ら発信した」という行為そのものを褒めてくれるところも純粋にいいな、と。成績表では「責任感があるか」「やり遂げる力があるか」といった点も数字で評価されるので、必ずしも勉強が得意でなくとも“褒められるポイント”がたくさんあり、「自分には素敵な価値がある」と自然と思えるところは素直にいいな、と思いますね。

■母のように何事にも挑戦し続ける母親でいたい

――大和田さんご自身はどのように育てられましたか? また、ご両親からの教えでいまも大切にされていることはありますか。

 いまになって思うのは、私を信じ、私が取り組んでいることを認めてくれた、ということです。選択肢はたくさん用意してくれたけれど、「こうしなさい」「こうしたほうがいい」と自分たちの考えを押し付けることはなかったです。両親ともに忙しく、一緒に過ごせる時間は限られていましたが、特に母は「何でも娘と一緒にやってみよう」とする人でした。

■9歳の娘が自ら決意してタイのインターへ, ■娘の挑戦に刺激を受けて, ■勉強以外も数値で評価してくれる海外インター, ■母のように何事にも挑戦し続ける母親でいたい

 私が大学受験に向け勉強をしている時、母は英会話教室に通い始めたんです。彼女は早くから俳優の仕事を始めていたので、勉強を続けられなかったことを気にしていたのかもしれません。私に直接言うことはありませんでしたが、「美帆が頑張っているから、私も頑張りたい」と周囲には口にしていたそうで、亡くなる直前まで英会話教室に通っていました。

 何事も面白がること、挑戦し続ける母親であること。それがいま、私が子育てで一番意識していることです。自分の子育てが正しいのかは、いまはわかりません。でも、私が母を思い出す時にいつも思い浮かべるのは、全力で挑戦している母の姿。娘が大きくなった時、私が何事にも楽しみながら取り組んでいる姿を思い出してくれたらいいな、と思っています。

(取材・文/古谷ゆう子)

〇大和田美帆(おおわだ・みほ)/1983年、東京都生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。ミュージカル「PURE LOVE」(小池修一郎演出)のヒロインでデビュー。以降、俳優としてさまざまな舞台やミュージカルに多数出演。近年では舞台「ハリーポッターと呪いの子」にロングラン出演した。2024年には、音楽療法士の資格を生かし、「子どもが笑えば世界が笑う(こどわら)」プロジェクトを立ち上げ、こども病院や施設等を訪問し、音楽会や絵本の読み聞かせ、演劇の手法を使った自己表現ワークショップなどを行っている。

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