ホタテにホルモン鍋、デザートは濃厚ヨーグルト “東北の味”を岐阜で味わう 震災の記憶をつなぐ1日限定食堂、おいしさの裏にある復興の物語

肉厚のホタテに、具だくさんのホルモン鍋、デザートは濃厚もっちりヨーグルト!岐阜市内での一日限定イベントで提供された3つのメニュー、実は共通点があるんです。一体何か分かりますか?

※この記事内には、津波の画像があります

東北の海が育んだ絶品と眠る記憶

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2026年3月7日、岐阜市内で開かれたとあるイベント。振る舞われたのは、特別な食材を使った料理。訪れた人々は、思わず笑顔を浮かべます。

イベントの名前は、“きっかけ食堂”。一日限定での開催ということですが、一体何が特別なのでしょうか。

「きっかけ食堂」主催者の加藤優貴さん ©中京テレビ

2026年2月28日、仕入れからついて行ってみました。「岩手県大船渡市の三陸町っていうところですね」と、行き先を案内するのは、きっかけ食堂主催者の加藤優貴さん。

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たどり着いたのは、まだまだ寒さが厳しい東北の海。お目当ては、大船渡を代表する海産物の一つ、ホタテです。ふっくら盛り上がった肉厚な貝柱に、ぎっしりとつまった卵がおいしそうです。

加藤さんとホタテ漁師の中野圭さん ©中京テレビ

ホタテ漁師 中野圭さん:

「浜焼きみたいな感じで全体を食べてもらう。後は酒蒸しみたいな感じで、蒸すのも甘みが際立っておいしい」

ホタテ漁を営む中野圭さんとは、6年の付き合い。しかし、過去には、このホタテがとれない時期がありました。

ホタテ漁師 中野さん:

「ここも(船が流されて)空っぽになったらしいですからね、津波の引き波で」

2011年3月11日に発生した東日本大震災。

2011年3月 岩手・大船渡市 ©中京テレビ

巨大なタンクをも飲み込み、うねりを上げながら流れ込んだ津波。わずか一日で、多くの人が命を落としました。

2011年3月 岩手・大船渡市 ©中京テレビ

港も、養殖用のいかだや船が全て流され、漁を再開するまで、5年もかかる事態に。

ホタテ漁師 中野さん:

「何もない状態だから、何もできないっていう状態ですね」

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加藤さんが主催する「きっかけ食堂」。それは、“おいしさの裏にある復興への道のりを遠く離れた場所でも伝えたい”という気持ちが込められたイベントなのです。

食を通じて伝えたい、被災地の今

岩泉ホールディングス ©中京テレビ

伝えたい味は他にも。加藤さんが向かったのは、同じく岩手県の岩泉町にある『岩泉ホールディングス』。牛乳やチーズなどの乳製品を作る会社です。

岩泉ホールディングス 橋本雄太さん ©中京テレビ

ここにも、地震と津波の影響が・・・。

岩泉ホールディングス 橋本雄太さん:

「ヨーグルトとかの乳製品を作るにも、資材が入ってこなかったり。原料を運ぶにも、道路がズタズタですから。そのへんは苦労したっていうのは、あるかなと思います」

2016年(提供/岩泉ホールディングス) ©中京テレビ

さらに、その5年後には台風で川が氾濫。工場の中まで水が入り、生産は続けられない状況になりました。

2016年(提供/加藤優貴さん) ©中京テレビ

愛知県出身の加藤さんは、このとき初めてボランティアとして岩泉に。震災から立ち直ったばかりだった、と嘆く声を聞き、「被災地の惨状を知ってもらいたい」、「復興への道を一緒に歩みたい」そんな思いで関わり始めたといいます。

この会社で持って帰るのは、看板商品のヨーグルト。

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岩手県出身の大谷翔平選手も大絶賛したほどで、もっちり濃厚な味わいが特徴です。

加藤さんがこれまで被災地を訪れたのは、40回以上。通い続けた多くの店とは、家族のような関係に。

精肉店の熊谷さんと話す加藤さん ©中京テレビ

精肉店 熊谷浩さん:

「岩泉のうちの商品も取り寄せて東京や名古屋で食べてくれるんだもん。こんな夢みたいなことはない、俺の分身がそこで活躍しているみたいな気持ちになる」

「ほんと改めて君には感謝してる、あんたのやっていることはすごいわ」

一日限定の食堂、“思いをはせる瞬間”を作る

「きっかけ食堂」開催日の様子 ©中京テレビ

2026年3月7日、「きっかけ食堂」開催日。飲食店を経営している仲間の力も借りて、今年もこの日を迎えました。

加藤優貴さん:

「すごく楽しみなのと、スタッフも集まってくれたので、それも含めていい会にできればなと思っています」

実は加藤さん、料理は苦手。それでも、現地の味を伝えたいと、気合を入れて臨みます。

ホタテの酒蒸し ©中京テレビ

こちらは、大船渡の漁師から仕入れたホタテ。アドバイス通り、酒蒸しで提供することに。

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岩泉で仕入れたヨーグルトはデザートに!濃厚で優しい甘みも感じられるため、味付けなしでそのまま提供します。

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正午、開催を楽しみにしていた人たちが集まってきました。ホタテの酒蒸しなど料理を次々と堪能。来場者からは、「こういう機会で思い出したりするので、東北を思えるいい機会かなと思います」など声が寄せられました。

精肉店から仕入れたホルモン鍋 ©中京テレビ

これは、精肉店から仕入れたホルモン鍋。実は、岩泉町はホルモン鍋も名物!これも加藤さんの大事にしたい味です。

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加藤さん:

「こうやって10年、15年と過ごしてくると、やっぱり忘れられるなっていうのは通っていた中で肌で感じていて。『これおいしいよね』とかちょっとしたきっかけで、その場だけでも思いをはせてもらえる瞬間が作れるのであれば、自分もうれしいなとは思いますね」

加藤さんが作る“きっかけ”が、今後もこの地方と被災地とのかけ橋として輝きます。