「好きな人が自分と同じキショさを持っていたら…」漫画家が語る【人間のダメな所を描くラブコメ】が“クセになる”理由
〈SNSの“丁寧な暮らし”は全部ウソ…Xで5万いいねの異色ラブコメが描く「人間のちょっとしたヤバさ」〈『のんのんの日常チャンネル』著者インタビュー(1)〉〉から続く
完璧に見えたハイスペックイケメンの正体は、愛ではなく「条件」で交際相手を選ぶ、冷酷な人間だった――。漫画 『のんのんの日常チャンネル』 は、人間の核心を突く鋭い観察眼とキュートな絵柄で、不器用な男女の関係を描く新感覚のラブコメディである。
【マンガ】『のんのんの日常チャンネル』本編を読む
紙版の単行本1巻と電子版の3巻発売を記念し、中毒性の高い異色作である本作の魅力について、作者の路田行に聞いた。

『のんのんの日常チャンネル』(3)(文藝春秋)
「キショさ」に共感してしまう不思議な読み味
本作は、見栄っ張りなズボラOL・ののと、彼女のSNSを特定したハイスペック男子・三里の奇妙な恋愛を描いてきた。途中、三里の打算的な本性が露見するが、ののは全てを知ったうえ、彼に真っ向からぶつかっていく。
3巻のハイライトは、ののが三里の家のインターホンを押せずに何度も立ち去り、それをモニター越しに見た三里が「キショい」と毒づきながらも、なぜかそんな彼女を愛おしく感じてしまうシーンである。

インターフォンの録画に気づく三里
この場面について、路田行はこう語る。
「自分の中にキショさを見つけた時、同じようなキショさを持ってる人を見ると『キショいなぁ…』という引いた気持ちと『存在してくれてありがとう…分かるよ…』という安心したような気持ち、もっといくと愛おしいような気持ちが出てくることがあります。
このシーンは好きな人が自分と似たようなキショさを持っていたら、結構ハッピーかもしれない…という思いで描きました。全肯定しているのではなく、行動自体はキショいとも思ってるところもポイントです。」

「キショいなぁ……」
「行動自体はキショいとも思ってる」けど、好き…キャラクターの絶妙な距離感が、本作をただのラブストーリーとは一線を画す、クセになるエンターテインメントに引き上げている。
作者もツッコミを入れながら描く、ポップな泥沼
互いのダメな部分を見せ合い、奇妙なバランスで成り立っていく二人の関係。彼らの行動を描くにあたり、路田行自身も心の中でツッコミを入れながら筆を進めていたという。

第14話より
「本当に人間関係を破壊しかねないことをしているし、拒否してるのに侵入してきたら普通に犯罪なので。難しかったところは『普通にこの粘り強さ…ダメだよ!!!』という自分の頭の中のツッコミが止まらなくて描いてる途中で『やっぱりダメかも』と何回か筆が止まったところです」

第14話より
「だから爽やかには描ききれないし、それはそれでいいのかもしれない…と思いつつ。第三者視点(花ちゃん)でバランスが取れていることを願います。」
ダメダメなところもありながら、憎めないキャラクターたち。重々しい愛憎劇ではなく、あくまで軽やかなタッチで描かれる彼らの不器用なぶつかり合いは、読む者に何度でも味わいたくなるような、クセになる面白さを提供してくれる。3巻でひとつの決着を迎えるという 『のんのんの日常チャンネル』 。二人の予測不能な恋の行方を、ぜひ見届けてほしい。
(路田行/文春コミック)
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