「東大に入りやすい学部」崩れたドラゴン桜の常識

(漫画:©︎三田紀房/コルク)

「頭がいい」といわれる人の特徴になるような能力というのは、先天的に決められている部分があると考える人が多いのではないでしょうか。その考えを否定するのが、偏差値35から東大合格を果たした西岡壱誠氏です。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)編集担当も務めた西岡氏が、後天的に身につけられる「東大に合格できるくらい頭をよくするテクニック」を伝授するこの連載。
連載を再構成し、加筆修正を加えた『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』は、3万部超のベストセラーとなっています。連載第227回は今年の東大入試の結果から見る受験戦略についてお話しします。
著者フォローをすると、連載の新しい記事が公開されたときにお知らせメールが届きます。

理2の合格最低点が理1を上回った

3月10日、東京大学の合格発表がありました。今年の結果には例年とは異なる、非常に注目すべき変化がいくつかありましたので、ぜひ受験生・保護者の方にお伝えしたいと思います。

【クリックして漫画を読む】ドラゴン桜2で描かれている「合格しやすい学部」とは?

まず点数の仕組みを確認しておきましょう。東大入試の点数には2種類あります。一つは共通テストの点数(1000点満点) をもとにした「足切り(第1段階選抜)」。もう一つが、最終的な合否を決める合格最低点で、これは共通テストを110点に換算した上で、2次試験(個別学力検査・440点)と合算した550点満点の総合点です。今回話題になっているのは、この2次試験を含めた合格最低点(550点満点)の動きについてです。

今年最大のトピックは、理科2類の合格最低点(305.00点)が、理科1類(303.39点)を上回ったことです。差としては約1.6点と僅差ではありますが、「理2の方が入りやすい」という受験業界の常識が崩れたことを意味します。

ちなみにこれ、漫画「ドラゴン桜2」でも語っていた常識だったのですが、今年はそれが崩れたことになります。

人気漫画『ドラゴン桜2』でも語られた“常識”

※外部配信先では漫画を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください。

漫画『ドラゴン桜2』

漫画『ドラゴン桜2』

漫画『ドラゴン桜2』

漫画『ドラゴン桜2』

(漫画:©︎三田紀房/コルク)

足切りの段階でも、理1が775点・理2が767点と理1の方が高く、共通テストの段階では例年通りでした。しかし最終的な合格最低点では逆転。2次試験で何が起きたのか、非常に興味深い結果です。理1を志望していれば合格できたのに、という受験生もいたかもしれません。

文系では、文科2類の合格最低点(330.47点)が文科1類(325.01点)を上回りました。文3は316.32点と最も低い結果です。

これはここ数年続いている傾向で、かつては"法学部への登竜門"として最難関とされていた文1の相対的な地位が変化してきていることを示しています。経済や国際系への関心の高まりとともに、文2の人気が上がっていることが背景にあるかもしれません。

今年もう一つ見逃せないのが、3月10日の記者会見における発言です。勝野正章・入試実施委員会委員長が「採点基準に科類ごとの違いはない」と明言しました。

これは受験業界においてかなりの衝撃です。長年、「理1より理2の方が採点が甘いのでは」「文1より文2の方が数学の採点が厳しいのでは」という仮説が語られてきたからです。

採点基準が同じであるなら、合格最低点の差は純粋に志望者の学力・人数の差によるものということになります。受験戦略の前提が根本から変わりうる重要な発言です。

どこが合格しやすいかがわからない時代に

総じて言えるのは、どの科類が合格しやすいかが読みにくくなってきたということです。理1が合格最低点で最も低い科類になる時代が来るかもしれないし、今年だけの話かもしれません。

だからこそ、思い込みや過去の"常識"に頼らず、毎年の最新データをしっかり追い続けることが重要です。戦略は大事です。情報をもっと取っていきましょう。