空床だらけで閑散「多摩の廃墟モール」失敗の要因

多摩センター駅の近くにあるモールが廃墟化した要因とは(筆者撮影)
空き区画だらけ、通行禁止の箇所も
サンリオピューロランドで有名な東京都多摩市の多摩センター駅。駅前には「丘の上プラザ」や「丘の上パティオ」、「ココリア多摩センター」といった商業施設が並び、曜日問わず多くの人で賑わっている。
【画像23枚】どうしてこれで人が来ると思った…閑散とした「多摩の廃墟モール」の様子

左が「丘の上プラザ」、右が「ココリア多摩センター」(筆者撮影)

「丘の上プラザ」の対面にある「丘の上パティオ」(筆者撮影)
これらの商業施設を通り抜けると、きれいに整備された公園と図書館にたどり着く。駅前の喧騒から離れ、風で揺れる木々の音が聞こえる心地良い空間だ。

多摩中央公園。水と緑の空間が広がる(筆者撮影)

公園の中に多摩市立中央図書館があり、洗練された雰囲気(筆者撮影)
一部は完全に廃墟化「クロスガーデン多摩」
少し歩くと、その洗練された周囲の雰囲気に似つかわしくない古びた廃墟モールが現れる。「クロスガーデン多摩」である。

「クロスガーデン多摩」(筆者撮影)
「クロスガーデン多摩」は中央に半屋外の通路とエスカレーターがあり、通路の両側に屋内型の店舗と外向けの店舗が並ぶ構造だ。1階〜3階が店舗で、4階と屋上は駐車場になっている。

各階の中央に通路とエスカレーターがある(筆者撮影)
1階と2階にも空き区画があるが、顕著なのは3階である。中央通路を挟んで片側ゾーンで営業しているのは外向けの3店舗のみで、屋内はすべて空き区画。白い壁に囲まれ、一部の出入口は通行禁止となっている。人は誰も歩いておらず、廃墟と化している。

「クロスガーデン多摩」の3階、特に左側のゾーンは大部分が空き区画になっている(出典:「クロスガーデン多摩」公式サイト)
サインや外壁は色褪せ、柵は錆び、全体的に老朽化が目立つ。
セリアや西松屋には買い物客が入っており、客室内遊園地があるため子ども連れの姿も見られるが、一部は完全に廃墟化し施設全体が寂れた雰囲気になってしまっている。
駅前の商業集積から離れている
「クロスガーデン多摩」を訪れてまず感じた問題は、駅から離れていることだ。
多摩センター駅付近には前述した「丘の上プラザ」や「丘の上パティオ」、「ココリア多摩センター」といった商業施設が集積しているが、「クロスガーデン多摩」はその賑わいから分断されている。駅から徒歩10分弱と、絶妙にアクセスが悪い。

「クロスガーデン多摩」は微妙に駅から歩く(Googleマイマップにて作成)
駐車場が完備されており、大通りに面していることから車では来店しやすい。
しかし以前は駐車料金が無料だったが、「最初の3時間無料」などに変更されたのち、さらに「1時間無料、1000円以上購入で+1時間無料」に改悪されてしまった。
【2026年3月21日07時10分追記】初出時の記述に誤りがあったため、上記のとおり修正しました。お詫びして訂正します。
また、料金体系も複雑でわかりにくい。駐車場は1階、4階、屋上にあるが、「1000円以上購入で+1時間無料」は4階と屋上のみ適用される。

「クロスガーデン多摩」では駐車場無料時間が短くなり、適用範囲が限られている(筆者撮影)
一方、近くにある「ココリア多摩センター」は「1000円以上購入で3時間無料」とよりお得である。

「ココリア多摩センター」の大きな立体駐車場は1000円以上購入で3時間無料(筆者撮影)
集客フックの核テナントが撤退
「クロスガーデン多摩」が廃墟化したのは、このようなアクセスの問題だけではない。
「クロスガーデン多摩」のオープンは18年前の2008年4月。オリックスグループが開発し、核テナントとしてダイエーが運営するフーディアムとヤマダ電機が出店した。
2012年9月には大型のGUがオープン。2015年に不採算店舗の整理のためヤマダ電機は閉鎖したが、跡地にノジマが出店した。
ところが2022年にノジマが「丘の上プラザ」へ、2023年GUが「ココリア多摩センター」へ移転。さらに2026年2月、1階の大部分を占めていたフーディアム多摩センターも閉店してしまった。
駅から離れているため集客のフックとなる核テナントが重要だが、その核テナントが軒並み撤退してしまったのである。
「クロスガーデン多摩」の衰退は、「ココリア多摩センター」の登場も影響していると考えられる。「ココリア多摩センター」は当初百貨店の「多摩そごう」として開業し、2000年に三越と大塚家具になった。その後、2011年にショッピングセンター「ココリア多摩センター」にリニューアルされた。

百貨店からショッピングセンターに転換された「ココリア多摩センター」(筆者撮影)
「ココリア多摩センター」にはユニクロやABCマート、丸善など集客力の強いチェーン店が出店した。「クロスガーデン多摩」がオープンした2008年は百貨店と家具店であったが、「ココリア多摩センター」に転換されたことでターゲット層が似通ってしまったのである。

「ココリア多摩センター」には有名大型チェーンがまとまっている(筆者撮影)
「ココリア多摩センター」は平日でも近隣住民と見られる老若男女の買い物客や、サンリオキャラクターグッズを持つピューロランド目当ての来訪客で活気が感じられる。
「クロスガーデン多摩」廃墟化の3要因
冒頭にて、廃墟モールの誕生には7つの要因があると書いた。具体的には以下の7つだ。
①競合施設の存在、②モータリゼーションの進展、③アクセスの悪さ、④動線の設計ミス、⑤施設規模の不適合、⑥運営会社の破綻、⑦核テナントの撤退
「クロスガーデン多摩」が当てはまるのは、①競合施設の存在、③アクセスの悪さ、⑦核テナントの撤退である。続く後編ーアクセス微妙「多摩の廃墟モール」衰退劇の顛末ーでは、同様に駅から絶妙にアクセスが悪く廃墟化している事例を取り上げ、モールにとっていかにアクセスが重要か掘り下げていく。