片づけられない自分にストレスを感じる日々 自分を責める前に行動すれば変われると知った

 5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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■case.115 片づけては散らかる日々からの脱却 夫・子ども3人/販売業

 部屋が汚いから人を呼べない、人を呼ばないから部屋はさらに散らかっていく、そんな悪循環に陥っている方は多いのではないでしょうか。

 今回ご紹介する智恵さんも、そんな悩みを抱えていました。

「来客のたびに片づけ、少ししたらまた散らかり、その繰り返しでした。予期せぬ来客があった場合は部屋の中が散らかっているので玄関先でしか話せない。家電の調子が悪くても、まず部屋を片づける算段を付けてからでないと業者の方を修理に呼べなかったんです」

 3人の子どもがいる智恵さん。もともとはフルタイムで看護師をしていました。仕事と育児、家事に追われる生活の中で、どんどん家の中がモノであふれていったと言います。

「3人の子どもに『使ったモノは元に戻そうね』『自分のモノは自分の部屋に持っていこう』などと話すことはあります。でも、私自身がそれをできていなかったんですよね」

 子どもたちに言っていることを、自分自身ができていない。散らかった部屋にも、その矛盾にも、心は疲弊していました。

 大学進学を機に娘が一人暮らしを始めましたが、その一人暮らし先の部屋もきれいとは言えない状況です。そうなってしまった理由も、片づいている家を自分が見せてあげられなかったから、片づけの方法を教えられなかったからだと感じていました。

 とはいえ、これまで何もしていなかったわけではありません。片づけに関する本を読んでみたり、動画を見てみたり、セミナーを受けたこともありました。整理収納のプロの方に来ていただき、キッチンを片づけてもらったこともあります。

 でも、一時はきれいになっても、すぐに部屋は元通り。どれもこれも長続きはしませんでした。

「だからこそ、『部屋が片づく』のではなく『片づけられる自分になる』という家庭力アッププロジェクト®に惹かれたんだと思います。説明のときに聞いた『片づけは最高のセルフコーチング』という言葉にも納得感がありました。モノと向き合うことは自分と向き合うことだよなぁって……」

 少しなやみましたが、最終的には本気で片づけに取り組むことを決めた智恵さん。振り返ってみると、片づけに本気で取り組んだ期間は、大変さよりも楽しさが勝っていたと言います。

「1カ所ずつ、だんだんときれいになっていくことに達成感がありました。いらないモノをたくさん抱えている状態だったということにも気づけました」

 いつか使うかもしれないモノ、手間やお金をかけて手に入れたモノ、そんな「もったいない」という気持ちが先行して手放せなかったモノがたくさんありました。

「一つひとつ手放していく中で、これだけ長い間手に取っていなかったんだから必要ないんだろうという感覚がだんだんわかってきました。そして、『もし必要になったらその時に合うモノをまた選べばいいよね』という気持ちに徐々に切り替わっていきました」

 片づけに取り組む中で実感したのは、後回しは自分の首を絞めるということ、そしてまとまった時間をつくるのは難しいということ。

「お茶を作っている間の5分間など、ちょっとした時間で動いておくことが、未来の自分を楽にしてくれることを実感しました」

 現在、自宅の隣にお店をつくり、そこで米粉のシフォンケーキを販売している智恵さん。毎朝4時に起き、仕事と家事に忙しい毎日を送っています。

「もともと朝4時には起きていたので、プロジェクトの一環だった朝早く仲間と片づける“朝活”は苦ではありませんでした。ただ、仕事場が隣にある分、起きたらすぐに仕事をしたくなってしまって、その切り替えが難しかったですね。今までの自分だったら『後でまとめて片づけよう』と考えていたと思います。でも今は『この時間で片づけちゃおう』と隙間時間を使い、後回しにせず動けるようになりました」

 小さな変化に見えるかもしれないけれど、これが大きな変化だったと智恵さんは語ってくれました。ちょっとした習慣の変化で、片づいた部屋をキープできることを知ったからです。

「ゴールを決めて、そこから逆算で動くことの大切さも実感しました。目指すべきゴールに向かって計画をし、実行し、修正し、また実行する。できたことを確認して達成感を持つことができます。家事だけでなく、仕事にも生かしていきたいと思っています」

 そんな収穫があった一方で、「家族を巻き込んでの片づけ」はなかなか難しかったと智恵さんは語ってくれました。

「本当はもっと家族を巻き込んで、どうすれば暮らしやすくなるかを考えていきたかったんですが、あまりうまくいきませんでした。自分が頑張ればいいと思ってしまった部分があったので、そこはこれからの課題ですね」

 そう反省点を口にする智恵さんでしたが、実家が変わっていく様子を見ていた一人暮らしの娘さんには変化がありました。

「娘が、キッチンをきれいにすると言い始めたんです。私が片づけに取り組んでいることは知っていたものの、『だからあなたも片づけなさい』というようなことは言っていなかったので驚きでした」

 実際、一人暮らし中の娘の部屋を訪れてみると、以前よりも部屋が片づけられていたと言います。母親の頑張りを娘さんはしっかりと見て、何かを感じ取ってくれていたのでしょう。

 智恵さんは「片づけができないことで自分を責めてしまうこともあると思うんですが、責める時間があるなら行動することが大事だと思う」と語ります。少しでも散らかり始めたら、自分が忙しいときだというのがわかったので、そういうときこそゆっくりする時間を取ったり、「5分だけ」と片づけをしたりするようになりました。

 後回しにせず行動することの大切さを知った智恵さんであれば、これからもその行動力で周りにいい影響を与えていけるはずです。健康な身体づくりを食から支えていきたいという智恵さんの大きな夢は、もう叶い始めているのかもしれません。

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