戦時中に両親を失った耳が聞こえない少女 女中として懸命に働く姿に「グッときた」と感動の声【漫画】

女中として引き取ってくれた夏目家の次男・功雄にうったえかける少女・文

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家・西原梨花さんがビッコミでオリジナル作品として連載中の『文ゆかば』をご紹介しよう。

『文ゆかば』キービジュアル

同作は戦時中に両親を失った耳の聴こえない少女が親戚から厄介払いされて転々とするなか、親戚でもない夏目家の女中として働く様子を描いた一作。以前西原さんのX(旧Twitter)に第2話が投稿されると、3000以上の「いいね」が寄せられている。そこで作者の西原さんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。

耳が聞こえないながらも必死に働く少女

『文ゆかば』第2話(1/40)

昭和19年の春、夏目家の女中として働き始めた少女の文(ふみ)。夏目家の次男である功雄(あつお)は、耳が聞こえない文に対する接し方が分からないでいた。

文が夏目家にやってきて一週間後、功雄は働きながら、耳が聞こえないうえに口もきけなくて読み書きも苦手で、とにかく不器用なのにいつもニコニコしている文を不安に思っており、「あいつよう今まで無事やったなぁ…」と心の中でつぶやく。

退勤後、文のおかげで負担が減った功雄は、ゆっくりする時間ができたおかげで周りの見え方が少し変わったことを自覚し…。

読者からは「負けず嫌いな文ちゃんにグッときた」「功雄さんの静かにフォローする感じがいいね」といった声が上がっていた。

作者・西原梨花さん「日常生活で聴覚障害者目線で考えることが増えました」

『文ゆかば』第2話(18/40)

――『文ゆかば』を描くに至った経緯についてお教えください。

連載企画を考えるにあたって、職業とかスポーツとか題材が必要なのかなと思って考えていたところ、前々から手話に興味があったので手話を題材にしたいと思ったのがきっかけです。

戦時下というのは打ち合わせ中に出てきた案で、すぐにイメージが浮かんで戦時下と聴覚障害で描いてみたいと思いました。元々他誌の読み切りとして描きましたが、読み切りだけで終わってしまい、続きが描きたいと思ったのでいろいろなところに持ち込み、今の担当さんに声をかけてもらい連載になりました。

――第2話を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。

聴覚障害者と住む事になった聴者というところです。2話は功雄という聴者の青年視点です。文が家にきたことで人を声で呼ぶのではなくて肩を叩くようになる癖が付いたり、聴覚障害者は「歩く時に注意しないといけない」「歌を歌わないといけない時どうしてるのか?」「空襲が来たら…」等と考えるようになるのです。

これは私がこの題材と向き合っていくなかで実際に感じたことを描いています。買い物中、店員さんから「袋入りますか?」と聞かれたら耳が聞こえない方だと無視してしまうのでは?と感じたり、生配信を見てる時に字幕つかないことを気にしたり、日常生活で聴覚障害者目線で考えることが増えました。

でも社会は聴者前提で、皆がこんなことを考えてはいないんだろうなと思ったんです。マイノリティを無意識に排除してる人に気付いて欲しくて作中に入れて表現しました。

――第2話のなかで特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。

終盤の功雄の「憶えていたい」というセリフです。聴覚障害者の戦争体験の文献はものすごく少なくて、その理由が伝える手段がないからなんです。

日本語が分からない人、そもそも聴者で手話ができる人が少ない、そうなると聴覚障害者の気持ちをどこにも残せないのです。いろいろな気持ちを持ってる方はたくさんいて、文のように生きていた人はいたはずなのに見えなくなってしまっている、そういう人達に向けてのセリフです。

――2026年の目標や展望をぜひお聞かせください。

もっとたくさんの人に作品を読んでもらいたいですし、少しでも周りに目を向けてもらえたらなと思います。

――読者へメッセージをお願いします。

2月12日に1巻が発売しました。コラムやオマケ漫画を描いてますので、ぜひ買って読んで下さると嬉しいです。