低収入・実家暮らし…32歳彼を変えた「婚活の力」

「低年収」の現実を突きつけられ, 「知識が少ないこと」がネック, 「子ども部屋おじさん」にはならない, 会話は「ドッジボール」ではいけない, 結婚はゴールではなくスタート

学歴、収入、コミュニケーション力……“結婚のために必要なもの”とは?(撮影:尾形文繁)

2026年2月1日、8日に放送されたドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション 結婚したい彼と彼女の場合~令和の婚活漂流記2026~』(フジテレビ系)に登場した、介護福祉士の久保さん(仮名・32)。
彼の年収は、結婚相談所の会員の中では「最も低いレベル」。それでも頑張っている彼に“結婚のために必要なもの”は何か。彼が通う結婚相談所マリーミーの植草美幸氏との対談で解き明かしていく。
本稿は2部構成でお届けします。こちらは後編です。前編はこちらをご覧ください。

「低年収」の現実を突きつけられ

――番組では植草さんから「年収400万円以上にならないと結婚は厳しい」と指摘されていました。

【写真で見る】久保さんが語る「理想の結婚」とは?

久保さん(以下、久保) 結婚すると子どもを育てるとか、いろいろとお金がかかることはわかるので、やっぱりある程度の年収がないと結婚は難しいんだなと思いました。

それで、年収を上げるためにはどうすればいいかを考えて、転職を決めました。転職先では社内試験があって、それに合格すると年収も上がる仕組みなんです。なので、その試験にチャレンジしたいと思っています。

植草さん(以下、植草) 単純に「今の年収が低いから転職する」という話ではなくて、将来を見据えて転職するという判断だったんです。ケアマネジャーの資格も取る予定なんですよね?

久保 ケアマネジャーの受験には実務経験が必要で、あと2年働くと受験資格を得ることができるんです。なので、2年後にチャレンジしようと思っています。試験は結構難しいとも聞いていますが、そこでキャリアアップできれば、年収も上がるので。

植草 学歴や収入について指摘すると「どうせ俺は……」「じゃあ無理じゃん」と、いじけてあきらめてしまう人も多いのですが、久保さんは将来を見据えて転職しました。

そういうふうに、1つひとつのアドバイスを受け止めて実行するところが、久保さんのいいところです。

「低年収」の現実を突きつけられ, 「知識が少ないこと」がネック, 「子ども部屋おじさん」にはならない, 会話は「ドッジボール」ではいけない, 結婚はゴールではなくスタート

(撮影:尾形文繁)

「知識が少ないこと」がネック

――ほかに、課題としてはどんなことがありますか。

久保 やっぱりコミュニケーションの部分ですね。交際経験が少なくて、深い話ができないと、植草先生からも指摘されていまして……。

植草 まず、趣味がほとんどないと言っていましたよね。そのうえ行動範囲が狭い。だから知識が増えていかず、話す内容がどうしても狭くなってしまうんです。本を読むとか、教養が身につくようなYouTubeを見るとか、朝、身支度をしながらニュースを10分でもいいから見るとか、そういう積み重ねから話題を増やしていくことですね。

久保 そうですね。がんばります。

植草 婚活では、女性の目がとても厳しいんです。まるで婚活審査会。お見合い後に感想を聞くと、かなり多くの女性が相手の悪いところを挙げるんです。最初にいいところを言ってくれる女性は、私の感覚では1割いるかいないかです。

会話がまったく弾まない男性に対しては、「こんな質問をしたら、答えられなかった」「世の中のことを何も知らない」と、厳しい評価をされることもあります。

――久保さんは、まったく趣味がないんですか。

久保 ないってことはないんですけど。車が好きなので、ドライブにはよく行きます。箱根まで日帰りで温泉に行ったり、神社巡りをしたり。

植草 その話をすればいいのでは?

久保 そうですね、はい。

「子ども部屋おじさん」にはならない

植草 久保さんは、婚活をしたことでやせたし、転職もできたし、何より一人暮らしを始めて、ご両親から自立しました。

以前はご実家で親御さんと一緒に暮らしていて、精神的にも自立できていない状態だったんですよね。婚活をしなければ、そこから変われなかったと思います。一人暮らしを始めたことは、本当に大きな一歩だったと思います。

――ご両親は「結婚しなさい」と言わないんですか。

久保 最初は「結婚しなくてもいいんじゃないか」というスタンスでした。でも番組を見たあと、両親の気持ちが少し変わったみたいなんです。「応援してるよ」と言ってくれました。

植草 親にとって息子はいつまでも「かわいい息子」です。中学生や高校生の頃のイメージのまま。だから、そのまま40歳、50歳になって、いわゆる「子ども部屋おじさん」と呼ばれるようになる男性が世の中にたくさんいるわけです。

もちろん経済的に難しい状況だとか、親御さんに介護が必要だというような場合もあると思います。ただ婚活では、親と同居という時点で敬遠されがちです。久保さんの場合は家を出るタイミングがなかっただけなので、自分自身を変えるためにも、婚活をきっかけに自分からご両親と距離を置こうと考えたんですよね。

「低年収」の現実を突きつけられ, 「知識が少ないこと」がネック, 「子ども部屋おじさん」にはならない, 会話は「ドッジボール」ではいけない, 結婚はゴールではなくスタート

(撮影:尾形文繁)

久保 大学生活を続けていれば、友達の影響を受けるとかいろいろあったと思うんですけど、自分は病気療養のために中退して、そういう経験があまりなかったので。

そういう意味では、実家にいた頃は両親の影響が大きく、自分の考えがあまりなかったと思います。でも、今は適度な距離を取れるようになって、自分の考えをしっかり持つようになりましたね。

「低年収」の現実を突きつけられ, 「知識が少ないこと」がネック, 「子ども部屋おじさん」にはならない, 会話は「ドッジボール」ではいけない, 結婚はゴールではなくスタート

(撮影:尾形文繁)

――久保さんにとって理想の結婚とは、どのような形ですか。

久保 ごく当たり前かもしれませんが、穏やかな人と穏やかな結婚生活を送ることだと思っています。

植草 自己PR文を作るときに、「どんな結婚生活をしたいですか?」と必ず聞くんですけど、「穏やかな結婚生活」って多くの人が言いますね。昨今は気が強い女性が多いから、「おとなしい人がいい」という意味で「穏やかな結婚生活」を望む男性も多いのですが、久保さんが言う「穏やか」はどういう意味なんでしょう。ちょっと漠然としていますよね。

会話は「ドッジボール」ではいけない

久保 確かに、漠然としているかもしれないですね。自分のなかでの「穏やか」の解釈としては、怒ったりせずに、“お互いにちゃんと言い合える関係”かどうか、です。

正直、まだ結婚したことがないのでわからない部分も多いですけど、一緒に暮らしていれば、お互い気を使うこともあると思いますし、反対に言いたいことを言って、ケンカになることもあると思います。

でも、そこで言いたいことを言わずに我慢してしまうと、どちらかの負担が重くなると思うので、なんでも言い合える夫婦が理想の夫婦だと思っています。

植草 なんでも言い合える関係を目指すなら、「相手が何をしてほしいのか」をちゃんと聞くことが大事ですね。「どう思う?」と相手の気持ちを聞くことがあまりないでしょう?

久保 あんまり聞かないです。

植草 久保さんは、相手がいろいろ言ったときに「そうなんだ、そうなんだ」と受け止めることはできるけれども、それに対して自分の意見を言ったり、相手の考えをより深く引き出そうとしたりすることが少ない印象です。

「どう思う?」「どうしてほしい?」と相手に語りかけないから、会話がキャッチボールにならない。今はドッジボール。投げて終わり、受け取って終わり。キャッチボールができるようになるといいですね。

久保 そうですね。キャッチボールができていないのは、確かに課題だと思います。恋愛もそうだし、仕事でもキャッチボールを今までしてこなかったので。

「低年収」の現実を突きつけられ, 「知識が少ないこと」がネック, 「子ども部屋おじさん」にはならない, 会話は「ドッジボール」ではいけない, 結婚はゴールではなくスタート

(撮影:尾形文繁)

結婚はゴールではなくスタート

――今の世の中には、収入の低さなどを理由に結婚をあきらめている久保さんと同世代の男性が多いといわれています。どうお感じになりますか。

久保 自分が偉そうに言える立場ではないですけど、結婚をあきらめるって思っている方たちの気持ちは、よくわかります。自分も年収が低くてお見合いの申し込みが来ないなど、いろいろ経験してきたので。

それでも自分の場合はあきらめたくないという気持ちがあるから、頑張れているんだと思います。

ただ、「結婚はゴールではない」って思っています。結婚はスタート。自分もそこを勘違いしないようにしています。とはいえ、まずは結婚という目標を達成しないとスタートラインにも立てないですよね。

――あとどれくらいで結婚するのが目標ですか。

久保 1年後くらいには結婚できたらいいなと思っています。もちろん、それは自分の努力次第ですが。

植草 彼は婚活を通していろいろな経験をしてきました。やせたりヒゲ脱毛したり、1つずつステップを踏んで努力しています。この先は中身の部分、特にコミュニケーション力や会話力を積み重ねていくことですね。

(インタビュー・構成:フリーランスライター・安楽由紀子)