興収27億から減速?「プペル続編」大コケの背景

「えんとつ町のプペル」のあらすじ, プペル新作が爆死した2つの要因, プペルがヒットした要因は「アニメーション」と「ストーリー」, 第1作が「キツ過ぎた」筆者も続編は「普通に楽しめた」

「えんとつ町のプペル」シリーズ最新作が「大爆死」と評されている理由を分析する(筆者撮影)

お笑いコンビ・キングコングの西野亮廣さんが手掛けるアニメーション映画「えんとつ町のプペル」。シリーズ最新作となる「えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜」が、2026年3月27日より公開された。

【画像】圧巻の映像美!で、気になる内容は? 「プペル」登場キャラやストーリー

前作の興行収入は27億円と、オリジナルアニメーション映画としては大ヒットを記録した同シリーズ。しかし、最新作の興収は初週1億2200万円に留まっており、シアターの空席率の高さから「大爆死」と評されている。

前編記事で、筆者は「酷評されているが、意外と面白い。普通に楽しめる」「2000円払う価値がない作品とは言いきれない」とのレビューをした。ここで気になってくるのが、「作品としては明らかに面白くなっているのに、初動が大失速している」ところだ。

なぜ「大爆死」と言われる結果となったのか。続編と比較するため、まずは大ヒットを記録した前作「えんとつ町のプペル」の内容から振り返っていこう。

「えんとつ町のプペル」のあらすじ

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主人公・ルビッチ。身体の弱い母を支えるため、えんとつ掃除をして働いている(東宝MOVIEチャンネルより)

「えんとつ町のプペル」は、空が煙に覆われたえんとつ町で暮らす煙突掃除の少年・ルビッチが星を探すために大冒険を繰り広げる物語だ。えんとつ町は、目立つことをするだけで水面下で消されてしまうほど押さえつけの強い町で、町の人々は空の存在も、海の先に広がる世界も知らないまま、それを当たり前だと思って暮らしている。

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ルビッチに紙芝居を聞かせてくれる父(東宝MOVIEチャンネルより)

そんな中、ルビッチの父は外の存在を紙芝居にして語っていたのだが、ある日姿を消してしまった。父を失い、身体の弱い母を支えるためにえんとつ掃除をして暮らすルビッチのもとに、ハロウィンに生まれたゴミ人間・プペルがやってくる。

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ゴミ人間プペル。ルビッチをプペルだと思っている人も多いが、実はこのキャラクターがプペルなのだ(東宝MOVIEチャンネルより)

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同じベッドで寝るルビッチとプペル。こうして友情を育んでいく(東宝MOVIEチャンネルより)

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空を見上げることを禁止された町で、父が語ってくれた「星」に憧れるルビッチ(東宝MOVIEチャンネルより)

友だちになった2人は、ルビッチの父が語った紙芝居を証明するため、人々の固定観念をひっくり返すような大冒険を繰り広げるというストーリーだ。

あらすじを読めば分かる通り、非常に王道なストーリーが展開される。多くの日本人は、この分かりやすいストーリーを好んでいるのだろう。抑圧された社会をひっくり返すような大きなことを、どこにでもいるような平凡な少年が成し遂げる。まさに日本人ウケするストーリーといえるだろう。1作目が公開された2020年はコロナウイルスの影響で、社会全体が抑圧されていたのもヒットの大きい要因になったのではないだろうか。

プペル新作が爆死した2つの要因

そんな第1作の大成功から約5年のときを経て、満を持して公開された続編だが、初動的には大失速となっている。なぜか?

1つ目の要因は、単にライバル作品が強すぎることだ。プペルが公開された3月末はまさに春休みシーズンだ。親子連れをターゲットに据えた力作映画が何作も公開されている。

例えば、2026年2月27日に公開された「映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城」は、週末動員ランキングで5週連続第1位にランクインしている。さらに、ディズニー&ピクサー最新作「私がビーバーになる時」やウィニー・ホルツマン&デイナ・フォックス制作の「ウィキッド 永遠の約束」など、強いタイトルが多すぎるのだ。

実際、プペル最新作の上映が始まるまでの間、どのスクリーンに入っていく人が多いのか観察してみたのだが、そのほとんどがドラえもんの4DXだった。本来なら獲得できたはずの視聴者を、完全に格上の作品に取られてしまっているというのが正直なところだろう。

また、今は実際のところどの時期にも強いアニメタイトルはあるので、例え公開時期をズラしていても、厳しい戦いを強いられていたかもしれない。

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プペルの劇場グッズ。アートブックが販売されているようだ(筆者撮影)

2つ目の要因は、動員を支えるオンラインサロンの会員数が激減していることだ。西野さんが運営するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」は、2020年時点で会員数7万人を突破していた。このオンラインサロン会員がリピーターとなり、プペルの動員数を押し上げていたのは間違いないだろう。

実際、西野さん自身が映画館へ出向き、ファンと共に劇場で鑑賞するというマーケティングスタイルを確立している。推し活を兼ねたリピーターの獲得ができていたのも、売り上げを押し上げた要因になっていた。

しかし、同サロンの会員数は2025年時点で2万4000人にまで減少。少なくとも、この事実は興収に大きな影を落とす要因となっているはずだ。

プペルがヒットした要因は「アニメーション」と「ストーリー」

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スチームパンク感のある煙に覆われた町。アニメーションはクオリティが高い(東宝MOVIEチャンネルより)

しかし、プペルという映画自体、クオリティは低いとはいえない。もしクオリティが低いのであれば、27億円という売り上げは作れないのだ。本作のアニメーションは「海獣の子供」や「漁港の肉子ちゃん」などで知られるSTUDIO4℃が手掛けている。

第1作の映像も非常に美しかったが、最新作ではさらにパワーアップした映像を楽しめる。より生き生きとした動きや表情でキャラクターたちが描かれており、その色とりどりの光景に心躍らされた人も多いのではないだろうか。当然、アニメーションはストーリーや演技ともマッチしているため、それなりに楽しい映像体験ができることは間違いない。

また、プペルの批評でよく見かける「説教臭い」という意見も、裏を返すと「分かりやすい」ということだ。本作は西野さん作の絵本をベースとした作品だからこそ、子供も大人も分かりやすくなっている(はずだ)。

前作・最新作共に、伝えたいメッセージが真っすぐ伝わってくるからこそ、視聴後に「良かった」と感じる人が多かったのではないだろうか。

第1作が「キツ過ぎた」筆者も続編は「普通に楽しめた」

余談だが、プペルシリーズ1作目「えんとつ町のプペル」を視聴した忌憚なき感想は……「いくらなんでもオマージュが多過ぎる」というものだった。日本の人気アニメ作品の、ありとあらゆるシーンを彷彿とさせる展開ばかりで構成されているように感じたのだ。また、作中ではっきりくっきり何度もメッセージを伝えてくるため、しつこいとすら感じられた。

本稿執筆のために第1作を視聴したが、「明日この続編を観に行くのか……」とずっと胃が痛くなったほどだった。

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「仕事だから仕方ないけど、観るの嫌だなあ」 そんなふうに思っていた筆者だったが、続編は普通に楽しむことができた(筆者撮影)

しかし、そんな筆者でも続編は楽しめた。その理由は、ストーリー自体は悪くないからだ。過去の名作映画と比べると、さすがに薄味感は否めないものの、王道の恋愛ストーリーに、心動かされる人がいてもおかしくはないと感じた。前作より説教臭さも減っており、格段に見やすくなっている。

ドラえもんなど強い作品が上映されているので「それを差し置いてもプペルを観てほしい」とは言えないが、「お金をドブに捨てる」作品ではないように思う。今後も賛否両論でなにかと話題になる作品だと思うので、気になった方は行ってみてほしい。

【あわせて読む:前編↓↓】

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