ルイス・ハミルトンがぶち壊した、F1界における「ファッション」の慣例「毎日同じデザインの服なんて、嫌だったんだ」
今ではF1ドライバーがF1パドックに”出勤”する際には、それぞれ好みのファッションに身を包むことが多い。しかしかつてはそんなことは許されていなかった。チームウェアを着用することを義務付けられていたからだ。
この風潮を変えたひとりが、現フェラーリのルイス・ハミルトンである。かつてハミルトンと同数のタイトルを獲得したミハエル・シューマッハーも、レザージャケットを着てサーキットに訪れることもあったが、毎度ファッションショーのように着飾ってパドックを訪れるのは、ハミルトンが走りといえよう。
ただハミルトンとて、通例を打ち破るのは簡単ではなかったようだ。ハミルトンは最近、エスクァイヤ誌のインタビューに応じ、自由にファッションを楽しむようになった頃の苦労について語った。
「レーシングドライバーになるためには、ある一定の型にハマらなければいけなかった。夜10時に寝て、決まった服装をしなくちゃいけなかったんだ」
ハミルトンはそう語った。
「ドライバーは、ファッションと無縁の人がデザインしたチームキットを着なければいけなかった。その服は、実に酷いモノだったよ」
「1年のうち180日ほどもその同じ服を着てパドックに来るなんて、本当に嫌だった。だから自分の好きな服を着てサーキットにやって来て、そこでレーシングキットに着替えてもいいかと尋ねたんだ」
「しかしチームの上層部の同意を得るには時間がかかった。結局は、ルールを破るしかなかったんだ」
それでハミルトンは、好みの服を着てパドックを訪れたという。その出来事は大きなインパクトだった。ハミルトンの服装は注目され、好意的に報道された。
「注目を集め、好意的な報道がなされたことで、ブランドとチームの評価を高めることになった。それが理解されると、毎日そうすることを許してくれるようになったんだ」
今では他のドライバーたちも、自分の好きなファッションを楽しむようになった。マクラーレンのランド・ノリスは、私服でフラッシュを浴びせられるのを楽しんでいるようだし、フェルスタッペンの一般的なジーンズでさえ、ファッション評論家の注目を浴びる。角田裕毅も、彼なりのスタイルでファンを楽しませ、自身のアパレル商品も展開している。
「企業って、スタイルやスーツといったモノについてはあまり考えないことが多い。今では他のドライバーたちも、自分らしい形で登場するのが当たり前になっている」
「僕はそれが素晴らしいと思う。誰もが自分らしくいられるべきだ」
ハミルトンはこれまで、そして今も、さまざまなファッションブランドのアンバサダーなどを務めてきた。今年はファッション業界への進出を試みるフェラーリをサポートする立場でもある。
「フェラーリのファッションブランドは成長を続けていて、ロンドンに初めての店舗をオープンする予定だ。とても光栄だよ」
なお今ではチームのウェアも、HUGO BOSSやPUMA、アディダス、ペペ・ジーンズなど、有名ファッションブランドとコラボレーションしたものが多い。またF1自身のタイトルスポンサーに、ルイ・ヴィトンが就くなどしている。F1もそしてチームも、ファッションブランドとの関わりにより、イメージが洗練されたようにも感じられる。これも、ハミルトンが先陣を切ったことの効果と言えるかもしれない。
ただノーブランドのTシャツやパーカーではなくなった分、価格は非常に高くなったが……。

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