「常軌を逸した行為」医師が断言 16歳アメリカ人が家畜用ステロイドで肉体改造に「心臓病やがんのリスク」

※画像/shutterstock
ぽっちゃり体型の少年が、わずか10か月で別人のような肉体を手に入れた——。アメリカ・テキサス州に住む16歳の高校生ザイド・ライラが行ったのは、常識外れの選択だ。現地の事情に詳しい在米ジャーナリストが話す。
「少年はもともと自分の体型に強いコンプレックスを感じていたそうです。
SNSで見た筋肉質な体に影響を受け、短期間で変わりたいという思いから筋肉増強剤のステロイドに手を出したと話しています」
少年が使用したのは「トレンボロン」と呼ばれるステロイド。問題はそれが違法薬物というだけではない。なんと、牛や豚などに使用される”家畜用”ステロイドだというのだ。少年は、トレーニングに励みながら約10か月間家畜用ステロイドを使用したという。その結果、筋肉量が大幅に増加し、見た目は劇的に変化した。誰もが羨むようなギリシャ彫刻のような肉体を手にした少年だが、代償もある。
「10年かけるより1年で変わりたい。“30歳で心臓発作になってもいい”が本人の信条だそうです」(前同)
アメリカでは、SNSを中心に「見た目を最大化する」という価値観が若者の間で広がっているという。命を犠牲にしてでも、肉体美を手にしようという少年の“選択”にNPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、強い懸念を示す。
「家畜用ステロイドを人間が使うなんて、常軌を逸しているとしか思えません」
過去の歴史を振り返ってみると、その異常さが鮮明になる。
「80年代から90年代にかけて、メジャーリーグではステロイドの使用が全盛でした。金と名誉のためなら何でもありだった時代です。家畜用ステロイドに効果があるのなら、あのときすでに使われていたはず。五輪でのメダル獲得に心血を注いでいた旧ソ連や東ドイツの選手ですら、ドーピングとして家畜用のステロイドを使用していたという例は聞いたことがありません」(前同)
こうして聞けば、いかに家畜用ステロイドが危険かは想像がつくだろう。なぜ少年は、人間用のステロイドを使わなかったのか。上医師はこう予測する。
「家畜用は多分安く入手できたからでしょう。人間用のものは処方箋が必要ですから、入手するのがそもそも困難なのだと思います」
■肝臓や心臓へと与えるダメージも大きいステロイド
ステロイドにはいくつか種類があるという。リウマチなどの治療に使われる『副腎皮質ステロイド』と、筋肉増強作用を持つ男性ホルモン系の『アナボリックステロイド』だ。
「アナボリックステロイドは、筋肉の病気や、更年期障害による男性ホルモン低下といった症状に処方される薬です。また、男性ホルモンが落ちると意欲や活力がすごく下がるという説もあります。アメリカのビジネスマンには、決断力維持のために少量のステロイドを使う人もいます」(前出の上医師)
アメリカではテストステロンの処方箋が年間1100万件にのぼり、市場規模は約19億ドルに達する。”プチドーピング”とも言える使用は、日常的に行われている。しかし、アスリートが自身の筋肉を意図的に強化する“ドーピング目的”ともなれば、ステロイドの使用量は桁違いとなる。
「ドーピング目的でステロイドを使用する人は1週間に1~2回、200ミリから600ミリを使用すると言われています。更年期障害の治療では1~2週間に1回、60から125ミリの使用なので、約10倍の量です」(同)
ステロイドで得た筋肉は、常識を超えた変化をもたらす。だが、その代償は決して軽くない。
「大量のステロイドは、肝臓と心臓へ大きなダメージを与えます。また、種類を問わず全身にガンを引き起こす可能性があります」(同)
事実、筋肉の大きさを競うボディビルの世界では、若くして命を落とす選手が後を絶たない。そのたびにステロイドとの関連が疑われてきた。今回のケースは、さらに危険な領域に踏み込んでいる。
「家畜は人間よりも体重が重い。そのため家畜用ステロイドはホルモン量が自然と多くなり、ドーピング目的での摂取量以上を体内に取り入れる危険性があります」(同)
当然のことながら、人体への影響も検証されていない。
「家畜用ステロイドは毒作用が出てもいいという前提で強力なホルモンを使っています。肝臓への毒性や血栓のリスクなど、人間用以上に強く影響が出る可能性があります」(同)
体型の変化を披露した少年のSNSには、4万人以上のフォロワーがいる。彼は、現在の姿をステロイドとトレーニングのおかげだと話す。だが、体を維持するにはステロイドを打ち続けなければならない。この先、彼の体はその負担に耐え続けることができるのだろうか。少なくとも彼に憧れ真似をするような少年が現れないことを願うばかりだ。
■【画像】ぽっちゃりボディから一転、家畜用ステロイドで肉体改造した16歳少年の姿
ぽっちゃりボディから一転した16歳の高校生ザイド・ライラ。彼は家畜用のステロイドを使用し、ギリシャ彫刻のような肉体を手に入れた。しかし、人間が家畜用のステロイドを使用することは「肝臓への毒性や血栓のリスクなど様々な危険が存在する」とNPO法人医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は指摘する。

※画像はXより

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