【ガラスのうつわで極上の一皿を】イカにクレソンを和えて アメリカンチェリーを半分に…透明なうつわに盛りたい「サッと作れる料理」4選
サッと作った料理でも、素敵なうつわに盛ればあっという間にごちそうに! 料理の腕に自信がない人、もしくは忙しくて料理にあまり時間をかけられない人こそ、いいうつわの底知れぬ力を最大限に享受したいもの。
うつわと簡単料理のベストなコーディネートを、うつわ千鳥の店主・柳田栄萬さんのエッセイ『うつわと料理のおいしい関係』(実業之日本社)より、一部抜粋してご紹介。この一冊で、がんばらなくてもおいしく美しい食卓が整います。
ガラスのうつわ
料理を引き立て、食卓をしつらえる
透明なうつわの力

個展初日のオープン5分前。まだ照明を点けていないので、ガラスのうつわたちは窓からの逆光で静かに佇んでいます。私の好きな光景。うしろに写っているのは作家の永木卓さん。長身でイケメンなのですが、まもなく個展がはじまるという緊張感で、ちょっぴり猫背気味になっているのが可笑しい。初日には作家が在廊していることが多く、作った本人とお話できる貴重な機会です。ぜひ気軽に声をかけてみてください。
作家がひとつずつ吹いて作ったガラスのうつわには、ふとした瞬間に、とろりとした柔らかさを感じることがあります。手仕事ならではのゆらぎの中に、ガラスが液体であった頃の面影が見えるのです。私が特に好きなのは、曇りの日の薄暗い部屋に置かれたコップ。光の乱反射がない分、テクスチャーがくっきりと浮かび上がります。色も装飾もないシンプルなコップが、実は味わい深い顔をしていたことを思い出す瞬間です。
ガラスの皿や鉢、ボウルも、食卓に欠かせないアイテム。冷たい料理との相性の良さは言うまでもありません。暑い日には、サラダやスープをうつわごと冷蔵庫に入れて冷やせば、なによりのご馳走になります。クリアな皿に果物を置くと、水に浮かんだような不思議な光景に。夏以外の季節ならば、隣り合ったうつわを引き立てる脇役として、いい仕事をしてくれます。木のうつわはナチュラルで健やかな印象が際立ちますし、白磁はどこまでも清らかに。特におすすめなのは、黒い漆器との組み合わせ。互いを引き立てあう、とてもすばらしい組み合わせです。ガラスは一層きらめき、漆器はしっとりと濡れたような色っぽさを見せてくれます。
ガラスのうつわとおいしい簡単料理【1】
新田佳子 MONYOO 浅鉢
砂を吹きつけて表面を削るサンドブラストという技法で、細やかな文様を描いています。幾何学的なデザインなのにやさしい雰囲気を纏っているのは、線を一本ずつ手で描いているから。よく見るとどの線にもゆらぎがあります。冷たい惣菜のほか、フルーツにも。

ガラスのうつわとおいしい簡単料理【1】。
イカとクレソンのナムル
作り方(2人分)
1 クレソン1束は洗って水気をふきとり、食べやすい長さに手でちぎる。
2 ボウルに塩ひとつまみ、ごま油小さじ2、しょうゆ数滴、ガーリックパウダー少々を入れて混ぜ、刺身用のいか50gをあえる。クレソンをくわえ、ふんわりと混ぜる。
point
クレソンはしっかり混ぜすぎると、すぐにしんなりとしてしまいます。軽くさっと混ぜる程度でうつわに盛りつけてください。
ガラスのうつわとおいしい簡単料理【2】
田井将博 大輪の7寸皿
輪花と呼ばれる、花の形をした皿。食卓がぱっと華やかな雰囲気になります。陶磁器ではよく見られる形ですが、ガラスではめずらしいかもしれません。上から見下ろすと食べ物が宙に浮いているよう。横から見ると凹凸が光を反射して、キラキラときれいです。

ガラスのうつわとおいしい簡単料理【2】。
アメリカンチェリーのマリネ
作り方(2人分)
1 アメリカンチェリー20個は包丁で半分に切り、種を取る。砂糖大さじ1、ラム酒小さじ1をまぶし、30分ほどなじませる。
2 1をうつわに盛り、マスカルポーネチーズを好きなだけ添える。刻んだピスタチオ適量を散らす。
point
包丁の刃元を使い、力を込めて一気に切ってください。種がぽろっと外れます。マリネしたチェリーはヨーグルトにかけても美味。
ガラスのうつわとおいしい簡単料理【3】
永木 卓 碗
陶器でよく見られる碗の形を、ごく薄く吹いたガラスで再現した意欲作。スプーンより箸が似合います。せっかくの碗形なので、手で持ち上げ、口をつけて食べたいもの。陶器とはまったく異なる、シャープな口当たりが新鮮。冷やしぜんざいもきっと似合うはず。

ガラスのうつわとおいしい簡単料理【3】。
冷奴とところてん
作り方(1人分)
1 うつわにところてん1パックを入れ、添付のタレをかける。そのうえに輪切りにしたトマト1枚をのせる。さらに豆腐1/4丁をのせる。
2 みょうが、しょうが、細ねぎ各適量をあしらい、しょうゆをほんの少したらす。
point
夏に冷やしておいしいものを、ひとつのうつわに入れてみました。トマトを箸でくずしながら食べ進むうちに味が重なり合います。
ガラスのうつわとおいしい簡単料理【4】
李 慶子 石ころ浅鉢
竿に巻き取ったガラスがまだ熱いうちに、大理石の板に叩きつけながら凸凹を作りあげていきます。ごつごつとして、でもなめらかなその表情は、たしかに河原の石ころのようです。陰になった部分と、光を溜め込んだ部分のコントラストがなんとも美しい。

ガラスのうつわとおいしい簡単料理【4】。
しらたきの中華風サラダ
作り方(2人分)
1 きゅうり1/2本は千切り、ハム3枚は細切りにする。
2 しらたき300gは3分茹でてザルにあげ、水気を切る。熱いうちにボウルに移し、鶏がらスープの素大さじ1、市販の調味酢大さじ2、ごま油大さじ1をくわえて混ぜる。
3 2が冷めたら、1、すりごま大さじ1、いりごま大さじ1をくわえて混ぜる
point
お馴染みの春雨サラダをしらたきで作ったものです。余裕があれば錦糸卵やキクラゲをくわえると、さらにおいしくなります。
柳田栄萬(やなぎだ・えいまん)
1972年、福岡県生まれ。東京・水道橋のうつわギャラリー「千鳥」店主。国際中医薬膳師の資格を持ち、料理家として活動するうち食器に目覚める。2008年に同店をオープン。「素朴で温かみのある、料理がおいしく見える、使い込むほどに美しくなるうつわ」をテーマに、幅広いタイプのうつわを取り扱う。