パワーカップルなのに老後破綻も…FPに突きつけられた将来1.3億円の負債の浪費生活から脱却できた経緯
テレビ東京の局員として働きながら、複業で漫画家としても活躍中の真船佳奈さん。夫婦ともにマスコミ勤務のいわゆるパワーカップルだ。しかし、現在未就学児である子どもの成長と将来を見据えてFP(ファイナンシャルプランナー)に相談したところ、突きつけられたのは、巨額の負債を抱える衝撃のシミュレーションだった。
【漫画】巨額の負債を抱える衝撃のシミュレーションを突きつけられたパワーカップル
家事も家計管理も大の苦手。「今が楽しければいい」と行き当たりばったりな人生を歩んできた彼女が、なぜ重い腰を上げて資産形成を見直し、ついには23区内マイホーム購入を実現できたのだろうか。
コミックエッセイ『さよなら!行き当たりばったり人生! お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』(KADOKAWA)を上梓したばかりの真船さんに、多忙なパワーカップルが陥る生活の罠と、貯まらないループからの脱却について伺った。
「働いていればなんとかなる」の慢心

(画像:『さよなら!行き当たりばったり人生! お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』)
独身時代を謳歌してきた真船さんだが、30歳で結婚後、突然目の前のやりくりに翻弄されることになった。
「夫も私も、自由を愛する者同士が結婚した、という感じで宵越しの金を持たないタイプだったので、お酒や好きなものにお金を注ぎ込んでいたんです。30歳で結婚する少し前、同棲をスタートするにあたって、初めて引越しをしたんですね。
お互いの収入や貯金を『なんとなく、同じくらいかな〜』とふんわり想像していたんですが、実際には夫の貯金がほぼなくて……夫もおおらかな人だな、とは思っていましたがお金に対して執着がないというか、管理が苦手なタイプだった! と初めて知りました。やむを得ず、引っ越し代や家財購入など大きな出費は私が一時的に支払って乗り越えました」(真船さん、以下同)
引っ越し、結婚式、出産などまとまった現金が必要なイベントが続いた。真船さんは当時を振り返り、こう語る。
「夫婦ともに地方出身ということもあり、教育資金などについてもあまり具体的にはイメージできていませんでした。先に子育てをスタートさせた友人たちから『都内は小学校低学年から塾に通う家庭も多いんだよ』『高校からは出て行くお金の桁が違うよ』と言われて急に不安になり、震えることに。
『これはやばいんじゃないか』と思い立ち、FPさんに相談したんです。でも、源泉徴収票やクレジットカードの明細など、家計診断に必要な資料さえも行方がわからない。論外の状況でしたね」
「80歳の時点で1.3億の負債を抱えることになる」

(画像:『さよなら!行き当たりばったり人生! お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』)
クレジットカードのWEB明細を確認しようにも、ログインパスワードさえもわからずにいた真船さん。どうにか手に入れた前月のカードの明細とともにFPに相談すると「この先、第二子を授かったとして、子どもが二人とも私立に進学した場合は、今のままの浪費を続けていると、80歳の時点で1.3億の負債を抱えることになる」という衝撃の言葉をかけられた。
「このまま行くと、億単位で負債を抱えるかも……!? と、頭が真っ白になりましたね。夫婦間では、それまでお金の話はあんまりしていなかったんです。パンドラの箱を開けるような話題だから、気まずくなるのもいやだなあって。同棲することになってからはなんとなく同じ額を生活費として口座に入れていました。ヤバいかも、と思った瞬間は何度もあったけれど、『その分たくさん働けば、まあイケるでしょう』と超どんぶり勘定でした」

真船佳奈さん(写真:本人提供)
そもそも、ふたりともなぜお金がないのかがわからなかったという。パワーカップルなのに忙しくて浪費、という問題の背景には何があったのか。
「子どもが生まれる前は、かなりの回数外食をしていました。ふたりとも仕事が忙しいから、夜遅めの時間に居酒屋集合。ふたりでお酒を飲むと、1食で1万円近くかかることもありますよね。それを平日4回やったら……今考えると、とんでもない出費です。だからといって自炊する暇もないし、忙しいからすぐに食材をダメにしてしまうし、平日は仕事のことしか考えたくない…と、生活するだけでもコストがかかっていました」
現在23区内に住んでいる真船さん。子育て支援が手厚いと言われる東京都だが、彼女が第一子を出産した2022年時点では保育園の全面無償化前。毎月の保育料とシッター代で月12万円以上が消えていったという。
「家電にも投資したし、『とりあえず生活を回すため』だけでも相当なお金がかかっていました。冷静に考えると使い過ぎなんですが、しっかりお金を管理する人がいないので『二馬力だから大丈夫、なんとか働いて回収するぞ』とばかり考えて、生活を見つめなおす余裕もなかったです」
ポイ活に夢中になるあまり「ポイント買いの銭失い」に
真船さんは無意識の浪費を振り返り「ポイント買いの銭失い状態だった」と語る。
「共働きで子育てをしていると、ゆっくりお買い物に行く時間がない。すると子どもが寝た後に、おむつやミルクなどのストックをネットでまとめ買いするようになるんです。
あと◯円でポイント10倍、とか書いてあると『もう少し足したらいくな』って考えてしまうし、それがどんどん『買う』免罪符になっていくんですね。『これが必要』じゃなくて『これがあったら便利かも』と、使うかどうかさえもわからないベビーカーの日除けとか2000円くらいのものをつい買っちゃうんです。『一緒にベビーカーバッグも買っておこう』『あ、こんなのもあるんだ』で、合計金額を考えられなくなる頭になりました。
そのうちにどんどんエスカレートして『もらえるはずのポイントがつかないなんてもったいない』ってなっちゃうんです。結局、ポイントを加味しても商品が高かったのか安かったのかもわからない。私が愛用していたECサイトのイベントはポイントがつく最大上限が7万円。だからイベントの際、7万円満額使う時も何度もありました」
無駄使いのほかにも、世帯年収が高いからこそ、生活水準を落とせなかったり、支出を把握していなかったりした部分もありそうだが、真船さんはハイブランドなどには興味がないという。
「忙しい日々を生きるために、またさらに忙しくなってしまうループでした。夫も私も服が好きだけれど、見栄のためのブランド欲などはないし、フリマアプリで服を買うことも。でも、忙しくて家を整理する暇がない、という言い訳がベースにあり、どんどんモノが増えていきました」
そんな彼女の意識を変えたのは「家が汚いのとお金がないことがすべて繋がっている」という実母からの言葉だった。
「忙しいと部屋が荒れて、モノが管理できなくなるんです。つまり、手元に何があって、何がないのかわからない。調味料も、服も、ありとあらゆるものが家の中で行方不明になるんです。私は人生の1/4くらいの時間を『探し物』に使ってきたんじゃないかと思うくらいに整理整頓が苦手。『買ったほうが早い』と思ってどんどん買ってしまう性質がありました」
買うから増える、収納からはモノがあふれるという負のスパイラル。彼女の台所からは、砥石が6つも出てきたそうだ。

(画像:『さよなら!行き当たりばったり人生! お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』)
見直しはまず「見える化」「ゆる管理」からスタート
真船さんは「家計管理も家事も苦手」と公言している。完璧主義を目指さずに、最低限これだけはやると決めたことは何だったのか。
「まずは『見える化』から始めました。以前は夫婦同士でお金をいくら稼いでいて、生活費をいくらいれているかさえも曖昧で、不公平感があったんです。私は夫に『生活費や家賃の振り込みが遅い』と不満があったし、夫は私に対して『生活費の分担は平等なのかな?』と疑問に思っていたんです」
真船さんは、夫に年収をなかなか聞けずにいたという。
「夫からは結婚前から『俺は酒を飲むのが唯一の趣味だから、それに関しては自由にしてほしい』と言われていたんです。私も同様に趣味もあったので、お互いお小遣いを何にいくら使ったのかは不明。今から考えると、もっと踏み込んだ話し合いが必要だったなと思います」
そんな状況だったが、FPへの相談で道がひらけた。
「FPさんという赤の他人、第三者を入れることで整理を出来たのはよかったですね。言い争いになることもなく『これは生活費』『あれは娯楽費』などドラスティックに家計を分類できました。ライフプランに合わせて『だいたいこれくらい貯金できると安心できますね』という具体的な金額も試算してもらえました」
ズボラだからこそ、家計簿をつけることは最初から諦め、「ゆる管理」をスタート。
「私の悪い癖で、最初に張り切りすぎて続かなくなってしまうことが多いので、まずはスモールステップで家計を改善してきました。つけるハードが高い家計簿はあえてつけずに『夫婦の共用口座に入ってる金額が適正に増えていれば大丈夫』というゆる管理を継続しています。
私も夫も手元にあればあるだけ使ってしまうタイプですが、『これしかない』と思えばそれで凌げる性格。お互いになるべく自由になるお金を減らし、財形貯蓄で給与天引きしたり、まとまった金額を毎月NISAに入れて、擬似的に『手元にお金が無い』状況を作って貯めていきました」
貯金がないからこそマイホーム購入を決断
ゆっくりと「貯められる体質」になっていった真船夫妻は、23区内に3LDKマンションを購入。大きなローンを背負う決断をしたのはなぜか。
「今までは賃貸暮らしで、支出が大きかったんです。仕事場にもアクセスがいい都心エリアで、家賃自体は23万円。広さもあり、都内のファミリー向け物件としては適切な価格だとは思うのですが、最寄り駅までは徒歩20分近くかかり、ベビーカーを押しながら駅前まで出ないと何も買えない環境でした。今思うと、『買い貯めておかないと大変だ』という恐怖心からいっぱい買っていたのだと思います。
さらに、築年数が古めで、ちょうど電化製品の買い替え時期に当たる物件だったので、冷暖房の効率が悪く、電気代も異常に高かったんです。光熱費を含めると30万円を超えたことも。買い忘れたものがあると料理する気もなくなるし、子供を遊ばせる場所がないのでついおもちゃを買ってしまったり…と、家によってお金がかかる状態でした」
資産にもならず、使い勝手が悪い賃貸マンションに嫌気がさし、物件購入を決意した真船さん夫妻。中古の築浅マンションを選び、800万円かけてリノベーションした。物件選びやローン選定において、かつての「行き当たりばったり」な自分をどう抑え込み、合理的な判断を下したのか。
「夫婦で話し合って頭金は出さず、フルのペアローンで買いました。リノベ代数百万円も、すべて借り入れましたが、無理なく返せる金額の物件を見つけることができました。昔は『収納は多ければいい』と思っていたんですが、我が家の場合はブラックボックス化するのは目に見えていました。モノの把握ができなくなるよりは、収納はあるべきか所に最小限にまとめて、片付けやすい間取りに作り変えました。
マイホーム購入がさらなる『貯め体質』を作ってくれた実感があります。まず、目の前がスーパーなので『買わなきゃ』という思考に取り憑かれていたのがなくなったんです。恐怖心を手放せたし、ポイント目当てのネットショッピングや『まとめ買い』もしなくなりました。自転車でどこへでも行ける環境なので、土日の無駄な出費もなくなったんです」
これまでは、近所に遊び場がないから子どもにおもちゃを買い与え過ぎていたことにも気がついたのだという。さらには、真船さんの収入も大幅にアップ。
「前の家に比べて大きな駅から近く、便利な場所なので、ベビーシッターさんを呼びやすい環境になりました。子育て支援も手厚い場所なので、労働時間が伸びたことにより、私の収入が増えたんです」
ゆる家計見直しでファミリープランも前向きに
超どんぶり勘定だった真船夫妻だが、無事にマイホームを手に入れ、真船さんは現在第二子を妊娠中。タイミングもあるが、家計を見直したことによって前向きに考えられたそうだ。
「このまま行くと生涯で1.3億の負債を抱える計算になる、なんてFPさんに言われたときは『二人目がほしいな』とは無邪気に思えなかったんです。でも、家を買って、環境が整ったことで肩の荷が降りたし、フッと楽になって。
エッセイの中で、有名なFPの風呂内さんにもお話を伺ったのですが『節約だけでなく、たくさん稼いで働いて、歩みをとめないこともお金管理のひとつ』と言ってもらえたんです。我が家らしく、無理せず貯めていけたら」