辺野古沖転覆事故、船運航の抗議団体が遺族告発で「遅すぎる」謝罪 「弁解の余地ない」

記者会見で謝罪する「ヘリ基地反対協議会」の幹部ら

沖縄県名護市辺野古沖で抗議船「不屈」「平和丸」の2隻が転覆し、平和学習中だった同志社国際高校(京都府)2年の武石知華さんら2人が死亡、14人が負傷した事故。抗議船の運航主体である「ヘリ基地反対協議会」(反対協)が1日、公式サイトで遺族に対して謝罪コメントを発表した。知華さんの父親が4月17日に「note(ノート)」で、事故発生から船の船長や団体関係者から対面での謝罪がなかったと明かしていたことで批判を集めていた中での謝罪となり、X(旧ツイッター)上では「あまりにも遅すぎる」「今更遅い」など厳しい反応が飛び交っている。

米ハーバード大のサマースクールの学生証を手にする武石知華さん=昨年6月(投稿サイト「note」より)

「遺族に深い傷を負わせた」後手の懺悔

2023年12月に行われた海上での抗議活動=沖縄県名護市

サイトでは「事故後対応および安全管理の不備に関するお詫び」と題し、「事故直後、直接の謝罪や弔意をお届けできなかったことで、ご遺族にさらなる深い傷を負わせてしまったことを重く受け止めている」とし、事故そのものの責任に加え、不適切な事後対応について「弁解の余地はない」と懺悔。「本来、何よりも優先されるべき安全確保について、当事者としての自覚があまりに欠けておりました」と非を認める内容となっている。

しかし、この謝罪が公表されるまでには、遺族による悲痛な「告発」から2週間という空白の時間があった。

知華さんの父親は4月17日、「note」に事故後の3月19、20日の経緯と周囲の対応を克明に記していた。

父親は同日の投稿で、知華さんの遺体の搬送に細心の注意を払ったJAL職員や、中城海上保安部、さらには米軍キャンプ・シュワブ関係者、ホテルスタッフらが、組織の枠を超えて遺族の悲しみに寄り添い、涙してくれたことに深い感謝を捧げている。

その一方で、「書きたくても書ける内容が無い」と断じたのが、他ならぬ平和丸の船長やヘリ基地反対協議会の関係者たちだ。沖縄滞在中、同団体からは直接の謝罪や弔電、面会の打診や問い合わせすらなかったという。団体は事故発生当日の3月16日に会見を開いて事故を謝罪していたが、娘を失った遺族を完全に「放置」していたことになる。団体の姿勢に父親は「私はこれを、どう理解すれば良いのでしょうか」と憤り、ネット上で大きな波紋を呼んでいた。

「平和」「基地反対」を説く団体、なぜ初動誤った?

反対協が代理人弁護士を通じて遺族に対して謝罪の申し入れを行ったのは4月3日のこと。1日の声明で父親の投稿に言及しており、「ご遺族がnote(4月17日付)で綴られたように、事故直後、私たちが直接の謝罪や弔意をお届けできなかったことで、ご遺族にさらなる深い傷を負わせてしまったことを重く受け止めております。事故そのものの責任に加え、その後のあまりに不十分で不適切な対応について、弁解の余地はなく、改めて深くお詫び申し上げます」と現地で面会できなかったことを全面的に懺悔した。

反対協は、正式名称が「海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会」で1997年10月に結成。米軍普天間飛行場の移設に伴い米軍キャンプ・シュワブ沖(辺野古沖)で計画されたヘリパット建設反対を訴える政党や労働組合、市民団体などが結集。基地建設受け入れを表明していた当時の名護市長を「糾弾」するような反対闘争を繰り広げてきた。2015年12月に発足した「オール沖縄会議」とも連携し、転覆した2隻などを使って海上で抗議活動を展開してきた。

「平和」を旗印にしてきたはずの団体が、なぜ犠牲者である知華さんの遺族の心を踏みにじるような対応を続けてきてしまったのか。世論の批判に追い込まれて出したかのような謝罪文には、「未成年を受け入れる判断自体に重大な誤りがあった」との文言もある。JALや海保、米軍関係者が遺族に見せた誠実な対応がnoteで詳述されたことで、団体側の対応の不自然さが、より際立つ結果となった。

反対協のサイトで掲載された声明全文は、次の通り。

事故後対応および安全管理の不備に関するお詫び

2026年5月1日

ヘリ基地反対協議会

2026年3月16日に発生した船舶事故により、かけがえのない大切なお子様を亡くされたご遺族に計り知れない悲しみと苦しみをもたらしたこと、また、負傷された生徒様、保護者・学校関係者の皆様に心より深くお詫び申し上げます。

ご遺族がnote(4月17日付)で綴られたように、事故直後、私たちが直接の謝罪や弔意をお届けできなかったことで、ご遺族にさらなる深い傷を負わせてしまったことを重く受け止めております。事故そのものの責任に加え、その後のあまりに不十分で不適切な対応について、弁解の余地はなく、改めて深くお詫び申し上げます。

今回の事故は、当協議会が管理する船舶を使用した平和学習の中で発生いたしました。 自然の影響を大きく受ける海上での活動に、修学旅行生を含む未成年を受け入れるという判断自体に重大な誤りがあったと痛感しております。本来、何よりも優先されるべき安全確保について、当事者としての自覚があまりに欠けておりました。

現在、私たちは捜査機関および関係機関の調査に全面的に協力しております。 並行して、団体内においても事故の原因究明と組織体制の抜本的な見直しを進めております。

私たちは、尊い命を失うという取り返しのつかない結果を招いたことを重く受け止め、ご遺族・被害者の皆様に対し、誠心誠意、責任を果たすべく全力を注いでまいります。

(zakⅡ編集部・井上悟)

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