ユニクロ「感動ジャケット」を着てもなぜか"安っぽく見える"40代…高機能セットアップが抱える「まさかの盲点」

ゴールデンウィーク明けの気温上昇に伴い、高機能セットアップ姿のビジネスマンが一気に増えます。いずれも「軽量で涼しく、自宅で洗える」といった機能面が魅力ですが、従来のウールスーツと同じ感覚で着てしまうと、気づかぬうちに「だらしなく見える」と受け取られかねません。

【写真】ユニクロの「感動ジャケット」でも"安っぽく見える"?

今回は、スーツより軽快なスタイルをビジネスウェアとして成立させる着眼点を明確にし、周囲から「きちんと評価される」ための鉄則をお届けします。

軽快な高機能セットアップの「まさかの盲点」

オフィスカジュアルの代表格である高機能セットアップですが、その軽快さゆえに、気温によっては「ペラッとした生地が安っぽく見える」という弱点があります。

我々ビジネスパーソンの身だしなみは、絶対評価ではなく「相対評価(TPO)」です。たとえばユニクロの感動ジャケット/ライトも、最高気温25度以上の「夏日」など、多くの人が暑さを感じる環境下では、その薄さが「合理的な機能美」として肯定されます。しかし気温が上がりきる前にフライングして着ると、その薄手の生地感は「ペラッとしたジャケット」と見られかねません。ここに難しさがあります。

軽快な高機能セットアップの「まさかの盲点」, 高機能セットアップを格上げする「合わせ方の基本ルール」, ビジネスカジュアルにおける「靴下のジレンマ」, アイテム単体ではなく「引き算のバランス」を意識しよう

ユニクロの感動ジャケット/ライト(写真:筆者撮影)

気温によって「生地感の評価が変わる」という着眼点は意外に思われるかもしれませんが、そもそも高機能セットアップは、ウールスーツとは「型紙(設計図)と生地感」が大きく異なります。芯地や裏地を省いたタイプでは、従来のウールスーツほどジャケット単体でカッチリ感を出しにくいものもあります。だからこそ、「中に何を合わせるか」という全体最適のルールが求められるのです。

そしてユニクロにとどまらず、紳士服量販店でも高機能セットアップは夏の定番アイテムになりつつあります。たとえばAOKIの「アクティブワークスーツ」や、SUIT SQUAREの「最高セットアップ」などが有名です。またSUIT SQUAREでは、ジャケットに合わせやすいオフィスインナーとして「オフィT」も展開されています。

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SUIT SQUAREの「最高セットアップ」(写真:筆者撮影)

これはつまり、「いつものワイシャツを合わせておけば安心」という従来の常識を捨て、ジャケットの構造に合わせ、インナーもアップデートしなければならないという明確なサインだと私は捉えています。

高機能セットアップを格上げする「合わせ方の基本ルール」

私は企業の印象管理研修を担当するスタイリストとして、この手の高機能セットアップのインナーには原則として「肉厚なビジネスTシャツ」を推奨していますが、絶対にワイシャツがNGというわけではありません。インナーの正解を決める分岐点は、ジャケットの「肩のライン」にあります。

型紙の工夫により、肩パッドがなくとも、ウールスーツのような「直線的で構築的な肩」のセットアップをご存じでしょうか。この手のジャケットならば、薄手の機能素材であっても、ワイシャツがキレイに馴染みます。しかし、芯地を省いた「なだらかで丸みのある肩」のカジュアルなジャケットに、いつものワイシャツを合わせてしまうとどうなるか。薄いジャケットの生地が、ワイシャツのハリ感に負け、ジャケットのカジュアルさが安っぽく見えてしまうのです。

軽快な高機能セットアップの「まさかの盲点」, 高機能セットアップを格上げする「合わせ方の基本ルール」, ビジネスカジュアルにおける「靴下のジレンマ」, アイテム単体ではなく「引き算のバランス」を意識しよう

直線的な肩のものはスーツ同様、ワイシャツに合わせられる(写真:筆者撮影)

各社のオンラインショップでは、肩に丸みのあるカジュアルなセットアップに、ワイシャツとネクタイを合わせている画像も散見されます。しかし、それはモデル体型や撮影条件があって成立している見せ方だと私は捉えています。我々一般の40代がそのまま真似をすると、アイテム同士の不協和音が、顔や体型に跳ね返ってくることもあります。

にもかかわらず、「ジャケットが軽くカジュアルな分、せめて中はきちんとしたワイシャツを着てバランスをとろう」と考えてしまうビジネスマンもいらっしゃるはず。

しかし、これは服の成り立ちから言えば相性がよいとは言えません。ウォッシャブルで芯地を極力省いた機能性ジャケットは、カーディガンのように羽織れる「シャツジャケット」に近いカジュアルアイテムです。そこに、台襟のしっかりしたドレス感あるワイシャツを合わせると、アイテム同士の方向性がちぐはぐに見えやすいのです。

肩に丸みあるカジュアルな高機能セットアップには、カッチリした襟つきを避け、「しっかりした質感のビジネスTシャツ」を合わせましょう。これがアイテム同士のベクトルを揃えると同時に、セットアップをビジネスウェアとして成立させる着こなしの鉄則です。

軽快な高機能セットアップの「まさかの盲点」, 高機能セットアップを格上げする「合わせ方の基本ルール」, ビジネスカジュアルにおける「靴下のジレンマ」, アイテム単体ではなく「引き算のバランス」を意識しよう

ポロシャツのような鹿の子地のビジネスTシャツに合わせた高機能セットアップ(写真:筆者撮影)

ビジネスカジュアルにおける「靴下のジレンマ」

もう一つ、ビジネスカジュアルの盲点となるのが「足元」です。高機能セットアップはカジュアル感が増すため、「いつもの薄手のスーツ用ソックスでは違和感がある」と悩む方が少なくありません。

もちろん靴下が見えない「アンクルソックス」はスッキリ見えますが、ビジネスシーンで素足、つまり足首が見える状態を軽く見られると捉える方もいるでしょう。社外の取引先へ赴く際には、不要なリスクになり得るため避けたほうが賢明です。

そこでビジネスカジュアルにおけるソックスの正解ですが、靴下を「生地の厚み」と「リブ(縦に入った凹凸の筋)の有無」という視覚的ポイントで分類することから始めてください。そもそもウールスーツに合わせるフォーマルな靴下は「薄手でリブがない、または目立たない」ものが基本と言われています。これをスニーカーのようなカジュアルな足元に合わせると、靴下が浮いて見えます。

とはいえ休日に履くような「厚手で太いリブ」の靴下ではルーズすぎます。もちろん、「ソックスは、色が合っていればいいでしょ」という考えも一つですが、気になる方のために私の最適解をお伝えしましょう。

高機能セットアップの足元に合わせやすいのは、スーツ用とカジュアル用の中間である「薄すぎない中肉厚の生地で、細リブが入っている、もしくはリブがない無地の靴下」です。経験上、これがビジネスカジュアルに馴染みます。

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左から、スーツソックス、ビジネスカジュアルソックス、カジュアルソックス(写真:筆者撮影)

アイテム単体ではなく「引き算のバランス」を意識しよう

高機能セットアップは、ただ着るだけでスマートに見える魔法の服ではありません。暑さをしのぐためにドレス感を意図的に削ぎ落としたアイテムだからこそ、インナーやソックスのカジュアルさを微調整する「全体最適」の視点が不可欠です。

涼しさやラクさという部分的な機能だけでなく、全身の調和に目を向けてみてください。その微細なバランス感覚こそが、あなたのビジネスパーソンとしての説得力を底上げしてくれます。