結局、バイクは楽しむ姿がカッコいい|最終回 日本のバイクはなぜカッコいいのか

結局、バイクは楽しむ姿がカッコいい|最終回 日本のバイクはなぜカッコいいのか
なぜバイクはカッコいいのか──その答えを探してきた本連載も、今回が最終回となる。性能やデザイン、技術や思想。さまざまな視点から紐解いてきたその魅力は、結局どこにあるのか。プロダクトデザインの第一線で活躍してきた一條厚氏の言葉から、“バイクの本質的なカッコよさ”に迫る。
なぜ原田哲也は加藤大治郎に「敵わない」と思ったのか?|第7回 日本のバイクはなぜカッコいいのか

GKダイナミックス 元代表取締役社長【 一條 厚 氏 】
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PHOTO/T.HASEGAWA, H.ORIHARA, S.MAYUMI, K.ASAKURA,HONDA, YAMAHA, SUZUKI, KAWASAKI, Red Bull, STLC Classic Wheels
TEXT/G.TAKAHASHI, K.ASAKURA
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ひと目見て心が動くバイクは作り手の熱が生み出す
プロダクトデザインの世界では、第二次世界大戦前後からモダンデザインのムーブメントがあり、シンプルでクリーン、整理された造形が重視されてきた。バイクのデザインも基本は同じで、何かを足すという発想はない。
バイクは軽量化が大前提だからだ。乗って面白くてナンボの乗り物であり、その面白さはパワーよりもレスポンスにある。スロットルを開けた瞬間にマシンがクッと前に出る、その感覚こそが魅力だ。
排気量や最高出力といった数値以上に、操作に対するレスポンスが重要になる。だからこそ“スリム・軽量・コンパクト”を徹底し、余計なものは削ぎ落とす。贅肉は美しくない。
最高速300km/hといったスペックは分かりやすい指標ではあるが、それ自体が面白さに直結するわけではない。ライダーが求めているのは単なるパフォーマンスではなく、“スポーツとしての体験”だ。
スピードは誰でも出せるが、コーナーを速く走れることには価値がある。自分でコントロールしている実感こそが楽しさにつながる。それがバイクの奥深さであり、長く乗り続けたくなる理由でもある。

上手に走る人は確かにカッコいい。しかし、上手くなくてもいい。そこに伸びしろがあり、発見がある限り、バイクはずっと楽しめる。
バイクのカッコよさは、ファーストインパクトで決まることが多い。一目見た瞬間に心を動かされるかどうか。そのためには、作り手の感性をどれだけ純粋に表現できるかが重要になる。強い想いがなければ、人の心は動かせない。
実際にヤマハではエンジンの造形にまでデザインの手が入ることもあった。機械としての構造を美しく見せる、いわば“機械の美学”がそこにはある。
バイクは嗜好品であり、生活に必須のものではない。それでも人生を豊かにしてくれる存在だ。世界中にいるバイク好きのために、より良いもの、カッコいいものを作る。そのためには、作り手自身が誰よりもバイクを好きであることが欠かせない。
結局のところ、バイクのカッコよさとはスペックでも形でもない。楽しんでいる姿、そのものなのかもしれない。
第1回目を読む|挑戦が生んだ“失敗と技術”の物語
https://www.bikejin.jp/ridersclub/19260/