「仁淀ブルー」でウイスキーを 世界的評価、地元高知でも

「仁淀川蒸溜所」の山崎祐大さん=2026年3月、高知県仁淀川町
「仁淀ブルー」で知られる清流の地下水でウイスキー造りに挑む男性がいる。「仁淀川蒸溜所」の山崎祐大さん(35)は独学でウイスキーを製造し、国内外で高い評価を受けてきた実力者。Uターンした高知で「自然の恵みを最大限引き立て、町が世界に誇れるようなウイスキーを造りたい」と意気込んでいる。(共同通信=稲本康平)
2026年3月、高知県仁淀川町の冷涼な山奥に、コンテナを溶接して建てたモダンなウイスキー工場が完成した。良質な水は風味や香りに大きく影響する要素で、仁淀川は国土交通省が2025年7月の「水質が最も良好な河川」に認定している。使用するのは約30メートルの地下水。山崎さんは「さらに質がよく、角が全くない口当たりだ」と話す。
ウイスキー造りとの出会いは2017年。当時勤めた和歌山の食品会社で新規事業のウイスキー製造の担当に。知識が全くない中、原料の大麦麦芽を2キロ購入。最初は加熱されたものではいけないことも知らなかった。
師匠はおらず自己流だ。「大麦麦芽をお湯に入れる」などネット上のざっくりした情報を基に試行錯誤を重ねた。ろ過作業ではざる、ラーメン作りのだしこし袋、網戸も用いた。酵母探しにも時間をかけ、2年を費やして紀州熊野蒸溜所(和歌山県)のウイスキーを開発した。
依頼を受けて製造した神息酒造奈良蒸溜所(奈良県)のウイスキーは、ニューヨークの大会で最優秀賞を2年連続受賞。現在も両蒸留所で製造責任者を務めている。
自分の蒸留所を持ちたいと2024年、生まれ育った高知に妻と戻ってきた。山崎さんは「地元の人の応援があったからここまで来られた」と話す。シングルモルトウイスキー「仁淀川」は、最短で3年の熟成を経て、2029年に完成する。
仁淀川蒸溜所はバーを併設し、約1週間の製造体験ができるツアーも始める。日本ウイスキー文化振興協会の土屋守代表理事は「蒸留所は観光や地域活性化と密接している。地域を象徴する清流を使用したストーリーは最大の売りになるだろう」と期待している。

高知県仁淀川町に完成した「仁淀川蒸溜所」=2026年3月(松本大樹氏撮影)

高知県仁淀川町
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