“睡眠不足”を商機に変えた疲労回復パジャマ「BAKUNE」開発者が語る「一般医療機器」届出にかけた思いとは?

 近年注目のリカバリーウェア市場。なかでも株式会社TENTIALの疲労回復パジャマ「BAKUNE」は、累計販売数300万枚※を超えるずばぬけた存在だ。なぜBAKUNEは、多くの現代人の心を掴むのか。同社sleep事業部長の塩野清雅さんに、開発の舞台裏を聞いた。「前編」をお届けする。※300万枚:トップス・ボトムス2点で1セット換算(150万セット販売実績)、累計販売数は2025年8月時点

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――まずはどのような商品なのか教えてください。

塩野:「BAKUNE」は、特殊繊維「セルフレーム」という鉱石を練り込んだリカバリーウェアです。この繊維が体から発せられる遠赤外線を輻射(ふくしゃ)することで血行を促進し、それによって疲労回復が期待できるというメカニズムになっています。また、寝返りしやすく、肌触りがいいので気持ちよく眠れますね。着て寝るだけで、日々のコンディションを整えるサポートをするのが特徴です 。

――発売からわずか5年弱で累計300万枚を売り上げる大ヒットとなっています 。

塩野:2021年の発売以来、本当に毎年、成長率が2倍、3倍と積み上がってきました。リカバリーウェアというカテゴリー自体、ここ数年で世の中の注目度が格段に上がっていると感じています。その中で「BAKUNE」を選んでいただけているのは大変ありがたいですね。

――そもそも、なぜリカバリーウェアを開発しようと考えたのでしょう。

塩野:開発当時はコロナ禍でおうち時間が増え、多くの方が寝付けない、疲れが取れないといった健康課題を抱えていました。その前からも、もともと日本人は主要国の中でも睡眠時間がもっとも短く、質も悪いというデータがあり、国全体の課題だと感じていました。

――大谷翔平選手が、睡眠を非常に重視していることが話題になりました。

塩野:私たちはもともとプロアスリートに対し、コンディショニングパートナーとしての支援を実施している企業です。彼らは高いパフォーマンスを発揮するための日々のコンディショニングとして、睡眠をとても大切にしています。理想は睡眠時間を延ばすことですが、忙しいビジネスパーソンにそれは難しい。ならば「睡眠の質を上げられないか」という強い思いが開発の原点です。

――「睡眠の質を上げたい」というニーズは、具体的にどのような声から掴んだのでしょうか。

塩野:実は、我々は健康メディアを運営しており、そこで読者の悩みを分析していました。すると、特に多かったのが「脚の悩み」と「睡眠の悩み」の2つだったんです。睡眠に関しては「寝ても疲れが取れない」「夜中に何度も目が覚める」といった声が非常に多く、ここに大きなニーズがあると考え、商品開発に着手しました。

――開発で最も苦労したのはどんな点ですか?

塩野:たくさんありますが、特に大変だったのは「柔らかさ」と「耐久性」の両立です。パジャマは毎日洗濯する方も多いので耐久性が不可欠ですが、素材を柔らかくすると耐久性は落ちてしまう。この相反する要素を満たすために、本当に何十回も試作品を作り、テストを繰り返しました。

――単なる機能性だけでなく、パジャマとしての「快適性」を徹底的に追求されているということですね。

塩野:その通りです。もう一つこだわったのが、服の設計思想です。一般的なアパレルは「立ち姿勢」を基本に設計されますが、我々は「寝姿勢」を基本に、寝返りを打ったときに服の圧がかからず、スムーズに動けるパターン(設計)を追求しました。どんなに血行促進効果が高くても、締め付けが強かったり着心地が悪かったりすれば、夜中に目が覚めてしまう。機能性と快適性の両立こそが、BAKUNEの核だと考えています。

――衣類でありながら「一般医療機器」として届出を出されている点は驚きです。簡単なことではなかったと思いますが、なぜそこまでこだわったのでしょう。

塩野:お客様に商品の機能を信頼していただくためには、しっかりとしたエビデンスが不可欠だと考えたからです。「疲労回復が期待できる」という効果を謳う以上、その根拠を明確に示す責任がある。一般医療機器として届け出ることで、我々のものづくりに対する真摯な姿勢と、製品への自信を伝えたかったのです。

(聞き手/AERAブランドプロデューサー・木村恵子)

※フルバージョン動画では、記事に載せきれなかったエピソードを聞くことができます

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