「お台場ゴーストタウン説」は本当か? 歩いてわかった決定的な弱点

「お台場ゴーストタウン説」は本当か?歩いてわかった決定的な弱点とは Photo:PIXTA
東京ではいつもどこかで再開発をしている。目新しい施設で一時は人気が急騰しても、すぐ他の街にその座を奪われがちだ。今回、取り上げるのは「お台場」。フジテレビ社屋や『踊る大捜査線』シリーズで全国的な知名度を得たのも今は昔。実際に歩いて、栄枯盛衰を分析した。【前中後編の前編】(ライター 前林広樹)
お台場は廃れてしまったのか
人気が陰る真の要因とは
テーマパークやショッピングモールが立ち並ぶお台場。アーバンリゾートとして一世を風靡したが、近年はその人気に陰りが見える。日帰り温泉の大江戸温泉物語が2021年、商業施設パレットタウンは22年に閉館。同ヴィーナス・フォートの跡地には、有名マーケターの森岡毅氏が率いる刀が運営するエンタメ施設イマーシブ・フォート東京ができたが、わずか2年で閉館した。
閉館続きの影響だろうか、近年は「お台場がゴーストタウン化している」といったネット上の投稿も目立つが……実際はどうなのか?実態を確かめようと、現地に出向いた。
まず、イマーシブ・フォート跡地に向かった。最寄り駅である、ゆりかもめ・青海駅からりんかい線・東京テレポート駅へ向かうペデストリアンデッキの機能も兼ねているため、まだ敷地には入れる状態だった(3月)。
人影はなく、イマーシブ・フォートの演目の案内が張られたまま。建物自体は、ヴィーナス・フォート時代のままで「ヨーロッパの街並みを再現したんだっけ、オシャレだったよな……」などと記憶がよみがえってきた。当時は多くの人で賑わっていただけに、哀愁ただよう現在に虚しさを感じた。

イマーシブ・フォート東京の跡地 Photo by Hiroki Maebayashi

演目の案内が貼られたままだった Photo by H.M.
続いて東京テレポート駅から歩いて、商業施設のダイバーシティ東京やデックス東京ビーチなどを巡った。同施設内には「うんこミュージアム」や「台場1丁目商店街」など珍しいエリアや、多くのアパレル店や飲食店があり、若者や家族連れで賑わっていた。
お台場を歩いて分かった
違和感の正体
ただ、ここで最初の違和感を覚えた。各施設を歩いて移動するのに高架橋を渡り、かなり長い階段を昇り降りしなければならず、「めんどいな……」と正直、思ってしまったのだ。
象徴的なのが、ダイバーシティ前の「お台場中央交差点」だ。高架橋が、ダイバーシティ2階の目の前に相当する箇所で途切れてしまい、同施設に入るにはわざわざ階段を降りて1階から入らなければいけない。

高架橋を渡り、かなり長い階段を昇り降りする必要がある Photo by H.M.

ダイバーシティ東京の周りの導線は良いとは言えない Photo by H.M.
人気施設はあるけれど…
街ブラには向かない街か
首都高湾岸線など幹線道路が多いので仕方がないのかもしれないが、結論、お台場は複数の施設を徒歩で周るような街ではない。徒歩だと階段や横断歩道が多く大変だ。中には歩ける道幅がとても狭い場所もあり、イベント開催時には通るのにも時間がかかりそうだった。
また、再開発から30年以上経過しているだけに「設計が古いな……」と思う箇所も多かった。下りエスカレーターがない、エレベーターが少ない高架橋などが象徴的だ。
施設自体の目新しさも、特に青海エリアは08年のダイバーシティ開業以降は、ない。有明エリアまで広く見れば、20年開業の有明ガーデンが最新施設だ。大型施設の開業で目新しさを保っていた街だが、それもなくなれば、街として訪問する動機に欠ける。
そのせいか遊休地も多く、不自然に広い駐車場が目立つ。一説には、遊休地の広さは合計17.9平方キロメートル、東京ドーム約4個にものぼるという(※記事末に参考文献)。東京でこれだけ広大な空き地があるのも異例だろう。

遊休地が目立つ…… Photo by H.M.
東京に住むと、都会の人が休日に「街ブラ」を楽しむ意味が分かる。コンパクトなエリアに魅力的な店や施設がところ狭しと並んでいて、それらを徒歩で周遊するだけで一種のレジャーになり、1日過ごすことができる。クルマに乗って目的地を往復する必要がない。
そういった東京ならではの街ブラ的な楽しみ方を、お台場という街は、あまり持ち合わせていないように感じた。
オフィス街としての存在感は…
決定的な弱点とは
それでは、オフィス街としての存在感はどうかというと、それもない。弱点として、公共交通のアクセスが悪いからだ。入居率がかなり悪いビルもあるようで、一例として某オフィスビルは入居率40%程度と、東京では考えられない水準のようだ。(※同上)

某オフィスビルのフロアガイドを見ると、空室率が高い様子だった Photo by H.M.
お台場という街は広大で、今もそれなりに集客する大型施設はあるが、ひとつひとつの施設で完結している。大型施設内にはチェーン店が多く、魅力あるオンリーワンの店は、あまり見当たらない。街歩きには向かない印象だ。
りんかい線やゆりかもめの料金が高いことも、何度も行きたい街になりにくい要素のひとつだと考えられる。オフィス街として栄える要素も乏しい。
前中後編シリーズの中編『「お台場」と「横浜みなとみらい」比べてわかった残酷なほどの違い』では、お台場と首都圏ウォーターフロントの代表例「横浜みなとみらい」を徹底比較する。