中古カメラ価格が4倍に!スマホ高性能化の裏でなぜ今「コンデジ復権」

(写真提供/KOMEHYO)
2000年代に流行していたコンパクトデジタルカメラ、通称「コンデジ」。このコンデジが、令和の今になってブーム再燃しているという。
「一般社団法人カメラ映像機器工業会によると、2025年のレンズ一体型カメラ(コンパクトカメラ)の総出荷台数は前年比約30%増。2年連続で売り上げを伸ばしているようです」(リサイクル業界紙記者)
軽量で持ち運びも簡単、レンズも固定型という手軽さから、かつては一家に1台あるのが当たり前だったコンデジ。しかし、スマートフォンのカメラの高性能化をきっかけに、ここ15年は衰退の一途をたどっていた。
「コンデジの出荷台数は2008年に1.1億台とピークを迎えていましたが、2023年には170万台まで低迷しました。売り上げが増えているといっても、昨今の急激な需要に供給が追い付いていない状況で、2025年現在でも240万台となっています」(前同)
そんな新品だけでは需要がまかなえていない中で注目を浴びているのが、現在、2000年代~2010年代前半に発売された「オールドコンデジ」だ。
リユース品の買取・販売の大手「KOMEHYO」の名古屋本店本館でカメラ売り場のチーフアシスタント・フロアマネージャーを務める原康洋氏が言う(以下、カギカッコ内はすべて原氏)。
「オールドコンデジの需要は5、6年前と比較してかなり伸びています。当店では、販売台数では約5倍、平均価格帯も平均3.5倍まで高騰している状態ですね」
5、6年前に5000~1万円ほどで販売されていたモデルが、今では2~4万円となったケースもあるというから驚きだ。
しかし、近年に発売されたモデルよりも、その前に発売されたモデルに人気が集まるとは、いったいどういうことなのか。もちろん、古い型のほうが値段が手頃というのもあるが、理由はそれだけではなかった。
「この“オールドコンデジ”には、現在販売されているカメラにはない良さがあるんです」
その秘密は、レンズに入った光を受け取る“イメージセンサー”の違いだ。
「2000年代に販売されたコンデジの多くには“CCDセンサー”が搭載されています。これは現行のカメラやスマホに搭載されている“CMOSセンサー”よりも色に温かみがあり、特に静止画を撮る際には、フィルムカメラのような風合いの写真が撮れるんです」
00年代半ばから台頭してきたCMOSセンサーは、CCDセンサーより構造がシンプルなため消費電力も少なく、処理速度も速いため動画撮影に適していた点が時代のニーズに合っていたと言えるだろう。
そして生産コストが低く抑えられたことや、大量生産が可能だったこと、技術の進歩によって高画質の写真も撮れるように進化したことから、次第に普及。今ではデジタルカメラのほとんどがCMOSセンサーを搭載するようになった。
だが、それでもCCDセンサーには、それ特有の風合いやフィルム感のある写真が撮れる。そんなところに魅力を感じてオールドコンデジを求める人も多いというのだ。
■レトロ感と個性的なフォルムが人気の秘密
それに加えて、当時のカメラにしか出せない“レトロ感”も、オールドコンデジにはある。それも人気が高まった理由だ。
「現代のデジタルカメラは画素数の向上や多機能化で鮮明な写真が撮れるようになった反面、出来上がる画像も画一的。一方のオールドコンデジは、スペックは現行機に及びませんが、低い画素数やノイズの乗りやすさなど、その仕様が生み出す、なんとも言えない味わい深い写真が“エモい”と人気なんです」
また2000年代前半に発売されたコンデジに多い、個性的なフォルムや操作性など、その独自性もファンにはたまらない。
「例えば、『CONTAX SL300RT』や『CONTAX i4R』(どちらも京セラ)は、レンズアングルが変えられたり(SL300RT)、レンズパネルを引き出して撮影できたりします(i4R)。どちらも目を惹くフォルムであるうえに、CCDセンサーとカールツァイスレンズが搭載されています。今のカメラでは出せない味わい温かみのある色合いが特徴ですが、これは今の時代ではなかなか再現できない個性なんです」
この2機種は入荷すればすぐに売れてしまうアイテムだという。ここまで聞くと、“それならウチの押し入れで眠る、時代遅れのコンデジも高く売れるのでは?”と思う人もいるだろう。
「最新であることが至上ではなくなった今、“電源が入って撮影できればよい”“不確かさがよい”といった理由から査定額が上がることが増えました。オールドコンデジに数万円単位の高値が付くことは多くありませんが、前までは100円に満たなかった査定額が2000円になったという相場の変化はよく起こります」
査定額を上げるポイントとしては、充電池・充電器も一緒に持ち込むこと。形状も専用の物が多く、それらの付属品は現在では生産していないため、欠品している場合は動作確認できないことがあるので注意が必要だ。
また、発売から15年~20年以上経過したオールドコンデジには、ある程度の経年劣化・不具合が出やすいことも承知しておかねばならない点も留意しておきたい。
■オールドコンデジの“エモさ”とファッション性を持つ「トイデジ」
ちなみに、オールドコンデジの人気沸騰と同様、“エモさ”を再現できる“今どき”のカメラも登場しているという。
「トイデジタルカメラ、通称“トイデジ”も流行中ですね。オールドコンデジの持つ“エモさ”を手軽に楽しめるだけでなく、バッグに付けたり、首から下げられるほど小ささで、ファッション性も高いんです。カラーバリエーションが豊富な『KODAK CHARMERA』や、クラシカルなフィルムカメラを小型化したようなフォルムの『KENKO PIENI』シリーズなど、種類も多彩です」
特にKODAK CHARMERAは20代を中心に大流行。160万画素と粗い写りではあるが、何種類かのフィルターもあり“SNS映え”ができること、またブラインドボックス式の販売でどんなデザインのカメラが手に入るかは開封までわからないという“ガチャ感”も人気の理由だ。
「2024年10月の発売日にはあっという間に完売、その後も再入荷が追いつかず入手困難でしたが、最近ではオンラインや家電量販店などでも購入可能なので、チェックしてみるといいと思いますよ」
手軽で端正なスマホ撮影に慣れてしまった今。レトロなカメラから見た世界は普段と少し違うかもしれない。
■【画像】“かわいくてエモい”トイデジ撮影写真とスマホ撮影写真の比較
トイデジならキーホルダー感覚で持ち運べるということで……カメラビギナーの記者もお試しに使ってみた。
日中に花を撮ってみたのが下の写真。左がトイデジ撮影で、右がスマホ撮影だ。
再限度に関してはスマホのほうが高い。一方、トイデジの写真は平面的な写りで、スマホとは違ってピントは合いづらい。肉眼で見るよりもピンクの発色も少し白飛びしていて画質は荒く感じるが、それがなんだか少しノスタルジックで“エモい”雰囲気でもある。
トイデジは6000円前後で購入できるので、オールドコンデジの世界を知る入門機としては、うってつけかもしれない。

画質の粗さがエモいトイデジ写真(左)とスマホで撮った写真(右)(撮影・編集部)

KODAK CHARMERA キーチェーン デジタルカメラ(KODAK Apparelホームページより)
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