ディーゼルを廃止、まずはマイルドハイブリッドから導入…3代目に進化したマツダ新型「CX-5」に見たプラス面とマイナス面

マツダの量販SUV「CX-5」の3代目が登場した。世界市場での累計販売台数は500万台を数える。名実ともにマツダの大黒柱にして稼ぎ柱である。今回、神奈川県横浜市内での試乗と、広島からお越しくださった開発陣への取材を通じて、新型CX-5は販売面で大きな成功を収めるであろうことが確信できた。

【写真を見る】2026年5月21日に発売したマツダの新型「CX-5」のディテールと、初代と2代目との比較(98枚)

しかし、その確信よりも(失礼!)、乗った瞬間から心底、驚いたことがあった。初代CX-5登場の2012年から貫いてきた、真を食うシャキッとしてすっきりとした乗り味をガラリと変えてきたことだ。これはマツダのSUV史上、最も大きな変革だと感じている。

当然、変革にはプラス面とマイナス面がある。筆者の考えるプラス/マイナス面は後述するが、世界市場で売れ筋となって久しいSUVに対し、さらなる競争力獲得に向け、マツダには今、変革を行うべき理由があった。それはユーザーが抱く期待に、クルマはどう応えるか、という感性領域での話だ。

【写真】2026年5月21日に発売したマツダの新型「CX-5」のディテールと、初代と2代目との比較(98枚)

マツダが乗り味を変えた理由を考察する

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

9年ぶりのフルモデルチェンジとなるCX-5。新型の価格は330万円~447万1500円(撮影:三木 宏章)

マツダのフラッグシップSUV「CX-60」(22年/2列シート)と「CX-80」(24年/3列シート)は、後輪駆動ベースの専用プラットフォーム(クルマの土台)に、新開発の直列6気筒3.3Lターボディーゼルの組み合わせを強烈にアピールして市場へ導入した。

見た目やカタログスペックが持つ話題性はとても高く、発表直後から実車の静的評価はすこぶる高かった。当然、動的性能も注目され、この2モデルでは走りの本質とともに乗り味が注目されたが、ここでユーザーの期待と異なる部分が乗り味にあった。

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のボディサイズは、全長4690mm✕全幅1860mm✕全高1695mmで、ホイールベースは2815mm(撮影:三木 宏章)

優雅なスタイルの斜め45度上をいくほど、俊敏な走行性能を備えていたのだ。筆者は歴代「ロードスター」が愛車だったが、この人馬一体感は「SUVのロードスター」だと今でも評価している。

ただし、大きく重いSUVで高い俊敏性を両立させるには物理的にどこかの性能が尖ってしまう。この2モデルの場合で尖ったのは乗り味のカタさだった。もっともマツダは、こうした市場からの声に対してきめ細かく何度も対応し、数々の変更や調整を行っている。また、カタさは体感値が大きいので正しい着座姿勢をとったり、自身の体幹を鍛えたりすることで大きく改善することが徐々に市場へ浸透していった。

マツダSUVが抱えていたギャップ

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のリアビュー(撮影:三木 宏章)

この状況を改めてユーザー側から考えてみる。

「マツダの国内市場向けフラッグシップSUVの2モデルだし、優雅な見た目、そして上質な内外装だから、きっと乗り味も滑らかなんだろうな」という期待を抱く。しかし、乗り味はSUVのロードスターのごとく俊敏で人馬一体感が強いからこそ、時にカタさを感じてしまう。そうなると、期待値とのギャップ(乖離)が生まれてしまうのだ。

擁護するわけではないが、2モデルには市場ごとに兄弟車がいるとはいえ、プラットフォーム、エンジン、内外装デザインに至るまですべて新設計の2モデルながら、導入当初CX-60で200万円台、CX-80では300万円台のグレードを用意するなど、車両価格の上ではユーザー側の期待を大きく超えてきた部分もある。

翻って新型CX-5だ。乗り味はユーザー側の期待値どおり、いやそれ以上に上質で滑らかであった。ここはCX-60やCX-80と乗り味のベクトルが大きく異なる。具体的には、初代、2代目が持ち味としていたドライバーの操作に対して瞬間的なタメ(≑わずかな時間差)を伴いスッと車体を動かす独自の乗り味は鳴りを潜め、遅れなく車体を反応させながら路面の大きな凹凸をきれいにいなす上質さを手に入れた。

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のインテリア(撮影:三木 宏章)

新型CX-5では、凹凸通過時にわずかな目線の上下ブレを筆者は認識したが、競合車となる国内外のエンジン横置き/ミドルサイズSUVたちと同じくソフトライドな乗り味を、まさかCX-5で味わえるとは考えてもみなかった。

そこに、ご覧のような従来型をさらに洗練させた優雅なボディの組み合わせだ。これなら販売店での試乗をした瞬間から、「いいね、私たちの期待どおり!」との声がそこかしこから聞かれるだろう。販売価格にしても充実装備のボトムグレードが330万円台、量販を狙った中間グレードで360万円台と魅力的だ。

3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5の運転席まわり(撮影:三木 宏章)

ただし筆者は、この変革を迎えた乗り味について、マツダにとってはプラスの面とマイナスの面があると思えた。プラス面は、定評ある優雅な内外装デザインに、期待どおりの上質な乗り味をドッキングさせたこと。さらに戦略的な車両価格も大いに後押しする。結果、販売台数を大きく伸ばすだろう。

マイナス面は、マツダがこれまで大切にしてきた、車体の大きさを感じさせない人とクルマの一体感がやや削がれてしまったことだ。これにより歴代CX-5ユーザーやマツダファンの目には、個性が薄まったと映るかもしれない。まさに筆者がこれだ。また、中長期的に見れば培ってきたブランド力への影響も無視できない。いずれにしろ取り越し苦労であればいいし、答えは数年後、時の市場に託したい。

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のタイヤ&ホイール(撮影:三木 宏章)

長々と説明した乗り味の違いだが、構造上から見ればシンプルだ。

従来型ではサスペンション構成パーツのうち、スプリングのバネレートを高めとして、ダンパーの減衰力をそれに合わせてセッティングしてきた。メリットはすっきりとした乗り味だが、同時にスプリングが最初に縮む(反対側は伸びる)時間と、ボディが実際に動き出す時間にmm秒単位のタイムラグを意図的に生み出した。マツダではこれを「タメ」と表現し、特徴的な乗り味として位置づけていた。

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のエンジンルーム(撮影:三木 宏章)

それを新型ではスプリングのバネレートを弱め、それにダンパーの減衰力で合わせる真逆の設定にしたのだ。具体的にはダンバーの伸び側の力を強くすることで、スプリングとダンパーの役割分担を変えながら、しなやかさと車体の安定性を両立させている。

この手法は多くの国内外競合車が採用する手法で、多くの走行領域をカバーできる利点がある。もう1つのメリットとしてスプリングがソフトになったことで車両の応答性能も物理的には高められる。

マツダらしさを失っていないのか

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のシフトまわり(撮影:三木 宏章)

筆者はここにデメリットもあると考えている。競合車と同じような滑らかな乗り味とのトレードオフで、マツダらしさは確実に薄らいでしまったからだ。

筆者は初代CX-5が登場した12年から一貫してマツダがSUVで目指した独自理論を用いた走行性能、つまりマツダらしさに強く惹かれていた。なぜなら、従来のSUVとはまったく異なる走りの楽しさを体現していたからだ。

その走りとは人馬一体。古くは流鏑馬、今ではスポーツカーを形容する言葉として使われるが、車体が大きく、重くなる傾向のSUVであっても、マツダが生み出すSUVはいずれも人馬一体感を抱くことができる希有なモデルばかりだった。

一般的にドライバーは、踏み込んだアクセル量に対する加速の強さ、つまり速度の変化量を予測しながら頭部を支える首筋に緊張感を与えて身体が反り返らないよう無意識に身構えている。その身構えにかかる時間はわずか0.2~0.3秒。興味深いのは、ゆっくり/素早く、どちらのアクセルワークに対しても同じだけ時間がかかるということだ。

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のリアシート(撮影:三木 宏章)

マツダでは従来型のCX-5を含めて、その身構えにクルマの動きを呼応させるため、どんなアクセルワークに対してもアクセルを踏んでから0.3秒後に加速度が発生するような設定とした。さらに、アクセルを踏み込んだ際の加速度の変化量(躍度/加速度を微分した数値)が、アクセルの踏み込み速度に近いイメージとなるように加速度を忠実に変化させることで、意図した加速感をドライバーが意識しやすく、結果的にアクセルと右足が一体となったような感覚が強くなる。

ジワッと踏んでも、グッと踏み込んでも、その後の速度の変化量が手に取るようにわかるため、運転が非常に楽しく、そして快適になる。

マツダのSKYACTIV技術とは

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のラゲッジスペース(写真:三木 宏章)

「エコが当たり前の時代に、マツダはすべてのお客様に『優れた環境・安全性能』と、『走る歓び』の両方を提供したい。この想いを叶えるために、マツダはエンジン、トランスミッションなどのパワートレーンから、ボディやシャシーに至るまで、クルマの基本要素を一新しました。この『SKYACTIV技術』を全面的に搭載した、マツダの新世代商品群の第一弾が『CX-5』です。マツダは今後の商品を通じてすべてのお客様に優れた安全・環境性能と走る歓びを提供し続けます」。これは当時のマツダ代表取締役会長で社長兼CEO山内 孝さんの言葉だ。

SKYACTIV技術は、正しいものは1つとする理念に基づき、ボディ形状やクラスを問わず、人(ドライバーや同乗者)が快適で楽しいと感じる乗り味を作り込むことを念頭に置いた。筋の通ったクルマづくりとも言えるもので、その後に登場したトヨタ「TNGA」、スバル「SGP」などクルマづくりの土台であるプラットフォームの設計思想にも大きな影響を与えた。

SKYACTIV技術では、3万点にもおよぶクルマの部品ひとつひとつに魂を込め、ビス1本から可能な限り多様な車種に展開できるような「MBD/モデルベース開発」を本格的に取り込んだ。

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

正面から見た新型CX-5(写真:三木 宏章)

初代CX-5では、導入当初、直列4気筒2.2Lターボディーゼルと、直列4気筒2.0Lガソリンを揃え、トランスミッションには6速ATを組み合わせ、駆動方式はFF(前輪駆動)と4WD(全輪駆動)の2本立て。

注目の2.2Lターボディーゼルは、尿素水であるアドブルーを活用したNOx還元触媒を用いず当時最も厳しかったポスト新長期規制をクリアし、トルクフルで燃費数値に優れていたことから大いに評価された。また、2代目CX-5の途中からは6速MTモデルもラインナップされファンを増やし、2代目の終売に至るまで高い人気を誇った。

そして3代目だ。これまでの主力であった2.2Lターボディーゼルはない。現状は、直列4気筒2.5Lにマイルドハイブリッドシステム(≑エンジン停止させた状態で電動モーターのみでは走行できないハイブリッドシステム)を組み合わせた1本のみで、駆動方式こそFF/4WDの選択ができるが6速MTはない。

導入を控えるストロングハイブリッド

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5のリアまわり(撮影:三木 宏章)

しかし「正しいものは1つとする理念」は3代目の新型CX-5にも受け継がれた。それが27年中に導入されるストロングハイブリッドモデル(≑エンジン停止させた状態で一定距離、電動モーターのみで走行可能なハイブリッドシステム)だ。搭載する内燃機関は直列4気筒2.5Lで「SKYACTIV-Z」を名乗る。

SKYACTIV-Zは前身であるSKYACTIV-X(直列4気筒2.0L/日本市場では19年12月にMAZDA3に搭載され販売開始)の正常進化版だ。圧縮着火を誘発するためにプラグの火花を補完的に使う「火花点火制御圧縮着火(SPCCI)を採用し、ガソリンとディーゼル、両エンジンの良いところを1つのエンジンで達成することを目標にする。

2.5L化された新しいSKYACTIV-Zでは、従来のSKYACTIV-Xと同じくSPCCI方式による圧縮着火燃焼技術をさらに進化させて、より薄い燃料での燃焼可能(≑燃費性能の向上)を目指す。同時に熱効率を高めるための遮熱技術も組み合わせる。

マツダはSKYACTIV-Zについて数字の類いを一切発表していないが、競合車の2.5Lハイブリッドモデルをベースに考えると、SKYACTIV-Zを組み合わせた新ハイブリッドシステムの燃費数値は、競合車である「ハリアー」や「フォレスター」を15~20%程度、上回ってくるのではないか。

こうした個人的な想いと、SKYACTIV-Zに大いなる期待を寄せながら、導入当初の主力パワートレーンとなる2.5Lマイルドハイブリッドモデルに試乗した。出力178PS/トルク237N・mに6.5PS/60.5N・mの電動モーターを組み合わせ、WLTC値はFFが15.2km/L、4WDが14.2km/Lでレギュラーガソリン仕様だ。

2.5Lエンジンは従来型である2代目にも搭載されていたが、3代目ではそれをベースにEGR量を増やして(≑エンジンのポンプ損失を減らして)燃費数値を向上させつつ、電動モーター駆動で実用領域での加速特性を高めている。

2WDの前輪駆動モデルに試乗

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

筆者による試乗シーン(撮影:三木 宏章)

早速、乗り込む。まずはFFモデルだ。国道を流れに合わせて50km/h前後で走らせると、静粛性がものすごく高いことに気がつく。従来型も静粛性は高かったが新型では整流効果をさらに徹底し、吸音材や遮音材の使用場所を増やしたことで、耳に届くノイズの類いが小さくなった。

顕著だったのは前席と後席での会話明瞭度で、都市高速道路の湾岸線では80km/hであっても、50km/hの国道とさほど声のトーンやボリュームを変えずとも会話がスムーズに行えた。気になるパワートレーンの実用性能だが、一般道路の走行では不満を抱かなかった(大人2名+撮影機材を積載した状態)。

細かく見ていく。発進時は、これまでマツダが大切にしてきた乗員の頭がグラッとしないような滑らかな発進特性で、ここは従来型の2.5Lモデルとほぼ同じ。違いはその後、身体が加速体制へと順応したあたりから、具体的には発進から1.0~1.5秒目以降から、踏み込んだアクセルペダルに対して素直(≑期待どおり)に速度をのせていく。

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5の走行シーン(撮影:三木 宏章)

ただし間違っても、従来型CX-5の看板だった2.2Lターボディーゼルのようなトルクフルな加速は望めない。また、従来型のサスペンション特性とは異なるので、車体の反応は素早いがアクセルコントロールでの姿勢制御はいくぶん難しくなったと筆者には感じられた。

わずか6.5PS/60.5N・mの電動モーターだが、発進時や中間加速時にゆとりを与えてくれる。詳細は筆者のYouTubeチャンネルをご覧いただきたいが、30~55km/hあたりまでの加速フィール(≑トルクフィール)は、「おっ、一体感のある走りだね!」と感じられるほど実に気持ちがいい。これは、やや軽めに設定されたアクセルペダルの踏み込み特性との相乗効果でもある。電動ステアリングのパワーアシストはやや過剰だが、こうした上質さと軽快感を兼ね備えた作り込みはさすがだ。

高速道路では少し物足りなさも

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

高速道路での試乗シーン(撮影:三木 宏章)

しかし現状のパワートレーンは、ゆとりという尺度で考えると物理的な限界がわりと早めに訪れる。具体的には高速道路に入ると一転、正直なところ物足りなくなるのだ。

誤解のないように正しく言えば、求める加速力に対してしっかりアクセルペダルを踏み込んだり、キックダウンやマニュアルシフトであらかじめ適切なシフトダウンを行ったりすれば、エンジン回転数こそ高めながらもしっかりとした加速力が得られる。ただ同時に、「そろそろ、いっぱい、いっぱいですよ~」という感じも伝わってくる。

もっともこれは、比較相手を450N・mを誇る2.2Lターボディーゼルとするからで、速度域が高くなると電動モーターの恩恵を感じにくいマイルドハイブリッド方式の2.5Lエンジンと考えれば納得がいく。

実用燃費は優秀だった。一般道路/高速道路を45kmほど走行し、WLTC値15.2km/Lの約97%であたる14.8km/Lを記録した。渋滞がなく一定速度で走行できるシーンが多かったとはいえ、従来型から80kg重くなった1670kgのボディにしては優秀な部類。空気抵抗係数にしても優れているものの、全幅1860mmで、全高1695mmだから前面投影面積は大きい。それにもかかわらず良好な数値を難なく記録できたのは、エンジンやパワートレーン熟成による相乗効果だ。

4WDモデルでは、車両重量が70kg重くなるが今回の試乗シーンでは動力性能に違いを感じることはなかった。一点、違いを挙げるとすれば乗り味全体のしっかり感は4WDモデルが高かった。後日、しっかり乗り比べたい。

確実な進化、新型CX-5成功の予感

マツダが乗り味を変えた理由を考察する, マツダSUVが抱えていたギャップ, 3代目となったCX-5のプラスとマイナスの要素, マツダらしさを失っていないのか, マツダのSKYACTIV技術とは, 導入を控えるストロングハイブリッド, 2WDの前輪駆動モデルに試乗, 高速道路では少し物足りなさも, 確実な進化、新型CX-5成功の予感

新型CX-5の走行イメージ(写真:マツダ)

新型CX-5は、受け継いできた優雅さ、徹底した市場調査から大変革を行った乗り味、そしてドライバーモニターカメラから得られる映像の解析を進化させドライバーの予兆判断性能を高めた「ドライバー異常時対応システム/DEA」などから、販売面での成功は間違いないはずだ。

個人的には、これまで育まれてきたコマンダースイッチ方式のマツダコネクトから脱却し、Google搭載/音声認識による、視線・手を使わない直感的な操作性への変革についても取材を重ねていきたいと考えている。