80歳夫婦「バスラーメン」は今日も行く チャルメラ響く港町

「函館元祖バスラーメン」の丸山憲雄さん(左)と妻の寿子さん=北海道函館市

 チャラリ~ララ、チャラリラリラ~。チャルメラの音色を響かせながら、車体に「函館元祖バスラーメン」と書かれたキッチンカーが北海道函館市の町中を走る。丸山憲雄さん(80)と妻の寿子さん(80)がラーメンの移動販売を始めて47年目。「味は走り出したころから変わらない」。2人は誇りを持って言う。

 3月21日夕方、2人は函館市の隣、北斗市の住宅街を回っていた。音に誘われた住民が家から出て来ると車を止めた。親子連れなどから次々と注文が入る。「後から気づいて追いかけたの」。常連の高齢女性がそう言いながら、持参したどんぶりを寿子さんに手渡すと、憲雄さんは手際よくラーメンを盛り付けた。

 人気は函館名物の塩ラーメン(900円)。豚骨や鶏がらを6時間煮込んだスープは優しくもうまみが強く、中太麺とよく合う。営業は毎日午後5~8時ごろで、月に500人ほどが訪れる。

 憲雄さんは高校卒業後、海上自衛隊の料理人に。船内を職場に各地を巡る中、港の岸壁でそばを売るバスの移動販売に出合った。退職後、故郷の函館で働いて資金をため、1978年にキッチンカーのように改造した貨物車で、寿子さんとともに営業を始めた。

 徐々に「おいしかったよ」と言ってくれる人が増え、念願のバスを購入、車内で食べられるようになった。25年ほど前からは市内の温泉街に常駐し、観光客にも人気に。コロナ禍で客足が減ったことから、2020年に移動販売を再開した。

 4代目のバスが老朽化し、現在は息子がプレゼントしてくれたキッチンカーに乗る。「原点に戻った感じ」と憲雄さん。2024年1月には病気で入院し、半年間休んだ。廃業も考えたが、客の笑顔に引き留められた。

 「ラーメンを食べてもらえるのは何にも代えられない喜び。100歳まで走ろう」。そう言って2人は笑い合った。営業ルートなどの問い合わせは憲雄さんの電話090(2873)7173。

「函館元祖バスラーメン」で人気の塩ラーメン

常連客(右)に出来たてのラーメンを渡す丸山寿子さん=北海道北斗市

老朽化で引退した4代目のバス=北海道函館市

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