初夏にガツンと涼感「ニラそば」を自宅で作る極意

シャキシャキしたニラの食感と根元の部分の甘みがそばと絡み合います(写真:筆者撮影)
乾麺を使えば自宅でも簡単
栃木県は全国2位の生産量を誇るニラの一大産地。その中心地である鹿沼市には「ニラそば」という名物料理があります。もともと鹿沼では家庭でそばを打って食べる習慣があり、ニラを交ぜてカサを増やしたことが始まりとされます。
【写真でポイント解説】香り高い「そば」と「つゆ」を自宅で作るコツ
作り方は至って簡単ですが、ニラ+冷たいそばという組み合わせはなかなか思いつかないアイデア。現地を訪れたときに感心したので、再現することにしました。家ではそば粉からそばを打つのは大変なので、スーパーで簡単に入手できる乾麺を使います。
ニラそば 材料 2人分
干しそば 2束
ニラ 1束
そばつゆ
しょうゆ 50ml
みりん 50ml
水 250ml
かつお節 5g
今回はそばつゆから作りますが、もちろん市販のめんつゆを使っていただいても構いません。

そばつゆの配合は「出汁5:しょうゆ1:みりん1」です(写真:筆者撮影)
市販のそばつゆは、瓶やパックで売られている濃縮タイプが一般的です。水で希釈して使用する濃縮タイプは、保存性を高めるために甘めの味付けのものが多い傾向があります。また、開封後は風味が落ちていきます。そのため、開封後の賞味期限は1〜2週間に設定されていますが、使い切るのは意外と大変かもしれません。
一方、缶を開けるだけで使えるストレートタイプのめんつゆは、開封後2〜3日しか保存できませんが、お店のそばつゆに近い味わいが特徴。自作する楽しみはなくなりますが、単純にそばを食べるためならストレートタイプのめんつゆをオススメします。
香り高いそばつゆを自作するポイント
とはいえ、自作も簡単。小鍋に水、かつお節、しょうゆ、みりんを入れ、中火にかけ、沸いたら弱火に落とし、1分煮るだけです。

一緒に昆布2gを入れても味わいに厚みが出ます(写真:筆者撮影)
ザルなどでかつお節をこし取ります。搾り取っても問題ありません。

不織布タイプのキッチンペーパーがあれば、ザルにかませると洗い物が楽になります(写真:筆者撮影)
ボウルの底を氷水に当てて、急冷します。急冷することで香り成分の揮発が抑えられ、格段に香り高い味わいになります。
市販のめんつゆとの違いは香りです。市販のめんつゆは濃縮タイプにせよ、缶詰にせよ、殺菌工程で加熱されている分だけ、フレッシュな香りが失われてしまいます。その点、自分で作れば、香り高い仕上がりになるのです。
鍋にたっぷりの湯を沸かし、乾麺をゆでます。ゆで時間は袋の表示時間を参考にしますが、ゆで上がりの2分前にニラを加えて一緒にゆでましょう。

時々、箸でかき混ぜます(写真:筆者撮影)
干しそばはでんぷん質の溶出が比較的多いので、たっぷりの湯でゆでるのが大事。でんぷんを希釈しながらゆでることで、ゆでムラがなくなり、上手に加熱できます。
ザルなどで水気を切ります。このとき、切った湯はそば湯としていただけるので、流しに捨てないように注意しましょう。
そばの口当たりを格段によくするコツ
流水で洗います。そばはちぎれやすいので優しく扱います。繰り返しになりますが、干しそばはでんぷんの溶出が多いので、よく洗うことで口当たりが格段によくなります。流水で粗熱をとったら、ため水で2回洗い、さらに氷水で締めるのが理想です。

ニラも一緒に冷やすことで食感と色が保たれます(写真:筆者撮影)
ザルに盛り付け、そばつゆを添えます。シャキシャキしたニラの食感と根元の部分の甘みがそばと絡み合います。
そばはおとなしい味の料理なので、ときに物足りないと感じる人もいるかもしれません。そこにパンチのあるニラの風味が加わると、食べごたえが増します。暑い日のランチにぴったりの料理です。
そばの特徴は香りにあります。今回使用した干しそばは、乾燥によって香り成分が揮発し、また生麺と比べると加熱時間もかかるので、お店で食べるそばと比べると香りが弱いと感じられることもあるようです。
では、どうするか。工学院大学先進工学部教授(当時)の山田昌治さんが著書『麺の科学』(講談社ブルーバックス)の中で、干しそばを事前に浸水させることで加熱時間を短縮し、香りを残す手法を紹介しています。
水につけておく時間はどのくらい?
著書で紹介されているのは「水につける」というだけでしたが、実際に試してみると水に浸ける時間が長いと麺の形状が崩壊してしまいました。麺の太さにはよりますが、10分程度がちょうどいいようです。10分経つと、手でつまむとちぎれてしまうほど柔らかくなります。

今回は干しそば160gに対して、300mlの水を注ぎました。そば粉が水に溶けているのがわかります(写真:筆者撮影)
浸水した麺を、沸騰した湯でゆでていきます。ゆで時間は袋に表示されている時間の半分を目安に考えればいいようです。

再沸騰するまで強火で加熱しますが、吹きこぼれやすいので注意(写真:筆者撮影)
初めのうち、麺に火が入るまではかき混ぜるのも控えましょう。火が通ってくれば麺にしなやかさが出るので、箸で混ぜても大丈夫です。浸水した分だけ早く火が通り、ややもちもちした食感に仕上がります。
本で紹介されている実験結果によると、そのままゆでるよりも20%ほど香り成分が多く残るようです。この20%の違いを感じられるか、あるいは誤差の範囲と捉えるか、確かめてみるのも楽しいのではないでしょうか。