ホテルの部屋に持ち込むものは? トラベル上級者の必需品

旅行の荷造りをする際、筆者はちょっとしたゲームをする。名づけて「機内持ち込み用スーツケースを上に乗らずに閉められるか」だ。
空の旅の常連客は、機内の荷物入れに収まるサイズのかばんに必要な物を詰め込もうとしてあれこれ妥協を重ねる。何を入れ、何を置いていくかという選択は、経費精算に引けを取らぬほど面倒な作業だ。
絶対必須とも言い切れない必需品がリストに含まれる場合、この作業は特に困難となる。ホテルの部屋をほんの少し自宅に近づけるためのアイテムだ。大抵の人はそうしたものを持参する。
愛用のコーヒーメーカーやティーメーカーを持って行く旅行者もいる。航空業界の連続起業家で格安航空会社(LCC)ブリーズ・エアウェイズの最高経営責任者(CEO)を務めるデービッド・ニードルマン氏は、お気に入りの枕を持参する。ホテルの清掃係が誤って回収すると困るので、白い枕カバーを使わないのが鉄則だ。
筆者の場合、ブラシ付きの大きくてかさばるヘアドライヤーだ。これがあれば、ホテルに備え付けのヘアドライヤーを探し回ったり、美容室で高額のブローを頼んだりする必要がない。限られたスペースに詰め込む優先順位はランニングシューズよりも上だ。

ルーク・ソーンダース氏はスーツケースの中に必ず衣類スチーマーと口腔洗浄機の場所を確保する
全米の空港やオフィス向けにサラダの自動販売機を展開するファーマーズ・フリッジ(本社・シカゴ)の創業者で最高経営責任者(CEO)のルーク・ソーンダース氏は、衣類スチーマーと充電式の口腔(こうくう)洗浄機(ウオーターフロス)を必ず持参すると話している。
衣類スチーマーを持ち歩くようになったきっかけは5~6年前にさかのぼる。ホテルの部屋に備え付けのアイロンを使い、白いワイシャツをプレスした時のことだ。
「赤茶色のさびがシャツにべっとりつき、困惑した」と彼は言う。
結局、会議では「場違いな感じの」白いTシャツを着る羽目になった。
義母がスチーマーを勧めてくれた。それ以降、たとえ靴を1足(履いていくものだけ)にしてでも荷物に入れる旅の必需品となった。「アイロンよりずっと手軽だ」と彼は言う。
マリオットなどのホテルチェーン大手は、まさにその理由で高級ホテルにスチーマーを備え始めている。
米大リーグ(MLB)ニューヨーク・ヤンキースの新しいラジオ実況アナウンサー、デーブ・シムズ氏もスチーマーを持参する。だが彼が持ち歩くのはそれだけではない。ポータブル・スピーカーやお茶を飲むための保温ポット、米小売り大手ターゲットが50ドル(約7000円)で販売するブレンダーが旅のお供だ。

デーブ・シムズ氏は携帯式ブレンダーを持ち歩き、プロテイン・シェイクを手早く作る
ホテルの部屋や球場では、植物性プロテインパウダーと氷、水を使ってシェイクを作る。フルーツ・スムージーは問題外だ。ホテルの冷蔵庫でベリー類を適温に冷やせるかどうか分からないからだ。
「簡潔さを心がけている」と彼は言う。
マリオットの最高顧客責任者を務めるペギー・ロー氏は、今年すでに仕事で70泊近くホテルに滞在しているが、彼女には荷造りのコツをまとめた長いリストがある。
高価なファンデーションや保湿クリームは液漏れしないコンタクトレンズのケースに入れ、ブローで髪のボリュームを出すためにサイズ違いのマジックカーラー3個を持参するなどだ。洋服選びは靴から始め、それに合わせたコーディネートを考える。順番が逆ではいけない。黒い靴なら、黒い靴に合う洋服だけを詰める。
「その方がはるかに効率的だ」と彼女は言う。
ロー氏はまた、ホテルの照明という昔からある厄介な問題に役立つものを忍ばせている。就寝用のシルクのアイマスクだ。
近く仲間入りする予定なのは、キャンプ愛好者に人気の旅行用コーヒープレスだ。部屋で自分好みのラテを、持ち込んだコーヒー豆と到着後に購入するオーツミルクを使って作るために、コーヒープレスを1台注文したところだ。
ハイアット・ホテルズの世界マーケティング担当シニアバイスプレジデント、ローリー・ブレア氏の必需品は、6歳の娘の厚意によるものだ。
彼女は毎回の旅行で、マスク型美顔器と1日につき2そろいの服(「どのような服を着たくなるか分からない」ので)をスーツケースに慎重に詰め、その間に娘のぬいぐるみ1体をすべり込ませる。
最近ニューヨークに出張した際は、コアラのぬいぐるみを持参した。旅行の最中に何度もぬいぐるみの写真を撮り、シカゴの自宅に送るのだ。
特に旅先との時差がある場合は、娘と連絡を取り合うのに役立つ。「親子のつながりを感じ、働く母親の罪悪感を抱かずにすむ方法だ」とブレア氏は言う。