モフモフしたい…「抱っこ嫌いなネコ」の心を開く「魔法の道具」とは?

Photo:PIXTA

飼い猫が嫌がるため、抱っこを諦めている飼い主さんは意外と多いようだ。しかし、トレーニングを積めば、抱っこを許してくれる可能性があるという。猫との距離を縮めるおもちゃやおやつを使ったトレーニング法を伝授する。※本稿は、根来沙弥『ツンツン猫をデレデレにする方法』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。

「タッチOK」だけど、自分からは

近づいて来ない猫の場合

 問題なくさわれるけれど、自分から積極的にはきてくれないという猫さんです。さわれるということは飼い主さんを十分に受け入れているという証ですので、この状態でもすでにかなり仲よしです!猫さんなりに満足してくれているので「まだ仲よくなれてないなぁ」なんて思わなくて大丈夫です。

 とはいえ、「やっぱり猫さんのほうから近づいてきてほしい」という気持ちもよくわかります!今までよりもう少し複雑なコミュニケーションになりますので、猫さんにより多くのメリットを提供する必要があります。そう、おやつとおもちゃです。

 おやつとおもちゃは、猫さんと仲よくなるために超大切なツールです。

 なついてもらうためにたくさんあげようとするかたもいますが要注意です!

 トレーニングのときは、おやつはあくまでコミュニケーションの道具。猫さんと仲よくなりたいなら、次の方法で双方向のコミュニケーションをとりながら、おやつをあげてみましょう。

【おやつのあげ方】

(1)猫さんの正面に向かい、優しい声で名前を呼ぶ。

(2)目が合ったら即座に「いい子」と声をかけて、おやつを少しあげる(目が合うまではあげないこと)。ここであげるおやつの量は、小さく砕いたカリカリを1粒、ペースト状おやつなら2mmほど。

(3)再び名前を呼び、目が合ったら(2)をおこなう。5~10回ほど繰り返す。

同書より転載 写真/遠藤貴也

 ポイントは「いい子」と褒めてあげること。おやつと「いい子」という褒め言葉が結びつくので、そのうちにおやつがなくても「いい子」と言うだけで、猫さんはいい気分になってくれます。

 そのうちに、名前を呼んだり「いい子だね」と声をかけたりしただけで、猫さんのほうから近寄ってきてくれるようになるはずです。

 少量のおやつを何度もあげるのが大切です。お腹がいっぱいになると、おやつの効果が薄れてしまうので、ちょっとずつで十分!

 反復練習のためには、小分けできるおやつが便利ですね。ペースト状のおやつの場合は、2mm出してひとなめするのを繰り返し、10回で1/3本を目安にしてください。

猫と仲よくなるには

おもちゃも“超重要”

 私のInstagramアカウントでアンケートを取ってみたところ、こんな結果が出ました!

同書より転載

 多くの猫さんがしっかり遊んでくれているようで嬉しい結果となりました!でも、一方で「うちの子、全然遊ばないんです……」というお悩みの相談もよく受けます。

 猫さんと仲よくなるには、実はおもちゃはとても重要です。

 私が普段見ていて、猫さんとコミュニケーションが取れているかたは、遊び上手なかたが多いです。というのも、うまく猫さんと遊ぶには、よく観察して、その子に合わせたおもちゃを選び、工夫して遊ばせる必要があるからです。

 猫さんにとって遊びは、狩りの本能を満たすもの。しっかり遊べば本能が満たされてストレスを発散でき、健康によいのはもちろん、生活の満足度も上がります。

 さらに飼い主さんと遊ぶことで、猫さんは「この人は楽しいことを提供してくれる人」と認識するので、絆も深まるでしょう。

 遊ぶときにも大切なのが「観察」です。猫さんによって好きなおもちゃや遊び方は異なります。こちらもアンケートを取ってみたところ、猫さんの好みはかなり個体差がありました。

 好みに合わないおもちゃを使っても、猫さんは遊ぼうとしません。最初はなるべく異なる種類のおもちゃをいくつか用意して、猫さんの好みを探りましょう。

 また、遊び方にも特性があります。動いているおもちゃにしか反応しない子、動いていないボールを自分で転がしたい子、物陰に隠れているおもちゃに反応する子……など、さまざまです。

 また、激しく走り回りたい子もいれば、横になったまま静かに集中したい子もいます。お家の猫さんがどんなおもちゃ、どんな遊び方に興奮するかを、実験気分で探ってみてください。

同書より転載

おもちゃで遊ぶときは

タイミングが大切

 猫さんと遊ぶうえで大切なのは、タイミング。眠いときに遊びに誘っても、猫さんは遊んでくれません。爪をといで「さぁやるぞ!」というときや、構ってほしそうにウロウロしているときなど、猫さんが活動的な気分のときに誘ってみましょう。

 それから、大切なのが「根気強く待つ」こと。猫さんは急に全開で遊ばないので、飼い主さんが上手に誘って、遊びたい心に火をつけてあげる必要があります。すぐ反応してくれなくても諦あきらめないで。

 一般的に猫さんはしばらく待ち伏せしてから襲いかかることが多いので、おもちゃを物陰からチラチラと見え隠れするように動かすと、テンションが上がってきます。

 目を大きく見開いておもちゃを見つめ、腰を高く上げて振り始めたら「今から行くよ!」の合図。ひとたび猫さんの心に火がつけば、一気に遊んでくれるはずです。

 遊び始めたら、わざと捕まえさせてあげることも大切です。いつまでも捕まえられないと、猫さんは自信を失って、遊ばなくなってしまいます。3~4回に1度はわざと捕まえさせて、満足度を高めましょう。

 遊び終えたら、ごはんやおやつをあげるのもおすすめです。ライオンやトラなどの猫科動物は通常、狩りをして獲物を捕まえたら、それを食べますよね。それと同じで、狩り(遊び)を終了させたところで、ごはんにしてあげるとよいでしょう。

同書より転載 写真/遠藤貴也

スリスリしに来てくれるのに

「抱っこは拒否」な猫の場合は?

 自分から近づいてきて、ご機嫌なときはスリスリもしてくれるくらい仲よしなのに、「抱っこは断固拒否!」という猫さんもたくさんいます。抱っこについてもアンケートを取ってみたところ、頻繁に抱っこできない猫さんはほぼ半数でした。

同書より転載

 まず覚えておいてほしいのが、すべての猫さんが抱っこできるわけではないということ。そもそも、猫さんは体をホールドされたり、ほかのものに体を密着されたりするのが苦手です。だから、このトレーニングをしてもうまくいかなかったからといって「抱っこさせてくれないのは信頼されていないから」と悲しまないでくださいね。

 そして、このトレーニングは3カ月程度続けるのが目安ですが、なかにはもっと時間がかかるケースもあります。わが家のもんちゃんも、抱っこを許してくれるまで7年近くかかりました(笑)。

 そのくらい根気が必要なので、焦らないことが大切。焦れば焦るほど、猫さんに無理強いすることになり、憧れの抱っこは遠のいてしまいます。

猫にふれるときは

名前を呼んで「いい子」と声かけ

 抱っこトレーニングをおこなう場合、タイミングが大切です。猫さんが興奮して遊んでいるときや寝ているときはNGです。くつろいでいるときであれば、成功体験を積みやすいでしょう。

【抱っこ大作戦!】

 各ステップで猫さんにふれるときは、名前を呼んで「いい子」と声をかけてください。うまくできたらおやつをあげるのも効果的です。1日3回くらい、トレーニングをおこないましょう。

(1)座っている猫さんのそばにいき、しばらく腕を密着させます。もし腕を嫌がるようであれば、指1本、3本、手のひら……と段階を踏んでから、腕に進みましょう。

(2)猫さんの脇の下から片手を入れ、手のひらで胸を支えながら5mm~1cm程度持ち上げます。ろっ骨に圧がかかることに猫さんが慣れてくれるまで続けましょう。

(3)(2)の状態で猫さんの上半身をもう少し高く持ち上げ、もう片手でお尻の下を平らに支えます。人間の体(胸からお腹)に引き寄せ、優しく密着させます。

(4)(3)から、猫さんがなるべく揺れないように、ゆっくりと抱き上げます。傾かないように支えておきましょう。猫さんを強く抱きしめず、上半身をふわっと抱えてください。

『ツンツン猫をデレデレにする方法』 (根来沙弥 KADOKAWA)

 このやり方のポイントは、(1)~(4)までのステップを一気に進めないこと。

 たとえば、(3)で猫さんから「いやいやサイン」が出たら、その日は終了。翌日はまた(1)(2)をしてから(3)をおこない、猫さんが(3)に慣れてから(4)に進んでください。抱っこが苦手な猫さんの場合、次のステップに進むまで1~2週間かかると思っておいたほうがよいでしょう。

 また、プロセスを細かく刻むことが大切です。失敗するかたのお話を聞くと、大抵が焦りすぎです。

 たとえば、(3)や(4)で持ち上げたときに嫌がるなら、持ち上げる高さをもう少し低くするなど、変化値が少なくなるように工夫してあげましょう。

イラスト/伊藤ハムスター