「天下一品」の冷凍食品、カップ麺はうまいのか 6月末大量閉店を惜しむ記者が実食 「万博で展示すべき」と思った“再現度”とは

6月末、首都圏のラーメンチェーン店「天下一品」が10店舗も閉店するという。「『天下一品』6月末大量閉店へ ドロドロこってりラーメン『これからどこで食べれば…』 惜しむ声続出も“心配する必要はない”理由」という記事を6月18日に配信したところ、予想外の反響があった。

 みんな、天下一品が本当に好きなんだな……。そう思いながらニュースサイトのコメント欄をチェックしていたところ、予想もしない意見が高評価を集めていた。

〈先日、天下一品の「こってりラーメン」が冷凍食品として販売されていたので、試しに購入してみました。お店で食べるのとほとんど変わらない味で、再現度が非常に高くて驚きました。この味が家で手軽に楽しめるのは本当にありがたいです。もっと多くのスーパーなどで気軽に買えるようになると嬉しいです〉

〈ローソンで売っている冷凍食品が気になっていましたが、決して安くはないので購入を迷っていました。遜色ないとの感想を見て、一度食べてみたいと思います〉

 えっ……みんな、冷凍食品で満足できるの? 確かに、最近の冷凍食品の進化は目覚ましい。何も知らずに出されたら、冷凍食品とは気づかないレベルかもしれない。

■鍋の出汁やレトルトカレー、生ラーメンも

 しかし、天下一品は……。あの鶏がらベースのドロドロとしたこってりスープは、実店舗でこそ味わえるものではないのか? いくら冷凍食品のクオリティが高くても、それだけで閉店の寂しさを紛らわせることはできるのだろうか?

 ということで、コンビニとスーパーで「天下一品」に関する商品を買い集めてみた。「天下一品監修 こってりラーメン」「キンレイ お水がいらない 天下一品」「サンヨー食品  サッポロ一番 名店の味 天下一品 京都濃厚鶏白湯」「サンヨー食品 サッポロ一番 名店の味 天下一品 京都濃厚鶏白湯 袋麺」の4種類だ。

 そのほかにも、鍋の出汁やレトルトカレー、生ラーメンもあるらしい。気づかないだけで、私たちの日常には天下一品が溢れていたのだ。

 さっそく、もっとも調理が簡単そうな「天下一品監修 こってりラーメン」から試してみた。これはローソン限定の商品で、レンジで5分温めるだけで、自宅でこってりスープを手軽に楽しめるというものだ。

 ローソンは昨年、「天下一品こってりフェア」を展開し、「こってり天津チャーハン」や「からあげクンこってり味」を発売していた。そんな夢のようなフェアが終わったあとでも販売されているのが、この冷凍食品である。5分後、電子レンジの扉を開けると、立派なラーメンが完成していた。子どもの頃に見たアメリカのアニメでは、レンジからステーキが出てくる描写があったが、それの日本版は天下一品というわけだ。

 箸で麺を持ち上げると、スープがしっかり絡みつく。食べてみると、確かに天下一品のこってりスープの味がする。クオリティは申し分ない。

■水を入れず温めるだけ

 しかも、袋から取り出して容器ごと電子レンジに入れ、食べ終わったらそのまま捨てられるという手軽さ。洗い物が不要なのはうれしい。あのこってりスープは、なかなか器の汚れが落ちないだろう。

 ただ、量はやや少ない印象。筆者が身長172センチ、体重93キロの健啖家という点も大きいが、5回ほど麺をすすったら終わってしまった。物足りなさを感じたので、続けて「キンレイ お水がいらない 天下一品」の袋を開ける。こちらは水を入れず、鍋で温めるだけでラーメンが完成するという。すごい。万博で展示すべきだ。

 スープと麺が固まった状態のものを鍋に入れ、弱火で7分ほど加熱。徐々に解凍され、ラーメンらしくなってくる。仕上げに強火で30秒ほど煮込むと、鍋の中にまぎれもない天下一品のラーメンが現れた。

 器に移さず、鍋のまま直接いただく。こってり感がより際立っている。確かに、冷凍食品としてのクオリティはかなり高い。麺もコシがちゃんとある。

 ただ、ドロドロ感を求めすぎて煮込みすぎたせいか、スープがだいぶ減ってしまった。もっと早めに火を止めればよかった。とはいえ、美味しく、あっという間に5口ほどで食べ終えてしまった。

 自宅で楽しめる天下一品は、冷凍食品のほかにもある。「名店の味 天下一品 京都濃厚鶏白湯」は、「サッポロ一番」という人気ブランドから販売されており、カップ麺と袋麺がある。さきほど使った鍋を洗うのが面倒なので、先にカップ麺から食べてみることにした。天下一品の味を再現した濃厚な鶏白湯ラーメンだ。

■徐々にとろみが増して…

 さすがにカップ麺で、あのドロドロスープの再現は無理だろう……。そう思いながらお湯を入れて4分間待ち、ラベルを剥がして「あと入れ液体スープ」と「あと入れ粉末スープ」を加え、箸でぐるぐる混ぜる。

 すると徐々にとろみが増し、ついにはこってりスープが完成した。なんなんだ、この液体スープと粉末スープは?

 実際にスープをすすってみても、確かに天下一品の味がする。しかも、「カップ麺の麺なんてたかが知れている」と思っていたのに、麺の食感まで店で食べるものに近い。日本の技術が、軍事ではなく天下一品の再現に使われていて本当に良かった。

 お次は、「サンヨー食品 サッポロ一番 名店の味 天下一品 京都濃厚鶏白湯 袋麺」。さっそく麺を茹でる。これまでの製品にはチャーシューとメンマが入っていたが、袋麺のため具はなし。チャーシューはともかく、メンマの食感がないのは少し寂しいが、250円台で天下一品の味を楽しめるのなら文句は言えまい。3分間麺を茹でた後、火を止めてスープを加えると、みるみるうちにこってりスープが姿を現す。

 急いで器に移し、具なしの天下一品を食べてみる。あれ……? これまで食べた3種類よりもスープがドロドロしていて、舌触りまでしっかり再現されている気がする。袋麺でこのクオリティは素晴らしい。

 なるほど。確かに冷凍食品、カップ麺、袋麺、いずれも再現度は高く、味も申し分ない。しかし、なぜだろう。忠実に再現されているのに、何かが物足りない……。

 やはり、筆者は実店舗で食べたい。スープのザラつき加減と濃い味、そして深夜の罪悪感は店舗でしか味わえない気がする。通い慣れた近所の店は閉店するが、少し足を伸ばせば、まだ営業している店舗もあるのだから。

 もちろん、近所に天下一品がない人や、海外に住む人にとっては、冷凍食品やカップ麺、袋麺はありがたい存在だ。工夫次第で、さらに店舗の味に近づけることもできるだろう。半信半疑の天下一品の愛好家がいたら、ぜひ一度試してみてほしい。

(AERA編集部・古寺雄大)