香港から逆輸入「コメダの謎ドリンク店」の"実態"

海外にしかなかったコメダのスイーツドリンク店「ジェリコ堂」が待望の日本上陸(筆者撮影)
香港でしか飲めなかったコメダの謎ドリンク
ここ最近、業績絶好調のコメダホールディングス。コーヒー豆をはじめとする物価高騰など逆境もものともせず、直近2025年2月期決算では過去最高の営業利益を記録。実際に筆者もよく近場のコメダ珈琲店に足を運ぶがいつも大盛況、満席で入れないこともしばしばだ。
【画像14枚】「ジェリコ 元祖」。アイスコーヒーにコーヒーゼリー、ほんのり甘いホイップが混ざり合う
最近ではコメダ珈琲店に加え、別業態の「おかげ庵」も、1999年のオープンから四半世紀の時を経て、時流にマッチ。じわじわと店舗数を伸ばしている。

ここに来て、「おかげ庵」を拡大させているコメダHD。時流にマッチし、人気急上昇中だ(筆者撮影)
そんなコメダは、「ジェリコ」というオリジナルドリンクの専門店「ジェリコ堂」の日本1号店を名古屋にオープンした。
ここで「日本1号店」と言ったのは、実はすでに香港にジェリコ専門店があるからだ。日本企業のコメダが「ジェリコ堂」の1号店を出したのはなぜか海外。今まではジェリコ堂を楽しむには香港まで行かねばならず、日本では謎に包まれていた。

香港の地下鉄MTR青衣(チンイー)駅にある「ジェリコ堂」(プレスリリースより)
都内在住の筆者、香港まで行くのは大変だが名古屋ならなんとか行ける。
早速、4月にオープンした「ジェリコ堂 栄オアシス21店」を訪れた。
組み合わせは1000通り以上、自分好みのジェリコが楽しめる
名古屋といえばコメダ珈琲店の創業の地で、本社があるお膝元。「ジェリコ堂」があるのは名古屋市中心部の立体型公園施設「オアシス21」内だ。
同施設は構造が複雑で店舗にたどり着くまでに少し迷ってしまった。

「ジェリコ堂 栄オアシス21店」。コメダのテーマカラー、オレンジが目立つ外観(筆者撮影)
実はジェリコ自体は、コメダ珈琲店にもある。「ジェリコ 元祖」という商品がレギュラーメニューとして用意されている。アイスコーヒーにクラッシュしたコーヒーゼリーを合わせて、上からホイップクリームを絞ったものだ。

「ジェリコ 元祖」。アイスコーヒーにコーヒーゼリー、ほんのり甘いホイップが混ざり合う(筆者撮影)
しかし、ジェリコ堂のジェリコはひと味違う。さまざまな味やトッピングを組み合わせて自分好みにカスタマイズできるという。コンセプトは「ジェリコをたのしむスタンド喫茶」とのことだ。

メニューはこんな感じ(筆者撮影)
注文の仕方は少し複雑。まずは全15種の中からベースを選び、その後、ホイップの種類、追加トッピング、甘さをそれぞれ選択する必要がある。
ベースはコーヒー、ティー、ストロベリー、マンゴー、ブルーベリーの各ゼリーのバリエーションがある。ホイップはミルク、チョコ、抹茶の3種、追加トッピングは玄米あられや小倉あんなど4種。甘さは少なめ、ふつう、多めの3択だ。大きさはRとL。
これらを組み合わせると1000以上のパターンが想定できる。何をどう組み合わせるか、センスが試される。
迷ったらオススメの組み合わせで注文
悩んだ末、筆者が注文したのはこちら。

注文したジェリコ(筆者撮影)
どう組み合わせるのがベストなのか頭をひねっていると、助け舟のように「おすすめジェリコ」なる表を発見。いくつかのおすすめの組み合わせが示されていた。
注文時、店員さんと「ホイップはこれで……トッピングはこれで……」といったやり取りはせず「これください」の一言で完結した。
ベースは「ストロベリージェリー&いちごミルク」に、ホイップは抹茶をチョイス。さらに「わらびもち」「小倉あん」をトッピングし、甘さは「ふつう」とした。サイズはR、お会計は840円だった。

フラペチーノを彷彿とさせるビジュアル(筆者撮影)
プラカップの形状や上に絞られたホイップがどことなくスタバのフラペチーノを思い出す背格好だ。
味は、結構甘い。甘さをふつうにして小倉あんもトッピングされていることもある。これはドリンクというよりスイーツ感覚な1杯だ。液体の中にはゼリーやイチゴの果肉、わらびもち、小倉あんが入っているため一口ごとに食感の変化がある。

ゼリーや小倉あん、わらびもちがぎっしり(筆者撮影)
ちなみに容器の中には意外と氷もごろごろ入っており、見た目ほどの容量はない。が、ドリンクというよりスイーツを食べたような満足感があった。
店内はコメダ珈琲店ほどの「くつろぎ」はない
店内は座ってジェリコを楽しめるスペースが用意されているが、腰掛け程度だ。「スタンド喫茶」というだけあり、長居するよりは飲み終わったらほどほどに帰る雰囲気はある。
もしくは施設内の至る場所にベンチがあるのでそこに座ってもいいし、施設内を飲み歩きするのもよさそうだ。
従来のコメダ珈琲店やおかげ庵は「心にもっとくつろぎを」を標榜し、居心地のよい空間が魅力だが、ここはコメダ珈琲店ほどくつろげる感じではない。

店内の座れるスペース。買い物や散歩の休憩として腰掛けるには十分(筆者撮影)

「おかげ庵」の店内はこんな感じ。コメダと同様に、落ち着いて過ごせる内装になっている(筆者撮影)
さらに、店内の一角はコメダ珈琲店のオリジナルグッズの販売棚が並ぶ。
レジ横に申し訳程度……という感じではなく、相応のスペースが割かれ、Tシャツや文房具、マグカップやポーチといったグッズが並ぶ。コメダ珈琲店のアンテナショップのようで、ファンには嬉しい限り。

ファン垂涎のコメダグッズがずらり(筆者撮影)
ジェリコでテイクアウト需要を開拓?
ジェリコはテイクアウト、もしくはサクッと飲んで帰ることを主眼に置いた商品のようだ。
先述の通り名古屋のジェリコ堂はあくまで簡易な腰掛けが中心だし、香港の店舗に至っては駅ナカのテイクアウト専門店だ。4月24日には日本2号店の「御在所サービスエリア(下り線)店」がオープンしたが、同店は高速道路のサービスエリア内にある。車に持ち込んで飲む人も多そうだ。
「“くつろぎ”で、人と地域と社会をつなぐ」をバリューとして掲げるコメダ。その言葉通り、コメダ珈琲店やおかげ庵は居心地のよさが自慢だ。ゆったりとくつろげるイス、おもてなし、空間でお客の滞在時間は長く、1時間以上いるケースも珍しくない。
それと比較すると、ジェリコ堂は飲んだらすぐ出るorテイクアウトが中心と対照的だ。

布製のおしぼりやお冷やの提供など、サービスの充実もコメダ珈琲店の「くつろぎ」の要素(筆者撮影)

「おかげ庵」のイス。背もたれがあってゆったり座ることができる(筆者撮影)
実際に筆者の体感として、ここ最近のコメダ珈琲店のにぎわいぶりは目を見張るものがある。
筆者は6月半ばの土曜、昼過ぎに世田谷区内のある店舗に行ったところ、入り口前にはウェイティングの人がわんさか。順番待ちを受付するタブレットには「19組待ち」と表示されあえなく断念した。
平日もしばしばウェイティングが発生しており、すんなり入れるほうが珍しい印象だ。なかなか「くつろぎ」を享受できない。
このように店内の満席が続くなら、次は席の縛りなく売り上げがつくれるテイクアウトで、違った形の「くつろぎ」を提供しようとするのは自然な流れだ。
付加価値をつけ、高単価を狙える業態だ
ジェリコのような「スイーツドリンク」は高単価が取れる商品であることもコメダの狙いではないか。
これは偉大な先人であるスターバックスコーヒーの「フラペチーノ」の功績が大きいだろう。フラペチーノはベースの液体と氷をブレンダーにかけてフラッペ状にし、クリームなどをトッピングしたものだが、原材料に氷が占める割合がそれなりに大きい。
氷は言ってしまえば水だ。比較的原価が安く、高利益をあげられる……というのは有名な話。
フラペチーノは1杯500円台から季節限定商品は800円近く、ドリンク1杯の値段としては安くはない。
しかし、スイーツのような満足感やたびたび出る限定フレーバーなど、付加価値が大きく高価格帯でも売れる。人々はフラペチーノの印象に引っ張られ、スイーツドリンクに多少高い値段が付いていても違和感がない。
ジェリコは1杯580~830円(追加トッピングなしの場合)。ホイップやトッピングで見た目は華やかになるが、そこまで原価が高そうな素材は使われておらず、利益率の高い商品なのかもしれない。
そうした高利益商品を席の制約のないテイクアウトで販売できれば業績にも大きく寄与するだろう。
カスタマイズできる楽しさ、飲み物だけどスイーツ感覚、疲れたときにほっとする甘さ、など、また違ったかたちで「くつろぎ」を提供するジェリコ堂。今後もテイクアウト向けの立地に増えていくのではないだろうか。新たな需要を開拓できるか見守りたい。
その他の画像

名古屋中心部にある「おかげ庵 栄広小路店」(筆者撮影)

「おかげ庵 蒲田東口店」。このように「コメダ珈琲店」と隣接して出店しているパターンも多い(筆者撮影)

ふと頭上を見上げると、三色だんごを模したランプが。「おかげ庵」ならではのあしらいが随所にある(筆者撮影)

タブレット注文の店舗もあるが、冊子のメニュー表にはコーヒーよりもお茶が先のページにある(筆者撮影)

筆者も自分で焼くだんごに挑戦。「初めての方でも簡単に焼けます」とあったが少し焦げてしまった(筆者撮影)

おでんのメニュー。焼き餅入りとのことで意外とボリュームはありそう(筆者撮影)

「おむすび米屋の太郎」も話題に。「おかげ庵」で提供していたおにぎりモーニングが、スピンオフして生まれた。注文を受けてからにぎる「結びたて」のおにぎりが売りだ(筆者撮影)