中古価格780万円、ワーゲンバス最終型に迫る

2013年まで製造されていたタイプ2, 1200台限定、希少な最終モデル, 現在の販売価格は780万円, 電動化されたワーゲンバス日本導入へ

レトロで愛らしいスタイルが印象的だが、じつは2014年モデルと比較的製造は最近という温故知新なワーゲンバス(筆者撮影)

1970年代に欧米はもちろん、日本でも大ヒットした「ワーゲンバス」、通称「タイプ2」が、じつはつい12年ほど前までブラジルで生産されていたことをご存じだろうか。

【写真を見る】超貴重なフォルクスワーゲン「トランスポーター」、通称「タイプ2」ワーゲンバスの最終型(25枚)

【写真】超貴重なフォルクスワーゲン「トランスポーター」、通称「タイプ2」ワーゲンバスの最終型(25枚)

2013年まで製造されていたタイプ2

ドイツのフォルクスワーゲンが約70年前に販売を開始したワンボックス型の商用バンで、正式名称「トランスポーター(Transporter)」。その2代目となるタイプ2は、丸みのある可愛らしいデザインや、小粋で使い勝手のいいボディなどが特徴。レトロなアメリカのカルチャーやクルマなどの愛好家を中心に、現在も多くのファンを持つ名車だ。

そんなタイプ2だが、本国ドイツでは1979年に生産を終了した。だが、フォルクスワーゲンのブラジル現地法人では、その後も南米向け仕様車を継続生産。2013年の生産終了まで、「コンビ(Kombi)」の愛称で販売していたという。そして、そんなタイプ2の最終仕様が「T2コンビ・ラストエディション」。当時、1200台のみ作られたという激レアなモデルだ。

ヒストリックカーの展示会「オートモビル カウンシル 2025」(2025年4月11~13日・幕張メッセ)には、そんな「最後のタイプ2」を三重県のクラシックカー専門店「ヴィビンテージ宮田自動車」が出展。税込み780万円もの高価格が付いていたにもかかわらず、イベント初日にすぐさま商談が入ったという、マニア垂涎の注目モデルを取材してみた。

2013年まで製造されていたタイプ2, 1200台限定、希少な最終モデル, 現在の販売価格は780万円, 電動化されたワーゲンバス日本導入へ

オートモビル カウンシル 2025に展示されていた「T2コンビ・ラストエディション」のリアビュー(筆者撮影)

トランスポーターは、初代が1950年に生まれたフォルクスワーゲンの商用バンだ。なかでも、前述した1967年登場の2代目は、キャンプやサーフィンといったアウトドア・レジャーなどにも使われたことで、当時の若者たちから大きな支持を受け、世界的に大ヒットを記録。自動車の巨大マーケットである北米では、タイプ2の愛称で親しまれた名車だ。また、北米人気が伝播した日本でも、当時多くの輸入車が上陸し、ワーゲンバスの呼び名で知られる人気モデルの1台となっていた。

そんなトランスポーターのブラジル生産車がコンビ。初代モデルから主に南米諸国向けに現地生産されたモデルで、1975年に2代目へ移行。これも先に述べたとおり、本国ドイツでは1979年に生産終了したものの、ブラジル版は2013年まで約38年間も作り続けられた。

1200台限定、希少な最終モデル

2013年まで製造されていたタイプ2, 1200台限定、希少な最終モデル, 現在の販売価格は780万円, 電動化されたワーゲンバス日本導入へ

室内には、最終モデルである「Last Edition」という文字と、「0147/1200」と1200台中の147台目という証、さらに「2014」という年式が記される(筆者撮影)

その最終仕様となるT2コンビ・ラストエディションでは、エンジンを従来の空冷から1.4Lの水冷4気筒に変更。これは、世界の排気ガス規制の影響を受け、ブラジルでも規制値がきびしくなったことに対応したためだ。また、使用燃料もブラジルの国策に対応。エタノール100%やガソリンとエタノールの混合、ガソリン100%といったさまざまな燃料での走行を可能とすることで、高い環境性能を実現していた。

ところが2014年からは、ブラジルでも新車にABSやエアバッグなどの安全装備を義務化。それに対応するのがきびしいということで、2013年に生産終了。その最終モデルは1200台のみの生産と、かなりのレアモデルとなったのだ。

2013年まで製造されていたタイプ2, 1200台限定、希少な最終モデル, 現在の販売価格は780万円, 電動化されたワーゲンバス日本導入へ

T2コンビ・ラストエディションの運転席まわり(筆者撮影)

なお、今回展示された車両は、全1200台中で147番目に生産されたものだ。ダッシュボードにあるシリアル番号プレートがそれを示している。また、外装は、ホワイトとライトブルーの2トーン仕様。ボディ後部サイドには、ブラジルで初代が生産されてから56年間を意味する「56 KOMBI LAST EDITION」のステッカーも装備し、特別感を演出する。ちなみにフロントグリルなどは、本家ドイツ生産の空冷タイプ2とやや違う点もあるが、基本的な車体構成はほぼ同じ。まさに、1970年代から現代にタイプスリップしたようなレトロ感満点の雰囲気が漂う。

一方、内装は、外装色とマッチングさせたホワイトとライトブルーの色調を採用。前席、2列目、3列目のすべてのシートが3人がけタイプで、乗車定員は9名。エアコンやパワーステアリングも国内に輸入したインポーターが装着したようで、快適な空調はもちろん、細い路地での切り返しなども楽。全体的にレトロな外観ながら、各部の装備が充実していることで、きわめて普通のクルマとして運転できる仕様となっているという。

現在の販売価格は780万円

2013年まで製造されていたタイプ2, 1200台限定、希少な最終モデル, 現在の販売価格は780万円, 電動化されたワーゲンバス日本導入へ

2列目シート(筆者撮影)

なお、走行距離はわずか1360km。生産は2013年で終了だったが、登録年は2014年で、価格(税込み)はこれも先に述べたとおり780万円に設定されている。

展示したヴィンテージ宮田自動車の担当者によれば、「外装はもちろん、内装も販売されたときのまま。とくにレストアをしなくても状態は良好で、1200台限定生産という世界的にレアなモデルであることもあり、比較的高価になっている」という。しかも、この車両、イベントが開始された直後に某愛好家の目にとまり、即座に商談となったという。たしかに日本でも一定の人気を誇るワーゲンバスの最終仕様車だけに、好きな人にはたまらないほどの価値があるのだろう。

2013年まで製造されていたタイプ2, 1200台限定、希少な最終モデル, 現在の販売価格は780万円, 電動化されたワーゲンバス日本導入へ

エンジンは、空冷式ではなく、水冷式となっている(筆者撮影)

かつて1979年までドイツで生産された本国仕様のタイプ2は、現在中古車でも手に入りづらいようだ。また、もしあっても劣化などの関係で、各部のレストアなども大変なことがうかがえる。一方、T2コンビ・ラストエディションは、わずか12年ほど前に生産されたモデルであるし、水冷エンジンなどの搭載で性能も向上。まさに最近のクルマとあまり変わらない感覚で乗ることができるのも魅力だ。

電動化されたワーゲンバス日本導入へ

ちなみにフォルクスワーゲンでは、2017年にタイプ2のフォルムやスタイルをイメージしたBEVバス「ID.Buzz」を発表。つい先日、日本導入が発表された。このモデルは、100%電気とモーターで走るだけでなく、完全自動運転モードも備えた世界初の多目的EVバンだ。そして、興味深いのが、フォルクスワーゲンでは、このモデルに「未来のワーゲンバス」といったキャッチフレーズを使っていること。それだけワーゲンバスやタイプ2といったワードが、今でも多くのユーザーに「刺さる」ものであろうことがうかがえる。

ともあれ、登場から60年近くたった今でも、フォルクスワーゲン次世代戦略車のマーケティングに貢献できるタイプ2というクルマは、まさに歴史的な名車の1台に数えられることだけは間違いない。