渡辺満里奈が感じた“居心地の悪さ”の正体とは 「世の中は女性に家事の負担を強いている」

 今や共働きは当たり前。家事負担もシェアが当たり前……と思いたいが、まだまだ社会は女性に家事の負担を強いている。我が家からまず変えないと──。渡辺満里奈さんは、自身もそう感じた経験から、どうすれば楽に家事ができるかと考える日々があったそうです。(全2回の1回目/後編に続く)

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――家事シェアについて悩む家庭は多く、AERAが実施したアンケートにもさまざまな声が寄せられました。今年、結婚生活20周年を迎えられましたが、夫の名倉潤さんとの間の家事シェアについて教えてください。

 夫との家事負担の割合について、実は不満を覚えたことが特にないんです。疑問に感じたことがなかったと言ったほうが近いでしょうか。もちろん比率としては私の方が大きくて、大変だなあと思うこともありますけど、「うまく回っているからそれでよし!」と思うようにしていましたね。

――具体的にはどのように家事を分担されているのでしょうか。

 結婚当初から同じ習慣が続いていますね。主にお風呂掃除とベッドメーキング、ごみ捨ては夫が担当して、毎日の料理や洗濯、その他もろもろは私。朝起きたら私が朝食を作って、夫が紅茶を入れます。食べ終わったらごちゃごちゃになったキッチンを片付けて、時間があるときは運動してから洗濯して、洗濯物を畳んで、部屋のお掃除。その間に夫にベッドをきれいにしてもらったり、犬の散歩や鳥かごの掃除をしてもらったり。基本的には変わらず、そんな感じで20年が経ちました。

■頭の片隅には常に「夜ご飯の献立」

――アンケートでは、家事の中でも料理の負担が大きく、日々の献立を考えることがつらいという声が目立ちました。

 毎日の献立を考えるのは本当に大変で、結婚当初は特に「もっとちゃんとやらなきゃ」「これだと少ないかも。もう一品ないと見栄えがよくないかな」と自身を追い込みがちでした。もちろん情熱もあって、楽しさもありましたよ。

 けれど、女性が家事をするという時代に育ったことが大きいのか、「女性が作るのが当たり前」という前提に疑問を抱くこともなく、むしろ「当たり前」という言葉すら思いつきもせずにやっていて。

 今でも朝ご飯を食べながら「今日の夜ご飯は何にしようか」って考えていますね。常に頭の片隅に夜ご飯があって、時々「なんで私、いつもこんなこと考えているのかなあ」と思うこともあります。

――名倉さんは料理についてはどう接していらっしゃいますか。

 夫が料理をできないことは始めからわかっていたので、料理は私の担当と割り切っていますね。あ、でも夫はたこ焼きをつくるのはすごく上手です(笑)。

 夫は料理の大変さを理解してくれているので「何食べる?」と問いかけると「なんでもいいよ」とは絶対に言わないですし、何かしらの提案をしてくれます。

――料理を一緒にするというアイデアはありましたか。

 今、仮に分担を変えて、週に何回か料理を作ってもらうようにしてとなったら、むしろその変化が私にとって負担になると思うんです。できているかなとか、心配で目が離せないとか。

 夫は「もっと年を取ったら料理を練習してみようかな」なんて言っているので、気長に待っているところです(笑)。

■「当たり前」に疑問

――長年のスタイルをがらりと変えるのは難しいと聞きますが、年月とともに変化はありましたか。

 時間が経ってから、「やっぱりこれをやって」「あれをやって」と分担決めしてみたいなことって、なかなか難しいと思うんです。家事シェアについて我が家に変化があったとしたら、それは家族のスタイルというより私自身の考え方ですね。

「当たり前」に疑問を覚えて、「少しくらい手を抜いても、手伝ってもらってもいい」と考えるようになってから、気持ちがすごく楽になりました。

――何かきっかけがあったのでしょうか。

 きっかけはコロナ禍です。誰もが身動きが取れなくなって、家族みんなが家にいて。そのときに「ん? ちょっと待てよ」と思ったんです。子どもが一日中家にいる夏休みだけでも大変なのに、一日3食を全員分、毎日私が? こなすの? 無理!みたいな。

 夫に料理を少し担ってもらおうともしましたが、大変な面もあって。ハンバーグを作ろうとなって、食材とか準備して、いざとなったら「そうそう!」「すごい!」とかって盛り上げないといけないと思っちゃって(笑)。これはこれで疲れるので、料理は私が作りましたが、洗い物はそれぞれ自分でやってもらうように言うなど、なんとか手を抜いてというふうになりました。

――ある意味、強制的にそういった状況に追い込まれたことで疑問や不満、イライラが表面化したんですね。

 きっとコロナ禍はあくまできっかけで、それ以前から心の底では疑問に感じてたんだと思います。この居心地の悪さは何だろうと思って考えてみたら、世の中がまだまだ女性に家事の負担を強いているんだと、社会の構造みたいなものを見せられた感じがして、ならば我が家からまず変えていかないと、と思ったんです。そのためには私が「当たり前」にやっていることを「当たり前ではない」と思うようにすること。この考え方はすごく大事だと実感しています。

(AERA編集部・秦 正理)