【60代を見据えた引っ越し】「住まいも持ち物もコンパクトに」負担を減らした暮らしとは?【広瀬裕子さん】

【60代を見据えた引っ越し】「住まいも持ち物もコンパクトに」負担を減らした暮らしとは?【広瀬裕子さん】

人生の後半戦、“自分サイズ"を見直して、シンプルかつコンパクトに暮らし替えをされた方を紹介する「小さい暮らし」の見本帖。前回に続き登場いただくのは、エッセイストで設計事務所共同代表の広瀬裕子さん。未知の東京に魅せられ旅行者のように日々を楽しんでいます。後篇は、東京での住まいについて。

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暮らしをコンパクトにして負担を減らす

東京での住まいは購入することも視野に入れていたが、「驚くほど不動産価格が高騰していて」賃貸に予定変更。愛猫のため「ペット可」を最優先に、「隅田川の近く」「窓からの景色が開放的」「内装がシンプル」といった条件で探して現在の部屋を見つけた。

もともとシンプル志向で、ものが少ないほうが落ち着くという広瀬さん。それでも120平方メートルの一軒家からの引っ越しで、ものを減らす必要があった。むげに捨ててしまうのは嫌と、家具、洋服、食器などは欲しいと言ってくれた知人に譲ったり、懇意にしていたカフェに預けて店内でのフリーマーケットに出してもらったり。

「私はひとり暮らしですし、これからいろいろと〝広がっていく〟可能性は少ないと思ったので、住まいも持ち物もコンパクトにして負担を減らそうと思いました。負担というのは、手間に感じることや、つい見て見ぬ振りをしてしまうこと。たとえば洋服の枚数を減らせば、衣替えの必要がなくなります」

東京での暮らしは1年半ほどになるが、まだどこか旅行者のような感覚があり、「友人と食事をしたりする、たわいもない時間が本当に楽しい」とほほ笑む広瀬さん。活気ある街の空気や、日々の暮らしの中で感じられる江戸文化に、気持ちはいまだ冷めやらない。

「お祭りに行くと、お神輿(みこし)を担いでいる年配の方がすごく生き生きとしていてカッコいいんです。私もこれからここ東京で、そんなふうに生きていけたらと思っています」

「はじめたこと」は何ですか?

父を亡くした夏に見かけた盆踊り。帰京後、練習会に参加するように

昔ながらの文化を守る土地柄に惹かれて、東京での住まいを選んだ広瀬さん。自身で浴衣を着付け、地域の盆踊りの練習会に参加している。万寿菊柄の浴衣は日本橋の竺仙(ちくせん)で仕立てたもの。

若い頃に観た歌舞伎と落語を今、改めて趣味に

「歌舞伎や落語の面白さに開眼。新しい趣味になりました」。

写真は名門・松嶋屋の紋の手ぬぐいで、広瀬さんの〝推し〞は片岡仁左衛門さん。落語はよく古今亭文菊さんの高座を聴きに行っている。

スルーしてきたお金のこと。資産形成の必要性を感じるように

つみたてNISAを始めるなど、少しずつ60 歳以降を見据えた資産形成をスタート。

「東京で物価高を目の当たりにして、計画的に何か始めないと、と感じたんです。メインバンクの銀座支店の雰囲気が素敵で、相談に行くモチベーションに」

「迎えたもの」は何ですか?

新調したテーブルは小ぶりですっきりしたフォルム

これまでよりコンパクトになった住まいに合わせて、アルネ・ヤコブセンらが手がけた「スーパー円テーブル」を新調。

「ヤコブセンがデザインした椅子を長く使ってきたので、テーブルも彼が携わったものに」

抵抗があった電子レンジ。毎日の負担を減らせるならと購入

おいしさの点で電子レンジに抵抗があったという広瀬さん。

「蒸し器だと冷凍ご飯のあたために20分必要で、もう買ってしまおうと思って(笑)。使ってみると便利で、おいしくできて驚きました」

Profile

広瀬裕子さん

エッセイスト、設計事務所共同代表●1965年、東京都生まれ。衣食住をテーマに執筆を続ける一方で、設計事務所の空間デザインディレクターとしての顔ももつ。『55歳、大人のまんなか』(PHP 研究所)など著書多数。東京、葉山、鎌倉、香川での暮らしを経て、再び東京で愛猫あめと暮らす。

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撮影/土屋哲朗 取材・文/志賀朝子

※この記事は「ゆうゆう」2024年10月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。