「チンチラ中心の生活」男性に"3年半"で起きた変化

飼い主の一真さんとチンチラのペペロンチーノくん(写真:一真さん提供)
初期費用は10万円以内に収まる
現在3歳のチンチラ「ペペロンチーノくん」と大阪府で暮らす一真さん(34)。チンチラが飼える部屋探しに2年の歳月をかけ、”お迎え資金”としてウーバーなどで働き100万円貯金するなど、その熱意は最初から並大抵ではなかった。
【写真】モフモフで可愛すぎるペット・チンチラとの暮らしはこんな感じ
後編となる今回は、一真さんとペペロンチーノくんの日常をご紹介する。
最初に、チンチラの飼育に必要なものを聞いた。
まずはケージ。チンチラは基本的にこのケージ内で飼育し、中にはエサ台と給水器を設置する。活発に動くのでケージは縦長のものを用意し、内部にかじり木や回し車も置いておこう。

ペペロンチーノくんの豪華なケージ(写真:一真さん提供)
また、チンチラは毛並みを保つために定期的に風呂に入る必要がある。ただし、チンチラは水濡れ厳禁。一度水にぬらすとその密な毛並みを乾かすのが難しく、体温調節ができなくなったり、カビが生えたりする危険があるからだ。代わりにチンチラ専用の砂で砂浴びをする。
ペペロンチーノくんの場合、ケージ内に砂浴び用の器を用意し、いつでも自分で「入浴」できるようにしているという。砂は基本使い捨てで、1日ごとに交換する必要がある。

ペペロンチーノ君は基本的にケージ内で砂風呂に入るが、時にはこんなサービスも(写真:一真さん提供)
排泄のしつけは基本的にできない

花粉症の人はチンチラの主食であるチモシー(牧草)に反応する可能性があるため要注意(写真:一真さん提供)
チンチラは草食なのでエサは「チモシー」と呼ばれる牧草と、「ペレット」と呼ばれる固形餌。
排泄のしつけは基本的にできないので、ケージの下にはペットシートを敷いておく必要がある。
「排泄のしつけができないといっても、チンチラは草食動物なので、排泄物もほとんどにおいがしません。毎日掃除していれば、犬や猫よりもにおいはないんじゃないかな」(一真さん)
まとめると、飼育に最低限必要なものは、以下のようになる。
・ケージ
・給水器
・チモシーを入れる容器
・ペレットを入れる容器
・砂浴び容器
・トイレ用品(ペットシート)
・寝床
・回し車
・かじり木
・キャリーケース(動物病院へ行くときなど)
初期費用は生体価格を考慮しても10万円以内。定期的に必要になるものは、餌であるチモシーとペレット、トイレ用品、砂浴び用の砂ぐらい。一真さんの場合は小動物用の保険にも加入しており、毎月1万~2万円程度の飼育費用がかかっている。
実際にチンチラとの生活はどのようなものか。一真さんに語ってもらった。
”部屋んぽ”は1回1時間、朝晩2回
「朝起きたらまずペペ(ペペロンチーノくんの愛称)のケージを掃除して、新しい牧草と水を準備します。10分もかかりません。そのあとペペをケージから出して、1時間ほど『部屋んぽ』させるんです。部屋んぽは朝晩2回。この時間が至福の時ですね」

部屋んぽ中、一真さんの足に乗るぺぺロンチーノくん。思わず触りたくなるふわふわな背中だ(写真:一真さん提供)

チンチラの毛はふわふわしていてよく抜ける。自分の抜け毛で角が生えたぺぺロンチーノくん(写真:一真さん提供)

ぺぺロンチーノくんはチンチラでも社交的。一真さんの肩や頭にもよく跳び乗ってくる(写真:一真さん提供)
『部屋んぽ』、つまり部屋の中を散歩させている間、ペペロンチーノくんはワンルームの室内を飛びまわる。
モフモフ・まん丸な体に申し訳程度についた短い脚だが、チンチラのジャンプ力は高く、垂直に60から70㎝は飛ぶ。
座っている一真さんの肩や頭の上にも簡単に駆け上がってくる。
お世話するだけで毎日感動しているという一真さんだが、ペペロンチーノくんを迎えた当初は戸惑うことも多かった。
まずは、やはり騒音問題。チンチラは夜行性なので、夜中に活発になって回し車で遊び、ケージが振動でガタガタ揺れる。また興奮すると「キーッ」という鳴き声も上げるため、当初は夜耳栓をしなければ眠れない日々が続いたという。
現在はケージに緩衝材を付け、揺れによる音は対策済みだ。

ぺぺロンチーノくんの大きさで全力で回し車を使うと、かなりの振動と音があり、最初は夜眠れなかったという(写真:一真さん提供)
エアコンは24時間必須
また、高温多湿に弱いため、部屋は常に22度、湿度も40%程度に保たなければならない。9畳ほどのワンルームで、真夏の電気代は1万円程度かかる。また人獣共通感染症を持ち込まないために、友だちを家に呼ぶこともなくなったという。
仕事中はどうしても留守番させてしまうが、ぺぺロンチーノくんとの時間を確保するために常に直帰し、外食もしなくなった。
「迎えたばかりのころはかなり強くかみつかれたりしていました。肉を持っていかれて血が出るぐらいがぶっと。でも、だんだん加減してくれるようになって、血が出るほどはかまなくなりましたね。ぺぺと暮らして3年半、信頼関係ができてきたんだと実感します」

3年半暮らして、少しずつ信頼関係を築いた一真さんとペペロンチーノくん(写真:一真さん提供)
チンチラの平均寿命は8年から10年。飼育環境が良ければ20年以上生きる個体もいる。ネズミの仲間にしては、かなり長いと驚いた方もいるのではないだろうか。

チンチラは、平均8~10年、長ければ20年以上生きる。飼い始めるなら最期まで一緒にいる覚悟が必要だ(写真:一真さん提供)

ペペロンチーノ君のケージの中の家(写真:一真さん提供)
「結婚や出産、引っ越しなど、環境が変わって手放す飼い主さんもたくさんいます。体は小さいけれど、犬や猫を飼うときと同じくらいの覚悟と、『どうしても飼いたい』というモチベーションが必要だということを、知っておいてほしいなと思います」
現在一真さんはパーソナルトレーナーの仕事をしているが、ぺぺロンチーノくんとの時間をなるべく多く確保するために、在宅でできる仕事に少しずつシフトしているという。その一環として、YouTubeの発信活動も始めた。現在チャンネル登録者数は約1.5万人、最高視聴回数330万回を超える動画もある。
「今は仕事で8時間ぐらい留守番をさせてしまっています。でも、何かあったらすぐに病院に連れて行ってあげたいし、最終的にペペが一生を終えるときにはそばで看取ってあげたい。ペペと暮らし始めてから、働き方についても考えるようになりましたね」
小さな心臓が、最後の音を刻むまで
最初は都会の暮らしの寂しさや仕事の疲れを癒やすためにペットを迎えたのに、いつの間にかその存在に魅了され、「ペットと暮らす幸せ」を守るために生活を見直し始める人は多い。筆者自身もまた、愛犬との生活を守るために働いているようなものだ。
その柔らかい毛並みに顔をうずめると、トクトクとわずかな振動を感じる。その小さな心臓が、最後の音を刻むまで、彼らが生きていることを実感していたい。

お気に入りのぬいぐるみを抱いて眠るペペロンチーノくん(写真:一真さん提供)
【手のりのトトロ・チンチラと暮らすには】
・ペット可物件であること。広さはワンルームでもOK。
・近くにチンチラの診察が可能な動物病院があること。
・室内に天敵である猛禽類がいないこと。
・縦長のケージを用意し、中に給水器や餌台、寝床、遊ぶための回し車を設置する。
・室内を常に22℃、湿度40%程度に保つこと。
・電気代は真夏で1万円程度(ワンルーム一人暮らし)。
・毎日1回1時間程度の部屋んぽができること。
・20年、状況が変わっても一緒にいる覚悟があること。