前妻と卒婚→夢の24歳差婚→60歳で父になるまで

24歳年下の妻との間に第1子を授かった海嶋さん(写真:海嶋さん提供)
前妻とは“解散”という感覚で円満離婚
海嶋さんは現在、24歳年下の妻と7歳の娘との3人暮らし。海嶋さんが60歳のときに生まれた娘さんは、この春に小学1年生となった。入学式のときのことを振り返る。
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「保護者の方も最初はやっぱり迷うみたいですね。孫の入学式に、シングルマザーの娘の父親として付き添いで来ているおじいちゃんかな? と思われていた気がします」
結婚したのは今から10年前。海嶋さんにとっては2度目の結婚だった。

広告代理店時代の海嶋さん(写真:海嶋さん提供)
「最初の奥さんも、とてもいい人だった」と話す。広告代理店でクリエイティブデザイナーとして働いていた海嶋さんは、当時業界内で知り合ったモデルエージェントのマネージャーの女性と30歳の頃に結婚。30代前半で娘が2人生まれ、当時は「とにかくよく働いて、家庭を安定させなくては」と必死に働いていた。
コンペに勝つか負けるかで給料の金額が変わり、クライアントに気に入られなければ担当を即交代させられることもある厳しい世界。家のことも子育てもほとんど妻に任せっきりで仕事に没頭する一方、強いストレスを解消するために趣味のギターやバンド活動、飲み会にも明け暮れていたという。
2011年ごろには子どもたち2人がほぼ成人する年齢となり、夫婦ふたりで生きていくフェーズに突入する。しかし、ふと立ち止まって「今後の人生をふたりで過ごすにはどういう形がいいのか?」と考えてみたが、どうしてもしっくりくる答えが出なかった。それなら「別々で生きていこうか」と提案すると、前妻はあっさりと離婚を受け入れたのだという。子どもたちも「両親の好きにすればいい」と言った。
「何を責められるわけでもなく『慰謝料も請求しない』と。娘の大学の費用だけは支払いましたけどね。向こうはどう感じているかわからないけれど、僕の感覚としては『解散した』という感じです」
現在は長女とだけは時折メールで近況報告をするが、前妻とは連絡も金銭のやりとりもしていないそうだ。
「53歳で離婚してから、3年間ほど独身生活を楽しみました。ふわふわと、好きな時に飲みに行って帰ってきて。でも、4年目くらいから『ちょっと待てよ。こんなことばかりしていていいのだろうか。このままだと、どこかで孤独死することになるのかも』と思い始めました。その時に現れたのが、今の妻です」
義理の親とは10歳差、義父は抵抗を示すも…
現在の妻とは行きつけの飲み屋で知り合った。気さくな人柄の海嶋さんは、飲み屋でその日知り合った人と話をして「一期一会」を楽しんでいたという。しかし、妻に対してだけは「なぜか気になって『また会えるだろうか』と思っていると、再び店で顔をあわせることが多かった」。そして、徐々に距離が縮まっていった。
「でも、50を過ぎたオッサンが相手にされるわけがないと思っていたので、妻のほうが自分を『選んでくれた』という感じです」
交際がスタートして半年ほど経った頃、「結婚」の文字がふたりの間で浮かんできた。しかし、海嶋さんは「彼女の親は、僕と10歳ほどしか離れていない。そんな男との結婚は絶対に反対されるだろう」と、考えていた。
実際、義父は会う前からかなり抵抗を示している様子だった。だがその矢先、大きな事件が起こる。義父がバイクで事故を起こし、突然亡くなったのだ。
急激に変わった状況下で、遺された娘を守ってくれる海嶋さんは、義理の母にとってむしろ頼もしい存在に変わったのかもしれない。改めて結婚の挨拶に伺った際には「安心されたのか、泣いておられました」。義父の死は悲しい出来事ではあったが、結果として家族の絆を強くすることになった。
そのとき、海嶋さんは57歳、妻は33歳だった。「干支は同じ」だと言うふたりが結婚し、3年後には第1子となる娘が誕生した。

子どもの誕生(写真:海嶋さん提供)
同窓会で女性陣から批判されるも本人は幸せいっぱい
「同窓会では、男性陣は英雄のように拍手してくれるんですけどね。女性は……違いますよ(苦笑)」
男性からは羨望の眼差しで見られるが、女性からは「なんということをしたのだ」と批判されることも少なくないという。男性からすると「最初の結婚をほぼトラブルなく卒婚し、めでたく若い妻を得た羨ましい男」として目に映るのかもしれない。
一方、女性は前妻の立場や、今の妻、もしくはその母親目線から考えると、事実を簡単には受け入れ難いと思ってしまう方が多いのかもしれない、と筆者は想像した。
しかしながら、インタビューに答える海嶋さんは心底幸せそうに「娘も、妻も、本当に可愛いです。3人で過ごす時間が今は一番大切」と目尻を下げる。
「これだけ年齢差があると、妻は妻である他に、僕にとっては娘のような彼女のような、いろんな役割を担ってくれているんだなと感じることがあります。それは裏を返せば、妻にとって僕は夫である他に、失った父の役割を担っているということなのかもしれません。いずれにせよ、ひとりの人間をあらゆる角度から見ることができるというのは、純粋に楽しいなと感じます」
現役看護師の妻が“大黒柱”。自宅と車も妻名義
では現在、海嶋家の家計状況はどうなっているのだろうか。
「うちは妻が大黒柱です。現役の看護師として、日々バリバリ働いています。僕は2018年に広告代理店を定年退職して、今はその子会社で週3日アルバイトをしながら、家事や娘のことなどを担当しています」
3人で暮らす一戸建ては、1年半ほど前に妻の希望で購入した。フルリノベーションされた築11年のものを、20年ローンで契約したそうだ。ただ、名義は妻になっている。車も所有しているが、こちらも名義は妻のものだ。
「どう考えても僕が先に逝くので、その時の手間が省けるようにしています」
海嶋さんはアルバイト代のほか年金も受給している。しかし、昨今の物価高には頭を悩ませているという。
「これから教育費もどんどん必要になりますし、それが課題ですね。計画的に貯蓄をしていかねばと思っていますが、僕は一度、子どもを大学卒業まで育てた経験をしているので、時代は違えど『これくらいでなんとかなるだろう』という感覚を掴んでいるのはメリットかもしれない」
娘にいつ「他の姉妹がいる」ことを伝えるか
今、海嶋さんが新しい家庭を築き7歳の娘さんがいることを「最初の(結婚時の)娘にはメールで伝えている」とのことだが、7歳の娘さんは父が再婚であることや、母親が異なる姉妹の存在をまだ知らないという。
「いつか話さなければと思っていますが、一体いつがいいのかなと悩んでいます。もしかするとそれが今一番の課題かもしれません」と考え込む。
「妻からは『早いうちに言った方がいい』とは言われているんですけどね」
娘さんは、自分のパパが他のパパよりも明らかに年上であることをどのように感じているのだろうか。
「娘が保育園時代、保育士の先生が『いつもお迎えに来ているのはおじいちゃん? パパ?』と尋ねていて、娘が『パパだよ!』と答えている場面に遭遇したことがあります(笑)。ちなみにその先生は、僕がその会話を聞いてしまったことを未だに知りませんが。そういうことはしょっちゅうあるので、娘も認識はしていると思います」
今は特に気にしていなくても、成長とともに「それはなぜなのか」と素朴な疑問を抱く日が来るはずだ。その時を「話すタイミング」として見るのか。それとも、疑問が湧く前の段階で話してしまった方が、スムーズに状況を受け入れられるのか。娘さんにとってのベストを、海嶋さんはずっと考え続けている。
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