ISC、液体ロケットエンジン試験を加速–独自のクラウドプラットフォーム「P4SD」を活用

再使用型ロケットを開発する将来宇宙輸送システム(以下「ISC」)は9月8日、独自の研究・開発プラットフォーム「P4SD(Platform for Space Development)」を活用し、液体ロケットエンジンの着火・燃焼試験を2期にわたって実施したことを発表した。試験の目的は、シミュレーションの精度向上を含めた開発スピード向上だ。

液体ロケットエンジンの着火・燃焼試験の様子(出典:将来宇宙輸送システム)

従来のロケット開発はウォーターフォール型に頼る傾向が強く、仕様変更や開発期間の長期化などの課題があった。ISCは2028年の人工衛星軌道投入を目指しており、その実現に向けてアジャイル型手法を軸にしたP4SDを運用している。P4SDでは、設計から試験結果まで開発に関わる全てをデータ化し、クラウド上で一元管理することで、情報共有と迅速な対応を可能にしたという。

試験は4月21日〜5月15日と6月23日〜7月3日の2期にわたり、滋賀県高島市饗庭野地区で実施した。燃料の流量・温度・圧力などの計測データを収集し、ミッションコントロールシステム「Yamcs(ヤムス)」を用いてリアルタイムでのモニタリングに成功したという。

Yamcsのダッシュボード(出典:将来宇宙輸送システム)

また、取得データを即座にシミュレーションモデルに反映し、試験条件の見直しや改良へ迅速に活用する機能を実証。特に6〜7月の試験では、「点火器試験を1日150回」「エンジン燃焼試験を1日12回」と高頻度で実行したことで、アジャイル型開発の効果を実体験できたと説明する。

同社では今後も試験を継続し、Yamcsによる収集・分析データを基に点火・着火シーケンスの改良やシミュレーションモデルの高度化を進める予定。加えて、ドローンを用いた飛行試験や複合試験などにもP4SDを活用していく計画だという。