わが子に「宿題しなさい」を2カ月半言わなかったら、どうなった? イライラ、失望、そして成長…母の“自由研究”の結末は

子育て中は毎日のように子どもに「宿題は?」と確認して、「早く」と言ってしまいがちです。そんな日々に親が疲れてしまったり、自己嫌悪に陥ってしまったりすることも。モンテッソーリ教育の資格を持ち、小学生の男の子2人を育てるともかさんも、その一人。「母の自由研究」と称して「子どもに『宿題しなさい』を言わなかったらどうなるか?」に取り組みました。その過程や“気づき”を紹介します。
ともかと申します。乳幼児教室での講師を経て、Instagramではモンテッソーリ教師の知識を生かし、“おうちでできるモンテッソーリ教育の要素を取り入れた遊びや子育ての工夫”を日々発信しています。特に0〜6歳の発達や環境づくりが得意ですが、長男が小学生になったのを機に北米モンテッソーリセンターの6~9歳のディプロマも取得しました。
そんな子育ての知識や講師の経験のある私でも、家では小3、小1の息子たちに試行錯誤の連続です。宿題を後回しにして遊びまくる、わが子(特に長男)。みなさんは、「もし自分が『宿題しなさい』って言わなかったらどうなるんだろう…」って不安に思ったことはありませんか? 私も毎日小3の息子を不安に思ったり、イライラしたり、たまに噴火したりしていました。今回は、私がこの夏に取り組んだ「母の自由研究」を共有します。
■「宿題やれって言われたくない」
事の発端は今年の6月。こちらが声をかけなければ、宿題をやらず、弟とキャッチボールを始める系男児の長男。そもそも、家でキャッチボールしてほしくないんですけどね……。そんな長男に、良くないとわかりながらも毎日のように「やること終わったの?」「宿題やった?」とイライラした口調で急かしてしまい、結局は息子とのバトルに発展する毎日。最終的に息子は嫌々宿題をするという日々が続いていました。
ある日の夕食前に、息子が「僕、宿題やれって言われたくないんだよね…」とポツリ。なぜかそのとき「そりゃそうだ。言われたくないよね!」と憑き物が落ちたように、笑えるほど納得したのです。
私だって、家事の催促されたくないし、子どもに小言を言いたくない。なんで誰もうれしくないのに、イライラ、ねちねち言ってたんだろう? 自分で取り組めるようにサポートするほうが大切じゃないの? そう思った私は、本気で「ママが“宿題して”と言わないためにどうするか」を息子と話し合い、わが家では以下の「見守りルール」を決めました。
小学3年生という学年で、今ならどれだけ失敗してもいいだろう、という冷静な判断もありながら、もうガミガミいうことに疲れてしまったというのが本音です。言っている間も、言い終わった後も、親の精神が削られますよね……。
<見守りルール>
1)母から「何時になったら○○しなさい」などの命令・指示はしない。
2)「30分経ったら教えてほしい」など手助けしてほしいときは自分で伝える。
3)生活リズム(就寝時間、お風呂、食事)は崩さない。宿題をやることより優先。
(例:宿題が終わってないから、遅くまで起きているのはNG)
夫にも「私から口出ししないことにした。できるだけ見守りたい」と情報共有し、本人に任せてみる方針で夫婦の意見はまとまりました。「とにかく、夏休みが終わるまでは言わない!!」という強い覚悟で臨みました。

■予想通りなのにイライラが止まらない
【フェーズ1:開始2週間】
思っていた通り、息子はまったく机に向かわない。宿題なんてなかったかのようにとても楽しそうに遊んでいる様子に、予想通りだ…と思いながらもイライラを飲み込む日が続く。
数日すると学校や習い事の直前にこちらから言わなくても宿題をやるようになり、やるべきという意識はあったことに少しほっとした。でも当日の朝、「もう終わらない!」とイライラしながらやっている姿を見て、「だから早めにやっておけば…」と言いたくなるのをぐっと我慢。我慢。
直前にやって乗り切れたのに気をよくしたのか、さらに数日するとまた何もしなくなった。私のイライラが限界突破しそうと思ったら、兄弟の仲は良くなり、一緒に楽しく遊ぶことが増えて、家の中に笑い声が響くことが増えた。あれ、雰囲気を悪くしていたのは、私だったのか…? と急に罪悪感が芽生える。

■期待と失望の乱高下
【フェーズ2:開始1カ月ごろ】
うまくいく日、いかない日が交互にやってきてこちらの精神が削られる…もう疲れた…。ついに夫の堪忍袋の緒が2回切れた。以下2つのルールを追加することに。
<追加ルール>
4)宿題で「毎日やる」となっていることは毎日やる。※ためて一気にやるのはNG
5)習い事には宿題をやっていく。(当たり前ですよね?)
息子から「今日やることと、次の習い事までにすることがわかりにくいんだよね…」と相談を受け、分類することに。今まではただイライラして当たり散らすだけだったのが、手助けしてほしい部分を言えたことに感動! これは好転するかもしれない……!
しかし、親の期待も虚しく、直前に駆け込むスタイルは継続中。「そんなに焦ってやって、意味がある!?」と思うけど、グッとこらえる。私一人で勝手に期待して、勝手に失望している気がする……。
結局、終わらないことでイライラして八つ当たりされ、私も怒ってしまった。でも、今までならしばらくイライラがおさまらなかったのに、すぐに切り替えて問題解決のための話し合いに持ち込めた。確実にレベルアップしている、私が!!(笑)。息子一人ではうまく計画が立てられないため、しばらくは一緒にやることに。
「すべて一人で抱える必要はない。言ってくれれば、いつでも手伝うよ」と、自分は敵ではなくサポーターであることを伝えた。

■レベルアップを感じる
【フェーズ3:開始1カ月半ごろ】
夏休みに突入。「やることを可視化」「少年野球の合宿や帰省などイベントが多く、楽しみなゴールを設定」したことでイレギュラーにも対応し、少しずつうまくまわり始めた。やることを先延ばしにするクセは残っているものの、それを見ても前ほどイライラしなくなっている。気持ちのアップダウンに疲れてしまって、少し距離を置くことができるようになってきた。息子を急かしたりする言葉を飲み込むのが少しだけうまくなったかも。

■ラスト2週間!
【フェーズ4:開始2カ月ごろ】
息子が苦手な自由研究。やっぱり取り組むときに、「全然わかんない!!」「こんなにたくさんできない!!」と、息子大荒れ。以前なら当たられてこちらも怒っていたが、ペンがすこしずつ動いていることに注目でき、怒りを飲み込むことができた。イライラはするけど! 息子もラスボスの自由研究を倒した後は、毎日のやることに早めに取り組むように。のびのびと遊ぶ時間もあり、「やっぱり先に終わるといいよねー」との発言も出るように。息子、大きく成長した…!! 休み明けもぜひこの調子でお願いしたい。

■絶望。そしてまたふりだしに。
【フェーズ5:開始2カ月半】
学校が再開し、成長する姿が見えるかもと期待したものの……、“直前やっつけスタイル”に初期化された。ただ、以前よりも私のイライラは減って、またしばらく見守ったら自分でやれる時が来るなと信じることができるようになった。しばらくこのスタイルで続けようと思う。
■自由研究を終えて
この2カ月半は子どもが成長するというよりも、私にとって、ドラゴンボールでいうところの「精神と時の部屋」(修行の場)状態でした(笑)。イライラと戦い、出かかった言葉を何度も飲み込む日々…。でも2カ月半を終えた今、少し子どもを俯瞰して見られるようになり、レベルアップを感じているのもたしかです。
結局、私のイライラの原因は「子どもへの高すぎる期待にあった」と気づきました。
1週間のうち、1日でもできると「できること」にしてしまう。(実際は6日できていないのに!笑) そして、次の日できなかったときに「できるのにやってない!」とイライラしてしまう。期待される側からしたら、ひどく迷惑な話ですよね。
改めて、成長は波のような形になっていて、“できる”と“できない”を繰り返しながら少しずつ“できる”を増えていくという認識を持ったほうがいいと感じました。さらに、「言わない!」と強い覚悟で臨んでも、気を抜くと何度か言ってしまったときがありました。こんなにも毎日、無自覚に口を出していたのかと自分でも驚き、そりゃ息子も嫌になると反省しきりです。

この自由研究をみなさんにオススメしたいかというと、「非常に強い覚悟をお持ちなら…」というくらいで正直、全員にオススメはできません(笑)。今回は私が自分を嫌いになりそうだったということと、研究への好奇心があり、覚悟をもって取り組めたから、なんとか…なんとか乗り切ることができました。既に夏休み明けにギリギリの生活に戻っているので、まだまだ修行の身ですが……。以前、教育評論家の石田勝紀さんに「やらない子どもをただ待つのではなく、自分の時間を過ごしたほうがいい」とアドバイスをいただく機会があり、イライラタイムに行っていた塗り絵も随分はかどりました。この夏の成果です(笑)。共に修行してくださる方、一緒に頑張りましょう!

○ともか/おもちゃコンサルタント。国際モンテッソーリ教師資格(6-9 NAMC)取得。学びにつながる遊び、子どもへの声かけについて発信しています。日々、ママの“ラク”と子どもの楽しさの共存を模索しています(笑)。小3、小1男子を子育て中。Instagram https://www.instagram.com/tomonte_play