長崎でちゃんぽん「リンガーハット」逆に推奨なワケ

長崎ちゃんぽんワールドの入り口へようこそ(筆者撮影)
長崎に来たらやっぱり「ちゃんぽん」
長崎県のソウルフード、海の幸山の幸たっぷりの麺料理「長崎ちゃんぽん」。
【画像を見る】野菜たっぷりでおいしそう…!長崎ちゃんぽんとぎょうざのセット(1120円)はこんな感じ
「どこで食べれる?」と、出張マンの友人に聞かれることは少なくない。そんなときに大抵、筆者が勧めるのが、全国に561件の店舗を構える長崎ちゃんぽんのチェーン店『リンガーハット』だ。※リンガーハット公式サイトより(2025年9月時点)
しかし、それをうっかりSNSで呟こうものなら、地元民から「それはおすすめのカフェを聞かれてスタバと答えるようなものだ!」と、お叱りのこもったツッコミが入ることもある。出張マンからも「どこにでもあるじゃないか」と思われるかもしれない。
いや、でもでもでも。それほどまでにリンガーハットはよいのだ。そしてもしもちゃんぽん初体験なら最初の一杯はもっと気軽なものであってほしい、と思う。ちゃんぽん発祥の長崎市から約90km離れた佐世保市に住む筆者としては、ふらっと行けるチェーン店のほうが身近だったのだ。なので、出張マンたちにも肩の力は抜いてほしいのが正直な思いだ。
リンガーハットは、そんな筆者のぬるい温度感にも優しく寄り添ってくれる。よって、この店を“長崎ちゃんぽん入門編”と位置づけるのはどうか。
まずはここを起点にどうか、長崎ちゃんぽん食べ比べの旅へと出発してほしい。そのスタート地点となる味をこれからご紹介しよう。
とんかつ屋から全国チェーンへ
1962年、小さなとんかつ屋から始まったリンガーハット。公式サイトによると、その名の由来は長崎の英国貿易商人フレデリック・リンガーからだという。店の繁盛を祈願して、大商人の名前にあやかったそうだ。「ハット」は英語で小さな家を意味し、すなわち「リンガーの小さな家」となる。
そんなリンガーハットは、全国561店舗、長崎県内に24店舗ある(※2025年9月時点)。そのうち1号店は長崎市内にある「長崎宿町店」で、2024年8月で50周年を迎えたらしい。
そのうち筆者が訪れたのは、最寄りの「佐世保早岐駅前店」だ。JR早岐駅から徒歩5分ほどの場所にある。

屋根に鐘楼があるのがまさにリンガーハッツ・シルエットだ。県外で見かけるとホッとする(筆者撮影)
平日のランチタイムはサラリーマンやご近所のシニアでにぎわう。まちの食堂的ポジションだ。店員さんの威勢のいい声に導かれて席に着くと、続いて男性が入店し「いつもの」と注文していた。ドラマや漫画でよく見るシーンだが、実際に目の当たりにしたのは生まれて初めてで感動した。
さて、メニューを開いてみよう。まずはその色の豊かさに驚いてみてほしい。野菜のグリーンにオレンジ、練り物のピンク、きくらげの茶……見ているだけで元気が湧いてくるじゃないか。

(画像:リンガーハット公式サイトより)
ここで、「長崎ちゃんぽん」と肩を並べるほど人気の「長崎皿うどん」についても説明したい。ちゃんぽんを出前用にアレンジしたことがきっかけで誕生したと言われている、同じく看板メニューだ。パリパリの揚げ麺に野菜たっぷりの餡が絡む。食べ進めるごとに食感が馴染み、最後には一体化するその過程が実に楽しい。
そんなグランドメニューに加え、季節限定の冷やし麺や、一部の店舗で味わえるパスタ風やまぜ麺といった変わり種メニューもあり、いつ、どの店舗に来店しても飽きの来ないラインナップとなっている。これこそ“ベーシックさ”が成せるアレンジ術ではなかろうか。
また、サイドメニューには半チャーハンや、これまた長崎名物の“食べる”「ミルクセーキ」だってある。キッズメニューもあるからお子さま連れにもうれしい。
今回は、そんななかから王道の「長崎ちゃんぽん」と「ぎょうざ5個」のセット(1120円)でチョイスした。さぁ、厨房の奥からジュージューと油と具材が跳ねる音がする。元気の塊がやってくるぞ。長崎ちゃんぽんを待つときは、いつだって“どんとこい”と腕まくりをしたくなるのだ。
体の底から元気があふれる味
こちらがリンガーハットの「長崎ちゃんぽん」だ。

長崎ちゃんぽんレギュラーサイズ(820円)。麺は少なめ(-80円)、1.5倍(+80円)にできる(筆者撮影)
255gのたっぷり国産野菜とえび、豚肉がとてもにぎやかでうれしい。このにぎやかさは、“色んな食べ物を摂取する”という意味で使われる「ちゃんぽん」を想起させる。その名の由来はいろんな説があるのでぜひ調べてみてほしい。

まろやかなとんこつスープ(筆者撮影)
創業以来、時代のニーズに応えながら「また食べたくなる味」を追求しているオリジナルスープは、豚骨をベースとしながらも野菜の甘みを引き立てており、わりとあっさりしている。これが麺ともよく絡むのだ。

ちゃんぽん麺といえば、太くて、つるつるモチモチの食べ応え抜群麺(筆者撮影)
具材と同等のパワーを持つ、国産小麦100%使用のちゃんぽん麺は、しっかりとした太さとツルもち食感だ。どの具材と絡めて食べても「満足」に着地してくれるからすごい。一口食べるごとに元気が湧いてくるぞ。
そんな3つが一体となったチームは、「和華蘭文化」※日本(和)・中国(華)・オランダなどの西洋(蘭)3つの文化が融合した独自の文化が育まれてきた長崎のように懐が深い。すなわち、味変だってへっちゃらなのだ。
テーブルにある胡椒や酢、ラー油といった卓上調味料でお好みにアレンジできる。この、良い意味で“余白がある”感じこそが、筆者がベーシックさを覚える理由の一つだ。
とはいえ、リンガーハットの味は、魚介多めな従来の長崎ちゃんぽんから、野菜をおいしくたっぷり食べられるメニューとしてアレンジしたものだというから、「長崎ちゃんぽん」そのものの懐の深さを思わずにはいられない。この世界はとても深いぞ……。チェーン店は、きっとその入り口だ。
箸休めに餃子へと。店員さんから「よかったら食べ比べてみてくださいね」と、岩塩レモンだれと専用の小皿をいただいたので、餃子のたれの皿の横に並べる。なんとも贅沢な気分だ。

サイドメニューのぎょうざ(5個入り300円)(筆者撮影)
餡がぎっしり詰まった餃子をたれに絡めて一口。少し時間が経ったけれど、ジューシーさは失われておらずこれがまたうまいのだ。米粉を使用し、外はパリッと中はモチッとした食感の薄皮が特徴だそうだ。
あっさりとしているので、長崎ちゃんぽんとの相性も良い。柚子胡椒と一緒に味わうのもおすすめだ。

酢+胡椒orラー油など味変も楽しんで(筆者撮影)
アットホームな雰囲気もすてき
すっかり満腹になり、店内を見渡してみる。ふと、冷凍商品をおすすめする張り紙に目が行った。
一部のスーパーで販売もされていて、祖母が生前よく買ってくれていたのを思い出し、じんとする。そういえば一緒に食事をしに行ったときも、帰りにものすごい量の冷凍長崎ちゃんぽんと皿うどんを筆者へのお土産に買ってくれて、店員さんを少し困らせていたっけ。

冷凍とあなどるなかれ、おいしい。冷凍食品直売所 八王子八日町店があるようだ(筆者撮影)
ナプキン入れが陶器でできていることに気が付いた。しっかりとロゴが入っており凝っている。

やっぱり三角の鐘楼がトレードマーク(筆者撮影)
お会計をしようとレジに並ぶと、そばの棚に「ご自由にどうぞ」と書かれた紙ナプキンが敷かれ、その上に小さなゴーヤがいくつか並んでいるのが見えた。
知り合いの農家さんが持ってきてくれたパターンかなと思い「これは?」と尋ねると、「窓の外にある、グリーンカーテンのゴーヤなんです。良かったらどうぞ」と言われ驚いた。さっきまでわたしの正面で日差しを和らげてくれていた君じゃないか。
「おひとついただきます、ありがとうございます」と手に取り、お店を後にした。

窓の外には自家製グリーンカーテン(筆者撮影)

後日、佃煮にしておいしくいただきました(筆者撮影)
駅周辺には鉄道の歴史を語る旧給水塔が
せっかくなので、早岐駅周辺の見どころを一つご紹介しよう。JR早岐駅は明治30(1987)年に開業し、この地域は機関区も置かれ、鉄道関係の施設が多く建設された歴史がある。
この旧給水塔はその一つだ。

旧給水塔と地元スーパーの看板とのコラボレーション(筆者撮影)
高低差を利用して、素早く蒸気機関車に給水をする役割を担っていたらしい。以前は上部に銅製の水槽が設置されていたとのことだ。

当時のバルブがいまも残る。給水塔の中も覗けるのでぜひ見てほしい(筆者撮影)
また、この早岐駅には「スイッチバック構造」という大きな特徴があり、上り下りともにここを通過する列車は進行方向が逆になる。例えば、下り列車で早岐駅から佐世保駅へ向かう際には、これまで進行方向が前向きだったのが後ろ向きになる……のだが、佐世保駅には10分程度で着いてしまうため、椅子の向きを変えずそのまま乗る人が多い気がする(筆者もだ)。
もしこの周辺で出張に訪れることがあったら、ぜひぶらりと歩いてみてほしい。